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No3 呪文
バレエレッスンも終盤に入り先生が指示する。
「アラベスクシャッセランベルゼピルエットトリプルトンベパドブレグリサードアサンブレパドシャピケダブルアンデダンフェッテフェッテアラベスク長く引っ張って足四番後ろにカンブレ返してイタリアンフェッテ続けてアチチュードターンブリゼブリゼシャッセグランジャンプ」
全員そつなくこなしたが私だけできなかった。先生が真剣に私に問う。
「そこのあなた。二本しかない足をなぜそんなにもつれさせることができるのですか」
私はからまってしまった足をほどきながら呻く。
「すみません…頭までもつれてしまって振り付けも忘れました」
先生は優しく言った。
「今度は簡単なふりつけをしましょ。ぴけぴけしぇねしぇねぴけぴけしぇねしぇね。これならできるでしょ」
挑戦したが今度は丸まって団子になった。めでたしではない。