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1話 前編 非常な転生

全てはここから始まった


1話 前編 非常な転生


【自分を取り戻し、不条理に挑め】


「はぁ…今日も徹夜かぁ…」


永久トワさーん、企画書まだですか~…」


社内に残っていた先輩が俺のデスクに近づいてくる。


「ちょっと待ってくださいよ…一旦コンビニで飯を買ってきても良いですか?」


「また残業する気か~?もう…栄養偏りますよ、はい」


なにやら、ピンク色の箱が机の上に置かれた。


「うお!まさかのお弁当ですか!?」


蓋を開け、中を見てみると三つのサンドイッチが丁寧に置かれていた。


「お昼の余り物だけど、あげる…あなたには倒れられては困りますからね」


「おっと…?それってまさかプロポ…ぐはっ!?」


頭に重いチョップが炸裂する。


「そんなこと考えてる暇があるなら、殴りますよ」


「もうそれに近いことされたような気がしますよ…なんてバイオレンスな…」


「私みたいな幼気いたいけな女性が、人を殴るとでも思っているの?」


「やりかねないから警戒してるんです」


「でも、元気は出たでしょ?」


「‥‥はい」


「ドМね」


「お黙りくださいお願いします」


「はぁ…企画書楽しみにしてるよ」


そう言い残し、先輩は自分のデスクに戻っていった。


「はぁ…食べよ」


先輩のサンドイッチを一つ手に取り、口へ運ぶ。


「美味しい…だけど…あれ…?これ辛くね…?」


それからのこと、俺は社内で辛い辛いと阿鼻叫喚、弁当をくれた彼女は抱腹絶倒、現在社内に残っているのは俺と先輩だけの為、恥をかかずに済んだ。ただ…


「なんですかこのサンドイッチ!?」


「まさかロシアンサンドイッチに3分の1ではずれを引くなんて…ぷぷぷ…」


「それならそうと言ってくださいよ!全く…はぁ…帰ろうかな」


「おっとそうはいかないよ!企画書が終わったら…いいとこに連れて行ってあげるから…ね?さぁ、気分を変えてやってみよー!」


「う~…分かりました…やりますよ…」


上手く丸め込まれてしまった…。


ただし、いいことしてくれるなら…というよこしまな気持ちだが、少しだけ頑張ってみようとキーボードの打ち込みをマッハ級の速度で終わらせていく。


これでもしかしたら俺も…DT卒業できるかもしれない…さぁ、やるんだ俺!終わらせるんだ俺!!!…待てよ?この流れってもしかして…?


‥‥退社後、俺は彼女に連れられて…


ガラガラガラ


「へい大将!いつもので!」


「やはりかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


そう、毎回毎日毎夜毎夜これだ!彼女の“いいとこ”は行きつけの居酒屋なんだ!!!それに毎回引っかかる俺も俺だが、なんでいっつもこうなんだ…!


「あれ?座らないの?」


「はぁ…座りますよ…大将さん、俺もいつもので‥‥」


「あいよ」


椅子に座るが、俺は少しのだけ頭を抱える…なぜだろう、毎回引っかかってきて、流石に嫌気が刺してしまう…はぁ…こんなんじゃ一生DTのままだろうな…


「あいよ、ビール2つだ。永久、ちょっと俺と話ししようや」


「え…?分かりました…先輩、少し席を外しますね」


「仕方ないにゃ~いいわよぉ~のほほ」


「もう酔ってやがる…」


そして席を立ち、大将と共に外へ出た


「なぁ、永久さんよ、また騙されて来たのか…?」


「は…はい…いつものパターンです…」


「お前はそのままで良いのか?」


「…いやです…」


「このまま、好意を伝えられないだといつかは後悔するぞ」


「…ですが…」


「おい、お前も男ならな女を押し倒す勢いで当たって砕けろ!俺は砕けたがな!ガハハ!」


「…わ、分かりました…今日こそ頑張ってみます!」


「それ、今まで何度聞いただろうな、ガハハ!」


「きょ…今日こそ伝えますよ!」


「そうか、俺はいつまでも応援してるぜ…」


「ありがとうございます!」


固い握手を交わす。俺の中で一つ決意が固まった気がした。


その時、店の扉が開き


「たーいしょーう!ビールおかわりと、焼き鳥のかわたれ・きも・ねっく!」


その先輩の光景に、俺と大将は笑い合い、


「あいよ!まっとき!」


店の中へ戻った…





…‥‥




俺の名前は【明野星あけのほし 永久とわ】、24歳でIT系企業に携わるしがない会社員だ。


だけど、女性経験も無ければ、彼女も居たことが無い。


IT系企業に行けばモテるだろうと、必死にキャリアを積み重ねてきたが、現実はモテるどころか友人すらまともに増えない。


別に、体系は太っている訳ではないし、通常の人よりは腹筋もあると自負している。


だが、一向にモテない!


