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No47 オーディション後に



 私はバレエ団の振付師。次の公演にあたりダンサーを募集したら、三十人ほど集まった。バーで半数を落とし、センターで更に落とす。男性1名、女性2名を採用した。落選者は帰ったが、一人不満を訴えて帰らぬ女がいる。その人は一番最初に落とした人だ。

「きみは基礎がないから落とした」

「どうしても舞台で踊りたいのです。きっと成功しますからお願いです」

 その自信が羨ましいぐらいだ。女はその場でまた踊ろうとする。私が再度断ろうとすると、鏡越しに女の背後に大きな羽が見えた。今までなかったはずだ。

「なんだ。キミは人間でないのか」

 女はあわてて羽を隠した。バツの悪そうな顔をしている。私は言った。

「飛べるなら合格だ。基礎から教えるから指導についてこいよ」

「ありがとうございます」

 特殊な技能とバレエ愛があるなら基礎は何とかなる。私の目論見は当たるだろう。女は魅惑ある笑顔で堂々と羽を出して飛び跳ねている。



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