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No32 ピエロ団員



 バレエ公演でもピエロが出てくる演目は結構多い。跳躍も多く元気な若者がやれる役だ。Aはずっとそんなピエロ役だが公演には出ない。団のレッスン場に出現するだけだ。そして公演前の殺気立った雰囲気を和らげてくれる。Aは私生活は一切語らぬ。住所も年も不明。創立当初から在籍していて年をとらぬが、誰もAを追求しない。

 いつでもピエロ姿で「おはよう」と颯爽としてバレエ団に入ってくるらしい。ある団員がAを追跡したら敷地から出ると消え失せたという。でも幽霊ではない。踊っている分にはAは実際にいるし、パドドゥもやれる。そんな話を開設者から聞いた私はAにあわせてほしいと言った。

「それがね、団員でないと見えないのよ」

「座敷童のようなものですか」

「ええ。今もここでピエロ役の踊りをレッスンしているわ」

 他の団員の目線がレッスン場中央の端から端に動いていて確かに誰かが踊っている。私の目に見えないのが実に残念だ。




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