その原因を探るが、何もわからない。


叩きつけられる現実のせいで、普段の仕事の手が付けられなくなってきた‥‥そんな時に、先輩は現れた。


先輩である、【苅間かりま 翠華すいか】さんは、俺の勤めている部署の総括を担当している


髪は赤毛という、日本人じゃなかなか居ない容姿をしていた。


最初のうちは、冷静沈着でどんな業務でもこなす容姿端麗完璧超人かと思っていたら


その日の歓迎会で、事件は起きた。


彼女は、とにかく酒癖が悪く、酒を一杯でも飲めば人が変わったようにはっちゃける。


まるで、別人のように人が変わってしまう。


そして、酔いつぶれた先輩を誰が家に送るかで相談になった時、結局くじ引きになって俺が引き当ててしまった。


これが、先輩との始まりだった。


「先輩…いくらなんでも無防備すぎですよ」


「ん~そう?でも、熱いからな~」


「周りの目もあるんですから…はぁ…俺のジャケットを貸します、家に帰るまではこれを着ててください」


「…わかった」


「でも、意外です…冷静でどんな仕事もこなすような先輩が酒癖が悪いなんて、でも、ギャップって言うんですかね?俺、結構そういうの好きなんですよね~」


「‥‥むにゃむにゃ」


「って先輩!?凄い…歩きながら寝てる…」


「むにゃむにゃ…」


「仕方ない…おんぶして帰りますよ、失礼しますね」


「‥‥・」


無言で先輩は、俺の首に手を回す


背中に、あの感触があって気分が高揚したのは置いておいて…


「むにゃ…」


先輩が何か言っている


「君は…合格…だよ」


その一言で、俺は先輩に恋をした。


人生で初めての恋愛的な感情だ。


その時は、アパートの家に送り、すぐさま自分の家に帰った。


すると、その日以降、俺と先輩は一緒に仕事する機会が増えた。


それと同時に、先輩からの悪戯も増えた。


だけど、それすらも愛おしく思えてしまう…そう考えてしまう…。


先輩も同じ気持ちだと良いなって何度も切に願う。




‥‥‥‥




先輩と俺は飲み終えて、店を後にした。


先輩と肩を組みながら、街中をゆっくり歩く。


「うぇ…気持ち悪い…」


「先輩、飲み過ぎですよ…てか、何度も言いますけど無防備すぎです!」


実際、先輩の胸が脇腹付近に当たってて、変に意識してしまう…


「良いじゃ~ん、減るもんじゃないし~」


「周りの目もあるんですから、多少は気にしてください」


「あれ~?心配してくれるのぉ~?」


「当たり前ですよ…!」


「そう…ありがとう」


先輩との会話を交わしながら、自宅であるアパートを目指して歩く。


「少し…眠くなってきちゃった…」


「わかりました、おんぶするので少しだけ寝ていてください」


先輩は俺の首に腕を回して、身を任せてくれる


「先輩…やっぱり気になりますよ」


周りの目が多くなるのを気にしないように歩いていると


「ここは只今通行止めでーす!」


と、前方から男性の声が聞こえてくる。


朝で見かけなかった規制テープ・救急車両・作業員の姿が多く見られる…どうやら、このルートで帰るのは困難のようだ


「先輩、起きてください」


「な~に?」


「遠回りして帰りましょう…ホテル街ですけど…」


「あれ~?今日は積極的なんだね~?」


「‥‥ほら、行きますよ!」


そうして、いつものルートを外れてホテル街へ続く道に進む。


すると、目の前には大きな横断歩道が見えてきた


「うーん…ここからは私も自力で歩くよ…」


「本当に大丈夫ですか…?」


「もちろんよ、ありがとね」


そうして、先輩を降ろした…けど、かなりふらついていて不安定な状態で、こっちが不安になる


「ほら!この通り…おっとっと…!」


ふらついて、横断歩道に出てしまった


「ほら、言わんこっちゃ…って!!!!先輩!!!!」


気づいた…


気づいた時には走り出していた


大きなクラクションの音が鳴り響く、


それでも先輩はふらつきながら歩いていく


「せんぱぁぁぁぁぁぁぁいっ!!!!!」


嫌だ


嫌だ


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!


先輩を死なせるものか!


