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No49 感謝しなさい
「あなた自身の手足、目と口と鼻にお礼を言いなさい。周囲の木や花にお礼を言いなさい。そして、生きていることにお礼を言いなさい」
「はぁ」
「トウシューズを履いて踊れることにお礼を言いなさい」
「まあね」
「舞台の主役を務められることにお礼を言いなさい」
「しつこいわね。私の努力もあるはずよ」
「その努力ができるのも、神さまのおかげですからお礼を言いなさい」
「はぃどーも」
神の堪忍袋の尾がきれたらしく、傲慢なバレリーナを瞬時にネズミに変身させた。チューチューと抗議していたが、神が姿を消すとネズミもどこかに行ってしまった。
数年後、神は再度降臨した。例のネズミがネズミ姿のまま踊っている。天敵の猫や狼をも魅了しているようだ。
「反省していないようだな」
「どんな姿にされても踊るのは、私の舞踊欲が神を超越しているから」
神はその心意気に驚き呆れ元の姿に戻した。バレリーナは神に初めて感謝した。




