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エリス ワイゲルト

私は、、、、今度の人生では、、、踊り子にならずに済みそうだ。多分。




劇場には踊り子の踊りを見に来ているのか、今夜の相手の品定めに来ているのかわからない男たちから、熱のこもった目で見られた。

私は、父親がまだ元気なころは、身売りの心配をせずに、踊っていられた。

きらびやかな衣装、心躍る音楽、、、、

練習はきつく、手にするお金もささやかだったが、、、、


父親が死んだとき、、、家には葬式を上げるお金さえなかった。

劇場の支配人にお金を借りに行くと、体を要求された、、、、

絶望、、、焦燥、、、

教会にもう一度お願いに行ったが、門前払いされた。


すべがなく、泣き崩れる私に声を掛けてくれたのは、、、、オオタ、、、


オオタは父の葬式代を出してくれ、毎月の生活費も援助してくれるようになった。

当然のように体を求められるのかと思っていたが、、、、彼は私に勉強を教えてくれた。私たち家族の生活は建て直された。住んでいた粗末なアパートは変わらなかったけれど。私は、、、、彼に感謝し、これが愛だと疑わなくなった。


国費留学を罷免された彼は、すべて、彼の才能を羨む同僚の仕業だと言った。

かわいそうなオオタ。

大学を首席で卒業した彼を、才能を誰よりも買われた彼を、、、陥れたのだ、と。

かわいそうなオオタ。


彼は、粗末なアパートに、私の家族と一緒に暮らし始めた。

私は相変わらず劇場で踊った。体は売らずに済んだし。

彼の友人が、彼の才能を惜しんで、新聞社の仕事を持ってきてくれた。

彼は、、、その新聞社の社説の翻訳の仕事を、一生懸命やっていたが、、それ以上所得が増えることはなかった。


貧乏ながら、つつましく、楽しい生活だった。

・・・・・そう、、、、私のお腹に赤ん坊が出来るまでは、、、、、




はっ、と目を覚ます。


夢だと解って、深く息をする。




カーテンの隙間から、ほのかに月の明かりがさしている。

自分の仕事用の机、自分のベット、、、、掛けていた布団を握りしめて、


・・・・大丈夫だ、大丈夫だ、と繰り返す。




結局のところ、、、、私、、、エリス・ワイゲルト、でなくとも、、、あの人は、やはり同じ道を進んでしまっていた。




年若く、食うに困っている少女は、この町にはたくさんいる。


私は、、、縫製組合に何人か、そう言った少女を雇い入れたが、続かずやめて行ったものもいる。華やかで、煌びやかに見える世界に憧れるのだろうか?踊り子になった子もいると聞いた。

・・・・・自分はどうだっただろう?


かわいそうな女の子に同情して、金銭的援助をする。

しかも、、、、そのお金は、自分で稼いだものでも何でもない、、、、


今ならわかる。それがどんなに愚かなものなのか。愚かな金の使い方なのか。


そうして、上を向いて口を開けたら食べ物のもらえるひな鳥のように金銭に恵まれた人はほんの一握り。それだって、いつどうなるか分からない。


・・・・オオタ?


あなたは大学を首席で卒業したのに?

何を学んできたの?

何を見てきたの?



あなたがくれたものは、本当に愛、だったの?



膝を抱えて、こぼれてくる月の光を眺める。






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