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No9 手ごわいポワント
ポワントを購入したら、踊りやすいようにリボンの位置などを調整する。ポワント側も牙をむくが、やがて使用者の癖を呑み込み協力してくれる。しかし私は今回獰猛なポワントに当たってしまった。どうにかリボンをつけ、立って踊ろうとすると逆に倒そうとする。バレエ団仲間が集まってきた。
「早く脱いで」
私は泣きながら脱ごうとするができない。振付師が火炎放射器を持って駆けつけた。ポワントはそれを見て、私の足から脱げて逃げた。振付師はバーでそれを押さえつけ火炎放射器で焼却した。ポワントは断末魔の声をあげて消えた。
「店頭購入の際、化け物ポワントに騙されぬように注意しろと言ったはずだ」
「あれは一体何なのですか」
「万足に一足、バレリーナに憧れて死んだストーカーの魂が紛れ込む。困ったものだ」
「見分け方は?」
「持った感じが普通より333g多ければ危ない」
振付師は私に携帯スケールをくれた。気をつけよう。