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第四話「希望を抱く黒猫」

今回は読者達の癒しになればいいなと思います。

「っ…す、すまない!み、見るつもりはなかったんだ!」と、慌てふためきながら僕はその少女に謝罪の声をかけ、背後を向く。

視線を背中に感じ…それを聞いても少女はまだ睨みつけていることがわかる。

『なんだなんだ、ラッキースケベか?』

(憤怒…!うるさい…!黙ってろ!)

『なんだ悲しいじゃないか』と茶化してくる憤怒と会話しながら、僕は言葉を紡ぐ。

「き、君の服を買ってきた…そこに置いておくから…着替え終わったら言ってくれ…」そう言いながら僕はそそくさと扉を開け、廊下に出る。


そうして、胸を撫で下ろし、ながら窓を覗き、外を見ると、そこには…僕の顔が描かれた指名手配書が貼ってあった。

さらに、外には騎士団のような連中がおり…

『…まずいことになったな、もう指名手配されるなんて、しかも賞金が生け取りで大金貨300枚、死体で大金貨200枚か、お前も重罪人になったな』

(…どうしようか…)と僕が心の中で呟きた瞬間、憤怒の声が再度響き渡る。

『…しょーがないな、バレたのは俺が見られたのが原因だ。』

『俺が何とかする、何とかして見せるから体を少し貸してくれ』

(…まさか乗っ取ろうとか考えてないよな!?)

『…それもいいかもなぁ…ヒッヒッヒッ』と不気味な笑い声が脳内に響き渡る。

『ま、流石に冗談だ。』と、その男は平然と言ってのけるのだった。

そうして僕は一旦体の主導権を憤怒に渡す。


「さてと、ここからは俺の仕事か『変色(クロマリス)』」そう唱えると髪の色がスゥーッと紺色から金色へと変化する。

それと同時に騎士団らしき男達が階段を登ってくる、おそらく10名ほどだろうか?

「お前がレン・ヴァルデスか、私は王国第二騎士団所属、騎士団長『レオナード・グランヴェル』だ、お前が手配書の人物と似ているからと調査に来た。」そう言う男は重そうな鎧を身につけており、背中には巨大な斧槍ハルバードが携えてある。

そして、感じるのは圧倒的な実力…おそらくこの男、僕が出会った生物の中で1番強い、恐らくAランク…憤怒はどう行動するんだ…?

「残念ですが、僕の髪色は金髪です。」

「少し前までは帝国から逃げてきた影響で魔術を使い紺色に染めていただけで、それに目の色だって赤色でしょう?あの手配書には紺色の目、紺色の髪と書かれていたはずです」と僕の体を操るその男、憤怒はスラスラと嘘をつく。

「ふむ、それもそうだな…だが、それだと我々がお前を『容疑者ではない』と認める材料には少し足りないな…」と、そのレオナードと名乗る騎士団長の男は語る。

「と言いますと?」

「絶対に変えられぬ物、適正属性だ、あやつの適正属性は『無属性』、お前が無属性以外の魔法を2分以上持続できたら、認めてやろう」と、その男は宣言する。


そして——そして、僕達はニヤリと笑った。

憤怒は昨日あの少女を解毒した時、火属性を何時間も持続させていた。

それだけではない、コカトリスと戦う時も火属性だった。

つまりは僕と憤怒の適正属性はそれぞれ別に存在する——


そうして次の瞬間、憤怒は呪文を唱える。

「『炎の鎖(イグニス・リガーレ)』」


——そうして2分後

「…ふむ、勘違いしてすまなかったな」とその騎士団長は謝罪してくる。

「いえいえ、あなた達は仕事をこなしただけでしょう?」と憤怒は返す。

「…ご協力感謝する」そう言うとその騎士団達はそそくさとその場を後にした。


そうしてそのまま体の主導権は僕に戻り…

(ふぅ…何とか乗り越えたな)

『ああ、そうだな、ただ、これからは金髪赤目で過ごさないといけないな』

(もっとマシな色はなかったのか…?)

