表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/50

No11 私の行き先


 築三百年の汚いビルの入り口をくぐり、エレベーター前の段ボールとペットボトルを足で払いのけ、悪臭を吸いこまぬよう息をつめる。揺れるエレベーターに乗って四階で降りる。とたんにアールグレイの良い香りがする。美しい壁画調の通路を通って突き当りが私の行先。クラシック音楽が耳に入る。あれは黒鳥の第九ヴァリエーションだ。急がないと。

 ドアはアールデコ。その前にたむろしている人々を越え前に出る。この重いドアをいつまで開閉できるか。でも皆こうやって出入りする。入れぬ人々が目に涙をためて立っている。バレエグッズでいっぱいになったバッグを肩にかけて。踊りたいのに中に入れてもらえぬ人々。私もいつか年老いてそうなる。うらやましそうな視線を受けながら、ドアノブをやっとの思いで回して入室する。

「おはようございます」

 狭いレッスン場は選ばれし人々で混雑している。部屋に入れるだけで光栄だ。安堵のため息が今日も出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