17/50
No17 バレリーナ刑事の講義 その2
今回はバレエ殺人犯の習性を講義します。殺人後に犯人は、アラベスクで勝利のキメポーズをとることがあります。皆さんご存知のようにアラベスクは何種類かあります。ワガノワ式とチェケッティ式などの流派もあり、それぞれのポーズが微妙に違います。そのポーズでもって犯人のバレエ歴と指導者の履歴までわかりますので、指紋捜査よりも貴重です。
アラベスクではなく勝利のフェッテの場合ですが、キメポーズが立位もしくは座位の時があります。それで犯人の性格もわかります。立位だとそのまま高速トンデバドブレしながら逃走。座位だとバレない自信があり、犯行後も何食わぬ顔をしてスタジオに戻って踊っています。犯行現場で監視カメラが作動していたら、こうして分析しましょう。質問はありますか。
「ダンサーの犯人は殺人後も必ずポーズするものですか」
バレリーナ刑事はゆったりとしたイタリアンフェッテを続けつつ微笑む。それが答えだった。