『…不満か?』

(いや、いいさ、それよりさっきの色を変える魔法、今度教えろよ)

『わかってるよ』

などと心の中でそいつと会話をしていた時、僕の部屋の扉が開く。


扉の向こうには黒猫獣人の少女が立っていた。髪は光を受けて黒曜石のように輝き、エメラルドグリーンの瞳がじっとこちらを見つめる。淡い色のチュニックに軽やかな短パン、足元には柔らかい革のブーツ——小さな体にぴったりの服装で、ちょこんと立つ姿はまるで天使のようだった。


「…あれ…臭いは一緒なのにさっきと髪色と目の色が違う…?」と、その少女は少し耳を動かしながら不思議そうに僕を見つめている。

「うん、少しあってね、僕はこれからこの髪色、目の色で過ごすことになったんだ。

その服よく似合ってるよ。」そう言うと少女は少し恥ずかしそうに下を向き。

「ありがとう…ございます…」と小さく呟く。

「…少し髪を整えてから話をしようか、桶に水を準備するから…湯浴みは1人でできる?」そう聞くと少女は申し訳なさそうに返答を返す。

「…ごめんなさい、そんなに湯浴みという物をやったことがなくて…」

「大丈夫だよ、これから慣れていけばいい…」と僕がそう言葉をかけ、頭を撫でようと手を伸ばした瞬間。

「ひっ…!ご、ごめんなさい…!殴らないでください…!」

少女の体は小さく震わせ、耳もぴんと立ったまま。目は恐怖で大きく見開かれ、まるで逃げ場を探しているかのように小さくうずくまり、距離を取って机の下まで行ってしまう。


『あーあ、こりゃフラれたな、お疲れさん、まぁ次があるさ』

(憤怒…!こんな時まで茶化すな…!)

『まぁまぁ、そう興奮するな、こういう時は何があっても諦めたらダメだ、優しく、敵はいないと知らせるんだ』

と、憤怒の声が脳内に響き渡る。


僕は半信半疑だが、憤怒の言う通り進めることにした。

テーブルの下の少女に僕は優しく声をかける。

「…大丈夫だから、僕は君を殴らない、だから出ておいで?ね?」そう言いながら少女の目の前に手を差し出した瞬間。

「っ…いやぁ!」

と、少女の声が響きわたり、次の瞬間。

僕の手が氷で覆われた——

「っ…!」と、僕はつい驚き、少し距離をとってしまう。

『ほぉ…氷属性か…しかもなかなかの魔力量だ』

と脳内に憤怒の声が響き渡る。


(僕にはわかる…この子の怖さも、不安も、かつての自分の姿と重なって見えるんだ…だから、絶対に見捨てられない)

そんなことを考えてるうちに手の氷はすぐに溶けたが、本当にこれを繰り返さなければならないのだろうか?と考えながら、僕は奮闘を開始する。


そうして40分後——

僕の手と腕、顔は引っ掻き傷や霜焼けでボロボロになっていた。

『…そのくらいの傷だったら後で俺が『治癒ヒール』で治してやるよ、それならまだ魔力消費が少ないからな』

その声を聞いた直後、僕はまた少女の目の前に手を差し出す。

「大丈夫、大丈夫だから…僕は君を傷つけない。」

そう言った数秒後、少女は言葉を紡ぐ。

「どうして…諦めないんですか…」と、まだ怯えている様子でそう尋ねてくる。

「…どうしてかな…強いて言うなら、君が僕の姿と重なったんだ」

「…姿が…?」

「ああ、そうだ、君は僕とよく似ている、僕も、深い絶望に堕とされた時があった…その時、とある人物が希望をくれたんだ、僕を救い出してくれたんだ。

僕に復讐の道を示してくれた、そんな人がいた。

君は、その人が現れる直前の僕にすごく似ている。だから見捨てられないんだ」

『お?その人ってまさか俺——』

(黙ってろ…!)


