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7歳 役に立つこと

ある日、配達から帰ると、お客さんに話しかけられて、店主が困っていた。


「なに?なに?ドイツ語で話してくれよ?」


生地を計り売りしてほしいと言っているのは、フランス人らしい。ベルリンの中心部にはいろんな国の人がいるらしいけど、この辺では珍しい。


『これを?どれくらい差し上げましょう?』


『あら、やっと通じる子がいたわ!ワンピースを作るので、、、』

二人で話しながら、長さを計って、店主に説明する。

「この生地を、これぐらい、ほしいそうですよ」


ご婦人は、ご主人の仕事の都合で急に越してきたらしく、中々言葉に困っていたらしい。


『あなたは、、、小さいのに偉いわね?もう働いているの?』


店主が生地を用意している間、ご婦人と話す。

『ええ、少しでも、家計の足しになりますから。』

『ふううん、、、じゃあ、私のところでも働かない?ドイツ語を教えてほしいの。』

仕事は嬉しいが、、、今の仕事を急にやめる気はないし、、、

『・・・では、、、午前中だけ、でもよろしいですか?』

『いいわ!よろしくね!私の小さい先生!』


学校は、、、やめてもいいか、という究極の選択をした。


ご婦人は、伝票の裏に簡単な地図を描いてくれた。

『では、お待ちしておりますわ!』


次の日、地図を頼りに、大きめのアパルトメントにつく。

初めてお邪魔するので、教会用の余所行きのワンピースを着て行った。

ジュリア、と名乗ったそのご婦人は、旦那さんが貿易関係の仕事らしく、あちこち引っ越して大変なんだとこぼす。

『よろしくね。』

ドイツ語の簡単な読み書きから始めた。

こういう時に、教え方がうまかったオオタの知識が役立つのは、、、ちょっと。

まあ、無駄にならない知識だからいいか、と、気持ちを切り替える。


ジュリアさんから、フランス語を習った。


読み書き、、雑誌も何冊か頂いた。

最先端のファッション誌である!!思わぬ収穫!!素直に喜んだ。


お茶を飲んだり、その所作を習ったり、、、どちらが先生か分からなかったが、毎日楽しかった。いくばくかの小遣いをもらったが、こちらもフランス語を教わって、しかも、お昼ご飯も出してくださるので、とてもうれしい。

たまに、旦那様も在宅で、3人でお茶をしたりした。早口のフランス語はきつかったが、、、勉強になる。これからは英語も勉強しておいたほうが良い、と言われ、英仏の辞書を頂いた。いや、、、英独だともっと嬉しいのだが、、、と思ったが、ありがたく頂戴した。


旦那様は、うちが仕立て屋だと知ると、上着を何着か注文してくれた。いい人だ。


午後はいつもの店の店番。

店主は随分と信頼してくれるようになって、帳簿のつけ方まで教わった。

配達と掃除や商品整理も、手を抜かずにやった。


給金が、ほんの少し増えた。うれしい。


家に帰ってから、家族みんなで、頂いてきたファッション誌を眺める。

「はああ、、、こんなに体の線を見せるのかい?」

と、おばあちゃんが呆れたような声を上げる。最先端、だから。



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