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No2 ネオバレエ


 レオタード姿で鏡の中の己の姿を見る。先生は私の横に立つ。

「背は垂直に足を開いてつま先立ち」

「はい」

「つま先立ち」

「はいっ」

「もっと」

 先生はすぐに空中に浮く。私も天井まで飛んで踊ってみたい。しかしできない。先生は浮いたまま私を見下ろす。

「一センチでも浮いたら踊れるのに」

 私の心は沈んだ。水泳教室でも浮くことができず、やめさせられた。バレエ教室でもやめることになるのか。鏡越しに飛びながら踊る友達を恨めし気に見る。何をやってもダメな私は涙をぽたぽたと落とした。涙がレオタードを濡らし足を濡らし床をも濡らす。涙で床に埋もれて溺れそうになった。皆が驚いて集まってくる。涙の海で足掻く。気が付けば私は泳げていた。先生が励ます。

「その勢いで飛んで足を挙げて」

 床の水面から飛べた。次に床に潜りまた飛んで踊る。空間を自在に操る。先生が吠えた。

「史上初の鬼才出現ッ」

 喝采が私を包んだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「涙がレオタードを濡らし足を濡らし床をも濡らす。涙で床に埋もれて溺れそうになった。皆が驚いて集まってくる。涙の海で足掻く。気が付けば私は泳げていた。」この部分の表現は物理的でなく精神世界の話…
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