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No26 世界初インフルエンザバレエ
インフルエンザが流行し一向に収まる気配がない。催行主である私はバレエ公演中止を決めた。すると、ダンサーたちが反対する。
「我々は踊りたい。世の中全てがインフルエンザでいっぱいですし、いっそホールではなく病院で踊りましょう」
ダンサーたちも熱があるので、いざ倒れても病院ならすぐ診てくれるという計算もある。というわけでインフルエンザの患者だけを診るインフルエンザ専門病院の広間でインフルエンザ患者を前にインフルエンザダンサーがインフルエンザバレエを踊った。
これはダンサーがウイルスに扮して次々と他のダンサーにタッチすると同じ踊りになるというもの。単純な振り付けにしたが、踊るのも観るのもその上医療従事者側も全員が患者なので熱に浮かされて大拍手。そのうえ、このバレエを観るものは軽症化の上、完治することが判明した。観客たちはエンドレスでアンコールを要求し我々もエンドレスで踊る。新バレエの誕生だ。