先輩は!俺が恋をした、たった一人の大切な存在なんだぞ!


なんでだよ…


なんで、こんなことになっちまったんだよ…


先輩を押して、必ず助ける!


俺だけ死んでもいいから!


届け…!


届けよ…!


「とどけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」


伸ばした手は‥…









































「次のニュースです。昨夜未明、都内某所の横断歩道にて男性と女性の遺体が相次いで発見されました。倒れていたのは近くに住む会社員“苅間(かりま 翠華(すいか”さんと“明野星あけのほし 永久とわ”さんで、病院に運ばれましたが、その後死亡が確認されました。通報した住民は現場から“大きいトラック”が二人を轢いた後信号を無視し、走り去るのを見たと話しています。警察は轢き逃げ事件として捜査しています」 




























…届いて、いなかった


だけど、俺も死んでいる。


なんで…どうして…こんなことに…


俺は、何か間違ったことをしただろうか?


俺は、神を怒らせるようなことをしただろうか?


俺は、一人の大切な人も救えなかった


俺は、大切な人に何一つとして伝えることができなかった


俺は、俺は‥‥




『このまま、好意を伝えられないだといつかは後悔するぞ』



その通りだね…大将


結局俺は、何もできなかった…


「‥‥しゃさま」


クソ…!不甲斐ない自分に腹が立つ!クソ!


「ゆう…しゃ…さま…」


泣きてえよ…こんな不甲斐ない自分に…発狂したい程!!!


「勇者様!」


「はっ!?」


意識が覚醒する


「良かった、、召喚魔法の悪影響で取り乱す者も少なくはない…そなたは大丈夫のようじゃの」


ここは…どこだ?


そんなことを考えようとするが、もう、思考は一杯一杯だ


記憶の中で彼女を助けることができなかったことを悔やみ、涙を浮かべる


もう、彼女の事しか考えられなくなっていた


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


いつのまにか、知らない場所で発狂していた。


「勇者様がご乱心!?陛下、どうなされますか?」


「牢へ一日置いておけ、明日落ち着いた時にまた彼を見に行こう」


「陛下の仰せのままに、立て!勇者!」


‥‥


それから、何時間が経過しただろう…


薄暗い折の中、鼻にツンと香る異臭…どうしてこうなってしまったのか、何もわからない…。


ここはどこで、あいつらは誰で、どうしてここに来たのか、何もかもが分からない。


でも、一つだけわかることは、


俺と先輩は、共に死んだ。それだけだ。


俺の手は結局届いていなかった…


畜生…もっと俺に…力があれば…!!!


力が…あれば…


でももう、過ぎ去ってしまった事柄…


過去は、どう足掻いても変えられない…


「…それなら、生きている意味ってあるのかな…」


もう、自己嫌悪に堕ちるしかなくなった…


そんな時


コツコツと、誰かが靴音を鳴らしながら近づいてくる音が聞こえる


その靴音は、俺の牢の前で立ち止まる。牢内を人影が伸びる。


「誰だ」


「…お前は力が欲しいか?」


「は?いや、名前は?」


「yesかnoで答えろ」


「‥‥」


「お前は力が欲しいか?」


「あ‥あぁ、力は欲しいさ!結局俺は大切な人を守れなかったんだ…俺は強くなりたい…!」


「そうか…では、名を名乗ろう」


「え…あ、はい」


「私の名は、アンデルセン。しがない老いぼれ魔術師だ」


え…待ってよ?老いぼれにしてはかっこよくないか?


顔は白いローブ着てて分からないけど、口調から溢れ出る若者感…。


「老いぼれにしては…口調、若者っぽいですね」


「それより、お前は力が欲しいと言ったな?」


「あっ、はい」


うわぁ…話題逸らされた~…


「ならば、この老いぼれの力を分けてやろう」


「え!?本当ですか!?」


「私はもう、力なんぞ持ってても死が近いから必要ないんだ…もらってはくれんか?」


「…分かりました。私が貴方の代わりに、この力を使います」


「よし決まりだ、力を付与する代償として猛烈な眠気が襲ってくるから気を付けろよ」


「え、ちょっとまって…くださ…い‥‥よ」


あれ、急に視界がぼやけて…


そっか…俺も…これで…強く‥‥。





それから彼は、眠気に身を任せて眠りについた。




















「フハハ…私の役に立てよ、勇者」

神果みかんです

突然ですけど、新しいの書いちゃいました…。

書いて即出してるので、誤字・脱字あるかもしれません。

コメント・誤字・脱字報告お待ちしております。

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