2話:マックの元になったパソコン、アルト
またマイクロコードが利用可能な16ビット・ビットスライスプロセッサーを備え128キロバイトのメモリ、最大512キロバイトまで拡張可能。そして2.5メガバイトのリムーバブルハードディスクを補助記憶装置として搭載。ロバート・メトカーフらによるイーサーネット接続ユニットを介したAlto相互およびミニコン・サーバーやプリンターとのLAN接続機能も有していた。
1973年春頃にプロトタイプ、ビブロ「Biblo」が稼動をはじめ、その後メモリ増強などの拡張を伴ったアルト2「AltoⅡ」、販売を目的にしたアルト3「AltoⅢ」まで作られ合計2000台弱製造されたが、結局、特に安価に販売する事についてゼロックス上層部の理解が得られず市販はされなかった。
メインフレーム「大型コンピュータ」やミニコンピュータ「ミニコン」に代表される専門技術者が業務に使用することを目的としたコンピュータが中心のこの時代にあって、アルト「Alto」は個人が情報ツールとして使用することを想定したパーソナルコンピューティングの方向性を強く打ち出した。これは現在のパーソナルコンピュータにも直接つながる考え方である。
アラン・ケイらによってアルト「Alto」上で開発された世界初のマウスベースのオペレーティングシステム的存在であるスモールトーク「SmallTalk」はパーソナルコンピューティングの方向性を顧客に示すだけでなくオブジェクト指向の概念を本格的に取り入れた設計で開発者にもアピールした。
この時のオブジェクト指向によるオペレーションシステム「APIやフレームワーク」設計は、現在最先端と言われるオペレーションシステムにも今なお色濃い影響を与え続けている。1970年代半ばには既にウインドウシステム、メニュー操作、アイコン付きパレット、WYSIWYGエディタなど、現在のパソコンに匹敵する特徴も備えていた。
実は、あまり知られていないゼロックスが開発した販売を目的にしたアルト3「AltoⅢ」が世界初のマウスベースのオペレーティングシステム的存在であるスモールトーク「SmallTalk」はパーソナルコンピューティングの方向性を顧客に示すだけでなくオブジェクト指向の概念を本格的に取り入れた設計で開発者にもアピールした。
これを見たアップルコンピュータのスティーブ・ジョブズに大きな影響を与えLisa・リサやMacintosh・マッキントッシュを開発させるきっかけとなったと言われている。