夢で逢えたなら…異世界でも
リハビリに書きかけを直してみたけど、1000文字は難しい。
…ああ、また夢か。
もう4年も前のことなのに、忘れられない。
『もう、会えないんだ。ごめん』
突然別れのメールが来たその日は、あたしの短大の卒業祝いにと、彼と洒落たレストランで食事をすることになっていた。
そんな中でのこのメール。
あまりにも悔しくて、悲しくて、苦しくて。思いっきり呪詛にも似た言葉を吐いた。
「この世界から消えて、居なくなってしまえ」
その言葉の通り、その日から彼は居なくなった。
噂によれば海外で放浪の旅にでて戻れなくなったとか、山で遭難に遭っただの、仕事の失敗で逃げたとか、一貫性のない噂で溢れていた。
だけど誰も女が出来たから、とは言わない。
それだけ周りから見えても、自分でも愛されていると信じていた。
いずれ結婚を視野に入れていたのもあるかもしれない。
でも、一番の原因は…。
彼が居なくなり住んでいたマンションの家賃が払われないために、引き払われることになった。その部屋を彼のご両親が片付けにやって来たとき、テーブルの上にあたしに送ろうとしていた指輪が残されていたらしい。明らかに約束していたレストランで渡す用意をしていたもの。
だからこそ彼の両親は居なくなった原因は、何かの事件に巻き込まれたのでは?と捜索願を出した。
あたしも事情聴取を受けることになったのだが、そのメールを見せれば逆に同情された。
他に女が出来て、逃げたのだろう。そう位置づけてもおかしくない内容だからだ。
でも捜査が進むにつれわかったことが1つ。このメールの前日から携帯の記録が途絶えていたそうだ。だからこのメールの記録は当然残っていない。
あたしはそのメールの画面を暫く唖然として見つめていた。
何を信じて良いのか、わからなかった。
ただ「探さないでくれ」漠然とそう言われてる気がした。
『彼はここにはもう居ない』
だけど、忘れられない。
今でもあのメールは唯一のつながりのような気がして、消すことができずに残されている。
あの言葉は、あたしに負担を掛けないための嘘だと信じたいのかもしれない。
答えはいつまで経ってもでない。
今日も夢の中の彼は愛しそうにあたしを見て、大きな優しい手で頭を撫でてくれた。
いつもの夢のはずなのに、何故か涙が止まらない。
頬に流れる雫を拭う指に…温もり?
まさか、まさか!
―――夢じゃない?!
もう、一人は嫌だ!
連れて行って!!
「会いたかった」