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エピローグ


「懐かしい……」

 

 ミルクティー色の軽自動車。私はこれから、この可愛い可愛い子と契約をする。

 ぶわりと香る金木犀。契約は無事に終わった。


 

「さ、白樹も乗って!!」

 

 これから、この子に乗って紅月(こうげつ)へと向かうのだ。

 

「シートベルトもしてね」

「しーとべると?」

 

 あれ? この世界に車はあっても、シートベルトはないの?

 それならばと、白樹のシートベルトをつけるために、身をのり出す。

 

「前、ごめんね」

 

 あと少しで届きそうなところで、ギュッと抱きしめられた。

 

「好きだ」

 

 耳元で囁かれた、掠れた声。ドクドクと速く鳴るのは白樹の心臓の音なのか、私のものなのか。

 

「愛している」 

「私も白樹のこと、好きだよ」

 

 驚きの表情で見詰められる。好きだと伝えたことはあったけれど、あれ依頼、私は言葉にしていない。

 

「愛してる」

 

 言って、照れた。けれど、白樹が真っ赤な顔ではにかむから、熱を持った瞳で私を見るから……。


「好き。好きなの」


 言葉を重ねた。想いを言葉にする。

 だが、それ以上言葉にならなくなった。触れるだけの優しい口づけに言葉が吸い込まれていった。


「一緒にいようね」

「あぁ。ずっと一緒だ」


 白樹は私を守ることに一生懸命だった。私もどうにかして白樹を守りたくて必死だった。

 ようやく隣を歩ける。そんな気がする。



「よし。出発するよ」


 エンジンをかける。契約すれば、ガソリンはいらないらしい。相も変わらぬファンタジーだ。


 後部座席にもトランクにも荷物がいっぱいだ。 白龍様が、私と白樹を紅月へと送ってくれるので、みんなは後からやって来る。



 ちりーん……、ちりーん。柔らかな風鈴の音。加速する車。どこまでも続く真っ赤な鳥居。

 車が鳥居の中を走り抜けていく。暴力のような圧倒的な数の風鈴の音。

 でも、もう怖くない。白樹がいるから。


「いってきます」


 さぁ、紅月へ──。



  ***


「おかえりなさーい!!」


 穢れのなかを女が嬉しそうに走ってくる。こいつの目には、穢れは見えていない。


紅烈こうれつは、いい子にしてた?」

「動かなかったよ。死んだんじゃない?」


 大人になった僕に纏わりついて、可笑しそうにくすくすと笑う姿は、本当にあの女と同じ花嫁なのかと疑いたくなる。


「邪魔だから、お前はついてくるなよ」

「えー。無為くん、遊ぼうよー」

「殺すよ?」

「はーい。ごめんなさーい」


 紅月の花嫁は、スッと引いた。 この女を殺すか、生かしておくか……。陽元の花嫁次第かな。

  早く欲しいな。確か名は、花……と呼ばれてたか。


「花、お前は僕のものだ」



  ──To be continued? ──




最後までお読み頂き、ありがとうございました。


国内編が終わりに伴い、完結とさせて頂いています。そのうち機会があれば、国際編も書けたらな……と思っております。


もし、少しでも楽しんで頂けましたら、下記にあります☆を★に変えて評価を頂けますと励みになります。


本当にありがとうございました。

皆様がこれからも、多くの物語と出会い、楽しい時を過ごされることを願っております。

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