少女は小さく息をつき、少し肩の力を抜いたように見えた。耳も少し下がり、瞳にわずかに安心の光が差し込み、少しずつ机の下から出てきて…

「…ごめんなさい…」と、その少女から口から謝罪の言葉が出てくる。

「もう、大丈夫だから…」そう言うと僕はその少女を抱きしめた。


少女は抱きしめられ、体の震えがゆっくりと収まっていく。

少しずつ体の力を抜き、僕の腕の中に身を預けた。

「それじゃあ…湯浴みするから、ついてきてくれる?」

僕の声に少女は一瞬戸惑ったが、やがて小さく頷き、元気な声で返す。

「…!はい!」

その瞬間、僕は彼女の表情に、恐怖ではなく『希望』と『信頼』が宿っているのを見つけた。

肩の力が抜けたその姿は、まるで重い鎖を解かれたかのようで、かすかな笑みが唇の端に浮かんでいた。


* * *


光暦 976年 8月9日 午前12時 「フェルナ町 宿」


そうして僕は、そのナイフを抜き、そっと少女の髪に向ける。

ナイフをすっと動かすと、軽やかな音とともに『髪』が切れた。


「うん、大分顔が見やすくなったし、長かった髪も短くなったね、とっても似合ってるよ」

少女は少し驚いたように目を見開き、でもすぐに小さく笑みを浮かべた。

短くなった髪が、彼女の幼さと可愛らしさをより際立たせていた。


そうして僕は、その少女とのお話を開始——

ぐぅ〜っ…とどこからかそんな音が響き渡った。

一体どこから何の音だ?と、考えた時、すぐにその正体はわかった。

少女が妙に顔を赤らめ、お腹を抑えている。

恐らく彼女の腹が鳴ったのだろう。

そこで僕は思い出す、そういえばパン粥と副菜が先ほど部屋の前に運ばれてきていたなと。

「待ってて、今暖かい食事を取ってくるから。」と言い、席を立とうとすると。

「…そ、そんな!結構です!私お腹なんて空いてま——」

そして再度、ぐぅ〜っと音が鳴り響くのだった。


少女の前に差し出した食事、そこには湯気の立つお粥と、少量の漬物、柔らかく煮た根菜が並んでいた。香りは素朴で、どこか懐かしい家庭の匂いがした。

「…これが…食事…?」少女は声を震わせながらも、小さな手でフォークを握る。目は少し不安そうだが、それでも興味が勝っている様子だった。

「うん、ゆっくりでいいよ。焦らなくていいからね」僕がそう声をかけると、少女はゆっくりとフォークを運び、口に運ぶ。最初の一口で、彼女の瞳が少しだけ輝き、顔に柔らかい笑みが浮かんだ。

「…おいしい…」小さな声でつぶやく。

その言葉に、僕の心は温かくなる。これまで恐怖と絶望の中で生きてきた少女が、初めて「安心して食べる」ことができたのだ。少しずつ、お粥を口に運ぶ手が滑らかになり、目の奥には希望と信頼の光が宿っていく。

「よかったね…少しずつ、慣れていこう」

少女は小さく頷き、フォークを持つ手が少しずつ力を抜き、食事を楽しむことに集中していた。部屋の中には、柔らかな静けさと、湯気に混じったあたたかい香りだけが漂っていた。

『…随分と優しいんだな』

(さっきも言っただろ?この子はよく僕と似てる、だからこうするんだ)

『…そうか、ただ、手は出——』

(わ、わかってるに決まってるだろ!黙ってろ!)

『お〜、こわいこわい、流石賞金大金貨300枚の重罪人だ。』


そうして、今度こそ僕はその少女と『お話』を開始する。

「…まずは、私を買ってくれたこと、毒から救ってくれたことなど、ありがとうございました。」そう言うと、少女は深々と頭を下げる。

「…まず、聞きたいことがあります。あなた様の名前と、どう呼べばいいのか…です…」と、まだ少し怯え癖が残っているのか、少し怯えながら僕にそう尋ねてくる。

「僕の名前は『カイン・アルステル』、今はとある事情で指名手配されてしまって、『レン・ヴァルデス』を名乗っている。だから呼ぶ時はレンさんとか好きに呼んでもらって構わない。」それを聞いた少女は驚きの声をあげる。

「し、指名手配って…一体何があったんですか?」


そうして、僕はその少女に今までのことを話す。


「なるほど…そんなことが…」

「これから先、僕は言うなれば追われる身だ、味方が欲しかったが、普通の味方だったら裏切りが発生する可能性が高い。」

「でも奴隷は服従するように背中の魔法陣で制御される、だから僕は君を奴隷として買ったんだ。」そう告げる僕にその少女はまるで協力したいと思っているかのような目を向ける。

