表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ヒマリは告白の意味がわからない -鈍感聖女とツンデレ勇者の恋愛事情-  作者: 柚子猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/51

27.鈍感聖女は、二つの想いに翻弄される

 エルリック様の告白。

 「僕との未来を考えてみるのはどうかな?」――あの真剣な瞳が、まだ頭から離れない。


 莉央りおちゃんに「もう答え出てんじゃね?」ってあっさり言われたけど……そんな簡単に結論なんて出せない。

 だって私は――。


 ……エルリック様は優しくて、頼りがいがあって、誰にでも堂々と接することができる人。

 魔王討伐の旅の途中でも、彼の言葉に助けられたことは何度もある。

 強引なところもあるけど、それすらも“王子様”って感じで。女の子なら誰だって一度は夢中になっちゃうような人。


 それなのに、どうして。

 どうして彼の顔を思い浮かべた次の瞬間に――勇者様のことが浮かんでくるの。


「なんでここで勇者様が出てくるのよ!」


 自分で自分に突っ込んで、思わず枕に顔を埋める。

 胸の奥がずっとざわざわしていて、心臓は勝手に早鐘を打つばかり。


 ……もう、整理できない。

 こういうときは――やっぱり頼れるのは、リオちゃんだ。

 なんでも話せる親友だから。彼女はきっと、私よりずっと冷静に物事を見てくれるはず。


◇◆◇◆◇


 神殿の仕事が終わった夕暮れ、薬草袋を抱えて廊下を歩いていると、背後から聞き慣れた声が飛んできた。


「おい、ヒマリ」


 振り返れば、そこに勇者様。

 逆光に照らされて立つ姿は、いつもより少しカジュアルな軽装。なのに、どうしてこんなに胸が高鳴るんだろう。


「また残ってただろ。無理してるの、バレバレなんだよ」

「ち、違います! 平気です!」

「ぷるぷるしてた」

「してません!」


 むきになって否定した瞬間、勇者様が小さく鼻で笑った。

 ……ずるい。そんな何気ない笑みひとつで、私の心臓が勝手に跳ねる。


 でも、今日は誤魔化さない。

 リオちゃんに「本音ぶつけろ」って言われたんだから。勇気を出さなきゃ。


「……勇者様。相談があるんです」

「なっ……そ、相談!?」


 びくっと肩が跳ねる勇者様。なぜか耳が真っ赤になって、わたわたと視線を逸らす。


「お、おい待て! そ、相談って……お、お前、まさか……」

「えっ?」

「べ、別に! 俺はそんな、か、告白とか、全然期待してねぇからな!」


 ちょ、ちょっと待って!?

 何を勘違いしてるの!? 顔から火が出そうなんだけど!


「こ、告白なんて一言も言ってません!」

「い、言ってねぇよな!? ああ、そうだよな!? ったく、焦らせんな!」


 完全に焦ってるの勇者様のほうなんですけど!?

 私は胸を押さえて深呼吸する。ダメだ、心臓が落ち着かない……。


「……で、相談ってなんだよ」


 真っ赤な耳を隠すように顔をそむけながら、勇者様が促してきた。

 私もようやく気持ちを整えて、口を開く。


「実は……最近、お城の空気が少しおかしい気がするんです」

「おかしい?」


 途端に、勇者様の表情が真剣に変わった。

 さっきまでのツンデレ反応とのギャップに、胸がさらに締め付けられる。


「はい。見張られてるというか、監視されてるというか……表面は普通なのに、胸の奥がざわざわするんです」

「……」


 勇者様は黙って聞いてくれていた。そして、小さく頷く。


「……俺も感じてた」

「えっ……」


 やっぱり。気のせいじゃなかったんだ。


「言ってくれて助かった。……一人で抱え込むなよ」


 真剣な声。だけど、次の瞬間には少し照れたように顔をそむける。


「……か、仮にでも夫婦なんだからな。お前のこと気にするのは当然だろ」


 また、心臓が大きく跳ねた。

 “仮”だってわかってる。そう、これは仮の婚約。夫婦ごっこみたいなもの。

 だけど――勇者様のその言葉が、嬉しくて仕方なかった。


◇◆◇◆◇


 その夜。窓辺に立つと、月明かりが部屋を静かに照らしていた。

 ふいに思い出すのは、エルリック様の瞳。あのときの真剣な告白。


 彼は待ってくれている。答えを出すまで。

 でも私の心は、勇者様の一言で揺れてばかり。


 勇者様への気持ちは、もう誤魔化せない。

 けど勇者様はエリシア様を……。

 そして、エルリック様も誠実に想いを向けてくれている。


 お城の不穏な空気と、揺れ続ける自分の心。

 窓の外は穏やかな月夜なのに、私の胸の中は嵐のようだった。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。

明日も更新予定です。


「面白い」とか

「続きが読みたい」とか、もし思っていただけたなら。

ブックマークや画面下の「☆☆☆☆☆」から評価を頂けるとすごく嬉しいです。


お手数だと思うのですが。

すごく、すごく励みになるので、よろしくお願いします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾ペコ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