21/50
No21 妖怪子泣き爺バレリーナ
男性と組んで踊ることをパ・ド・ドゥというが某バレエ団で男性たちから一緒に踊ることを嫌がられるバレリーナがいた。リフトの時に彼女を持ち上げると急に重くなって腕や腰を痛めるからだ。彼女もそれを知り団長である私に相談してきた。
「体重は増えていません。急に重くなる自覚もないです。が、バレリーナとしては死活問題です。団長、私はどうしたらいいでしょうか」
「原因に心当たりはないのか」
「先週、肝試しで妖怪山に行きました」
「なんでバレリーナが肝試しを…? まあ原因はそれだろ」
「申し訳ありません」
「妖怪山といえば、有名な子泣き爺のふるさとだ。捨て子と思って哀れみ抱っこすると急に重たい爺になるというアレだ。とりあえず除霊をしてもらえ」
神社で祈祷してもらうと体重問題は無事治癒し、パ・ド・ドゥを組めるようになった。ただ私生活まで治らなかったようで彼女の夫が彼女に押しつぶされて圧迫骨折したらしい。