「…なるほど…つまり私は、レンさんと一緒に復讐を果たす…ということですか?」と下を向きながら尋ねる少女に俺は答える。

「…ああ、そうだ」と、肯定する。

「…私なんかにそんな役割、務まるでしょうか…」そう言う彼女に僕は手を差し伸べながら言葉をかける。

「大丈夫だ、人間誰しも強くなれる…僕だってまだ弱い、だけど、これから強くなる。だから、大丈夫だ。」

そう言って差し伸べた僕の手を、少女は一瞬ためらったが、やがて力強く握り返した。

「…はい! レンさんと、一緒に…!」


* * *


そして、僕は再びその『精神世界』へと呼び出されていた。

「さてと、楽しい稽古の時間だ」と言いながら憤怒がまたしても目の前に現れる。

「…ああ、最悪だ…」そう言いながらも僕はナイフを取り出し構える。

「さて、今回は最高記録の1分半を超えられるかな?」

そう——1分半だ、僕がこの男からの攻撃を防ぎ続けられた時間。

この男は、さまざまな記憶を、経験を、戦術を持っている、それ故に攻撃パターンに一貫性という物が存在しない。

僕はこの男にまだ一度も攻撃を当てられていないのだ。

「よっと!」

その掛け声と共に迫り来る高速の拳に合わせ、僕はナイフの背で受け流す。

受けてはダメだ、受けたらナイフごと僕の腕が折れてしまう。

そうして受け流した瞬間、脇腹に雷が直撃したかのような衝撃が走り、そのまま僕は吹き飛ばされる。

それは模擬戦開始からわずか2秒の出来事だった。

「かはっ…!がぁ…!」

息が抜け、肺が潰れたかのように上手く息が吸えない。

あれを現実で受けていたら即死だっただろう。

そんな倒れている僕にそいつは近づいてくる。

「お前は防御行動の後、左脇腹への意識が弱くなる。それに、『身体強化(コルプスエンフォル)』だって扱い切れていない」

「はぁ…はぁ…身体強化(コルプスエンフォル)?」そう言いながら僕はよろよろと立ち上がる。

「ああ、『身体強化(コルプスエンフォル)』は魔力を巡らせ、その部位を強化する物だ、だが、お前の魔力は、そうだな…ちゃんとその部位に維持できてないんだ。」と男は告げながら僕に指を指す。

「今だったら全身から魔力が漏れ出してる状態で、総合的に巡る魔力の量も濃度も弱くなる、そりゃあこんだけ弱くて当然だよな」そうして憤怒はとまた嘲笑の笑みを浮かべた。


…そうして僕はまた憤怒にボコボコにされる。

そしてそのボコボコにされてる間にわかったことがある。

憤怒は攻撃や防御の瞬間だけその部位に身体強化(コルプスエンフォル)を使っている。

つまりどういうことかと言うと、憤怒は圧倒的に効率がいいのだ。

さらに身体強化(コルプスエンフォル)の練度も僕と桁違いであり、技術の方もそうだ。

隙が全く存在しない、それか隙があったとしてもその隙の時間が短すぎるのだ。

「受け流すのはよくなったし、反射速度はものすごい速度で成長している、そんなに自分を悲観的に見るな」と、言いながらも僕に拳を叩き込む憤怒。

一体何なんだこの男は?


