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聖女ヒマリは告白の意味がわからない -鈍感聖女とツンデレ勇者の恋愛事情-  作者: 柚子猫


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26/51

26.鈍感聖女は、恋の正体に気づいてしまった

 エルリック様からの告白。

 あの一言が、ずっと頭の中でぐるぐる回っている。


 「僕との未来を考えてみるのはどうかな?」――あの真剣な瞳。

 思い出すたびに胸がきゅっと締め付けられて、心臓の音がどんどん速くなる。


 でも、私……どう思ってるんだろう。

 エルリック様のこと? それとも――。


「なんでここで勇者様が出てくるのよ!」


 思わず声が漏れて、顔を覆った。自分でも整理ができなくて、もやもやばかりが募る。


 こういうときは――やっぱり莉央りおちゃんだ。

 なんでも話せる親友だから。しかも最近、私の気持ちを見透かしてるみたいにニヤニヤしてくるし……。


◇◆◇◆◇


「エルリック様からの告白? うっそマジ? ガチか~! いや~そっち来たか~!」

「そ、そっちって何よ」

「いーや、こっちの話! 気にしなくてよし!」


 莉央はニヤリと笑う。絶対なんか知ってる顔。


「でさ、どうすんの? 王子からのガチ告白だよ? しかも超イケメン、金持ち、ハイスペック。玉の輿一直線!」

「それは……わかってるんだけど」


 莉央ちゃんの言葉に、胸の奥がざわめく。

 条件で見れば完璧すぎる相手。だけど――それだけで答えなんて出せるの?


「他に好きな人いるとか?」

「そ、それは……」


 言葉に詰まってしまう。心臓の音がばくんと跳ねたのを、自分でもはっきり感じた。


「ほら、もう結論出てんじゃん?」

「け、結論って?」

「んふふー、それはあーしから言わない! 親友でもさ、自分で気づかないと意味ないっしょ」


「けち。親友なのに」

「だからだよ。親友だからこそ、口出しはしないの!」


 ふっと笑う莉央を見て、胸の奥が少し軽くなる。

 きっと彼女の言うとおりなんだ。自分の気持ちくらい、自分で整理できなくちゃ。


「で、もうひとつの相談って?」

「それがね……ちょっと言葉にしづらいんだけど」


 深呼吸して口を開く。


「勇者様の故郷から帰ってきてから、お城の空気が少し……おかしい気がするの」


「へぇ? どんなふーに?」

「見張られてるというか、監視されてるというか」

「誘拐事件があったし? それかさー、エルリックの花嫁候補になったからじゃね?」

「ばっ……な、なんでそうなるのよ!」


 顔が熱くなる。もう、莉央ちゃんったら!


「まぁでも、あーしも違和感はある。アルっちとも話したし」

「やっぱり……」

「うん、言葉にしづらいけど、微妙~な空気感っていうかさ」


 そう。表面上は何も変わってないのに。確かに漂う、言い表せない不安感。


「……似てるよね。色欲の魔物ベルサリスに支配された街に」

「それそれ! それが言いたかった!」


 思い出す。あの街のことを。

 一見すごく幸せそうなのに、みんな心の奥は支配されてた。笑顔の裏に潜んだ恐怖。

 接触する人たちがことごとく操られてて、どうにもならなくて……。

 あのときの戦いは、本当に、心底ぞっとした。


「でも、魔の気配は感じないの」

「……それよ」


 ぞわり、と背筋が粟立つ。

 気配がないのに、不自然に空気が重い。気持ち悪いくらいに。


「……勇者様に相談した?」

「な、なっ……そんなこと勇者様に相談できるわけないでしょ!!」


 思わず大声をあげてしまい、顔が真っ赤になる。

 そ、それってつまり……恋の相談ってことでしょ!? い、いや、告白になっちゃうじゃない! そんなの無理無理無理!!


「え? あーし、普通に“魔の気配”のこと言ったんだけど?」

「~~~~っ!!」

「……ま、でも恋バナでもいいけどね?」にやりと笑う莉央ちゃん。

「そ、そんなのじゃないってば!」


 慌てて否定したけど、胸の奥はぐちゃぐちゃで。熱くて、苦しくて、うまく呼吸ができない。


「勇者様いま忙しいし……それにエリシア様と一緒だろうし。私が少し調べてみる」

「ちょ! 陽葵ひまり! そういうとこだってば!」

「えっ?」

「アンタさ、恋愛でもそう! 本音くらいぶつけなさいよ!」


 れ、恋愛!?

 胸がバクバクして、頭が真っ白になる。


「ホントはもう自分の気持ちに気づいてんでしょ?」

「…………うん」


 かすかな声で、でもはっきりと口にしていた。

 本当はずっと前からわかってた。見て見ぬふりして、蓋をしてきただけ。


 勇者様のことを思い出す。

 魔物から庇ってくれた背中。夜に毛布をかけてくれた手。

 訓練で疲れてるのに、私のことになるといつも真っ先に駆けつけてくれる姿。

 照れ隠ししながら渡してくれた髪飾り。

 どんなときも仲間を想って、決して諦めない瞳。


 気づけば、その全部に惹かれてしまっていた。


「ほら、決まりじゃん」

「り、莉央ちゃん……」

「よし! 勇者サマに相談行こ! ついでにみんなも集めよ!」


 ぐいっと腕を引かれて、思わず前につんのめる。


「当然! アンタの恋愛も全力で協力するから! ……親友だからね!」


 いたずらっぽく笑う莉央ちゃんに、胸がじんわり熱くなった。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。

明日も更新予定です。


「面白い」とか

「続きが読みたい」とか、もし思っていただけたなら。

ブックマークや画面下の「☆☆☆☆☆」から評価を頂けるとすごく嬉しいです。


お手数だと思うのですが。

すごく、すごく励みになるので、よろしくお願いします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾ペコ

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