* * *


光暦976年 8月10日 午前7時 「フェルナ町 宿」


ゆさゆさと体を揺すぶられる感覚で目を覚ます。

「レンさん、時間です。起きてください」

「ん……ああ……おはよう」

昨日の午後は、彼女の基礎訓練で終わった。

驚いたことに、ナイフの扱いはすぐに形になったし、なにより研ぎ澄まされた勘の鋭さ。

気配を消した憤怒に近づかせても、彼女は瞬時に気づいてしまった。——常人ではあり得ない。


朝食を取りながら、ふと思い出して問いかける。

「そういえば、名前を聞いていなかったな。なんて言うんだ?」

「名前…ですか?…奴隷には名前は必要ないと言われたので…」

申し訳なさそうに、少女は俯いた。

「…いいんだ」

僕はその頭に手を伸ばす。

撫でられた途端、彼女は「ゴロゴロ」と不思議な音を喉から洩らし、尻尾をぴんと立てた。

——どうやら、かなり信頼してくれているらしい。


「…あの…迷惑でなければ…その…」と、少女は少し恥ずかしそうにそう言ってくる。

「なんだ?」

「わ、私に名前をつけてはくれませんか」その少女はそう勇気を振り絞ったかのように言う。

「…名前か…」

正直、名付けセンスに自信はない。

だが、目の前の少女は尻尾をフリフリと振り、明らかに期待している、この期待を裏切るのは正直心苦しい…

『…この子にはイリスという名前が似合うと思うぞ。』

憤怒は僕が名付けセンスがないのがわかっているのかサポートをしてくる。


そうして僕が熟考の末に導き出した名前を口にする。

「…イリス・ルミエール…なんてどうだ?」

「…!イリス・ルミエール…私の…名前…!」と心から喜んでいるようで、僕はホッと胸を撫で下ろす。


さらに驚きたことに、この子はどうやら適正属性を2つ持っている。

氷と火、火の方は恐らく憤怒の影響だろうが、感覚で魔力のコントロールも多少はできているし、この子、天才なのでは?と思い始める自分がいる。

そうして、僕達は冒険者ギルドへ足を踏み入れる。

「あれ?レンさん、なんか外見変わりました?」

と、前にも会った受付嬢「リリス・アヴェル」が話しかけてくる。

「ああ、リリスさん、実は少し前まで帝国から逃げてきた影響で髪色を変えていたんですよ。」と僕は憤怒が考えた設定をスラスラと話す。

「ああ、最近多いですよね、帝国から亡命者、なるほどレンさんもそうだったんですね」

「ところで、そちらの可愛い女の子は?」と僕の影に隠れるイリスに気づいたのか、リリスは喋りかけてくる。

「ああ、この子はまぁ親戚の子で…」

と今適当に考えた設定を口から捻り出す。

「そうだったんですね!じゃあこの子も冒険者登録を?」

「はい、よろしくお願いします。」


そうして、イリスはFランク冒険者となった。

そろそろナイフの素材と金も欲しいし、イリスの訓練にもなるなと思い、何かクエストを受けようと思い、僕はクエストボードに目を向ける。

冒険者ギルドはランクごとにクエストを分けている。

自身のランクと同等、もしくはそれ以下のクエストならば受けることができるが、そのランクの者に同行するという形ならばFランクのイリスもCランクのクエストについてくることができる。


「ん?これは…」

商人の護衛

報酬 大金貨1枚

ジャルディン領からドレヴィン領まで護衛してくれ。


と、書かれた依頼書が貼っている。

(ドレヴィン領、12ある領の中でも最も鉱山資源が豊富な場所だ。

恐らくはここならナイフの素材も手に入るだろうし、報酬も美味い。)

そう考え、僕はすぐにその依頼書を手に取り、受付に差し出す。

「リリスさん、このクエストを受けます。」

僕がクエスト依頼書を差し出すと、受付嬢のリリスはにこやかに応対する。

「はい、承りました。レンさん、この護衛依頼ですね。同行者は…」

僕はさりげなく影に隠れているイリスを示す。


「Fランクの冒険者ですが、一緒に同行します」

リリスは少し驚いた表情を見せたが、すぐにうなずく。

「なるほど、では同行者も含めて登録しておきますね」


さて——イリスの初仕事だ。


続く

〜あとがき〜

主人公「カイン・アルステル」

偽名 「レン・ヴァルデス」

髪色 紺色→金色

髪型 まっすぐと下に伸びる髪で、短い。

瞳の色 紺色→赤色

身長(10歳) 136.2cm

身長(14歳) 172.2cm

現在の年齢14歳

適正属性 無属性

固有魔法 『七罰の分身(ペルソナ・セプテム)

取得魔法 「探知魔法(サーチ)」「身体強化(コルプスエンフォル)ランクF」「魔力弾(ノクティス)」「視力強化(オキュルスエンフォル)」「火種(ピルナ)」「清水(アクル)」「氷結(グラナ)」「(ルナス)」「変色(クロマリス)


人格「憤怒」

髪色 白

髪型 腰くらいまで伸びており手入れはされていない。

瞳の色 深紅より赤く、深淵より深い。

身長 172.3cm

現在の年齢 不明

適正属性 火属性

固有魔法 『怒りの豪火フレムス・インフェルナ

取得魔法 現在未公開


第二騎士団騎士団長「レオナード・グランヴェル」

髪色 銀色

髪型 肩までの短髪で整った刈り上げ、戦闘向き

瞳の色 深い青色

身長 約190cm

現在の年齢 42歳前後

適正属性 光属性

固有魔法 現在未公開

取得魔法 現在未公開


ギルドの受付嬢「リリス・アヴェル」

髪色 栗色

髪型 ローツインテール

瞳の色 緑

身長 137.6cm

現在の年齢 10歳

適正属性 非公開

固有魔法 非公開

取得魔法 非公開


黒猫亜人「イリス・ルミエール」

髪色 漆黒

髪型 ショート

瞳の色 エメラルドグリーン

身長 127.1cm

年齢 10歳

適正属性 『氷属性』『火属性』

固有魔法 現在未公開

取得魔法 「氷槍(クオニスアーカス)」「火球(イグニススフィア)」「「身体強化(コルプスエンフォル)ランクE」「火種(ピルナ)」「清水(アクル)」「氷結(グラナ)」「(ルナス)

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