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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編④
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99話 まずは一歩

アンヘルを取り戻し、日常が戻ってきた。


1日学校を休んでしまったから蒼音に文句言われそうで怖いが、まぁ多分なにもないだろう。


「あっ、」


とか思っていたら正門前で鉢合わせる。こっち凄い睨んでるんだけど、怖い。


「柊くん、女たくさん連れて登校とか気色悪いわね。あなたみたいな人が生徒会と関係を持ってること自体恥だわ」


「相変わらず酷いことをなんの躊躇いなく言うな。結構傷つくんだぞ……」


「そうですよ、酷いです蒼ちゃん! 」


ティタニアが俺たちの間に入ってくる。そのことより、あいついつの間に蒼ちゃんなんて呼ぶようになったんだ?


「ティタニアさん……私はあなたに蒼ちゃんと呼ばれる筋合いないと思うのだけど」


「えっ、いいじゃないですか可愛くて。私は呼びたいです! 」


「そもそもそこまで仲良くないですけど」


「それなら今から友達になりましょう! 連絡先交換しましょ!! 」


蒼音が少し引くぐらいにティタニアは積極的だった。ティタニア凄いな……蒼音にあんな顔させるなんて。


「ティタニア最強説」


「急にどうした葉月? 」


「だって蒼音を引かせるって相当だよ? それは和人もわかってるよね? 」


「うん、それはわかる」


だからこそティタニアを凄いって思うんだが。最強説は言い過ぎでは?


「あの子の行動力や明るさが時折羨ましいわ。私だったら無理なとこあるし」


「確かに千華は能力上疲れちゃうもんな」


この後結局蒼音はティタニアと連絡先を交換した。交換してる最中に「柊くんって疫病神よね」とか言われたのは普通に効いた。


「おはよう三宅」


「あぁ、おはよう柊」


教室に着くと、すでに着いていた三宅に挨拶をする。相変わらず勉強熱心で、今は化学の参考書を開いていた。


「昨日はどうしたんだ? 」


「実は風邪ひいちゃってさ。体調管理ミスっちゃって」


学校は風邪で休んだってことにしている。堕天使と戦って気絶したから休むっていうのは冗談としてしか捉えられないし。


「そうか、これが受験期じゃなくてよかったな。体調管理は本当に気をつけた方がいい」


「うん、それは凄いわかった」


俺はその後も三宅と話し、朝のホームルームを迎えるのであった。



放課後になると、いつものように部室へと足を運ぶ。


が、その道中にまたしても蒼音と遭遇する。


「……」


蒼音はこちらを睨みながらも足早にすれ違おうとする。


そしてすれ違いざま、

「私はあなたより上に行くから」

そんな言葉を言われる。敵視……されてるよな……


この関係どうにかならないだろうか……嫌われててもいいからもう少し軟化な関係になりたい。


……みんなに相談してみよ。



「なるほどね〜あの中学の頃からずっと向けられる一方的な敵意を少しでも払拭したいと」


「うん、いい方法ない? 」


俺は部室に着くなり葉月に相談してみた。葉月は腕を組んで考え込む。


「うーん難しいけど、一度lineで話してみたら? 交換してたよね? 」


「なるほど」


lineならお互いに顔を見ないでいいので気楽だし、もしかしたらちゃんと話せるかも。


「私も見たいです! 協力しますよ! 」


「一応私もなにかできるかもだから協力するわ」


葉月の隣でお菓子を食べていたティタニア、俺の隣にいる千華も協力してくれる。凄くありがたい。


「私も力になるよ」


千華の隣に座っていた冬もそう言ってくれる。ちなみに、1年組は今近くのコンビニに買い物に行っている。飲み物やお菓子の調達の為だ。


「とりあえず、入りから大事だよ! 最初のアプローチみんなで考えよう」


「そうね……無難に生徒会と絡めればいいんじゃない? 」


「あっそれいい、そうしよ……私打つね」


葉月は俺の代わりに画面に打ちこむ。


『生徒会は今どんなことやってるんだ? 俺たちが力になれることありそうか? 』


「疑問形を使うことで相手は返してくれる確率上がるし、『あなたの力は借りないって言ったわよね』ってツッコミ待ちもつくったよ」


「これなら既読スルーはある程度防げるね。あとはどう返してくるかだね」


「だな。というかみんなで俺のスマホの画面見てるの恥ずかしいんだけど」


今の状況は、テーブルに置かれた俺のスマホをみんなで見ながら蒼音に対してのメッセージを考えている。履歴とか遡られたら嫌だなとか思ってしまう。別にやましいものはないけど。


「あっ返信来たよ! 」


既読がついてからすぐに返信が来る。なにが来たのかドキドキしてしまう。すぐに終わらないでくれ……


『順調よ、あなたの仕事はない』


「あれこれ詰んだ? 」


すっごい嫌な予感が頭を駆け巡る。嫌われ度が凄いからそもそも会話ができないんだ。


「いやまだいける、任せて! 」


そんな葉月は頼りになった。ここから挽回できるなんてやっぱり葉月は、

『そんなこと言って本当は俺のこと好きなんだろ? 』

凄いなとか思った俺が馬鹿だった。自爆特攻仕掛けるな頼むから……


「これ最悪ブロックされるんじゃないの……」


「うん……そうかも……」


「わかっててやるなよ! 」


「ごめん手が滑った! 軽い冗談でいこうと思ったら自爆しちゃった」


葉月は手を合わせて謝罪する。ティタニアも冬も不安そうに見つめる。


千華はふぅと息を吐くと、「任せなさい」とスマホを操作し始める。


『ごめん葉月がふざけて送っちゃった。ほんとにごめんな、貴重な時間を使わせちゃって……』


「凄いです見事なリカバリー。流石は千華ちゃん! 」


「これいいんじゃない!? 蒼音も罵倒で返信してくれそう」


その言い方は悪いだろ。それだとまるで俺が罵倒を待ってるみたいになるんだが……俺が待ってるのは普通の返信だから!


心の中でツッコんでいると、既読がつく。返信くるかな?


『あなたのせいで1分以上無駄にしたわ。腹切って詫びて』


棘のある返信が来た。短い文に言いたいこと全部詰まってるな。


「これどうする? 」


「……和人パス。これはふざけても終わるからあんたに任せるわ」


千華は普通に謝っても話が繋がらないから俺に選ばせてきた。


……ここまで話せれば上出来か。


『ほんとにごめん。でも、力になりたいのは本当だから。嫌いでもなんでも俺は助けたいと思うから……だから……』


ここまで打っておいて最後の部分で悩んでしまう。なにを書いても冷たい一言で終わってしまう……そんな思いが脳を支配する。


それでも、伝えていかなきゃこの関係が変わることはない。だったら……


『困ったら呼んでくれ』


いくら蒼音に嫌われようと、これだけは変わらない。蒼音の凄さを知っているからこそ、潰させるわけにはいかない。


俺の送った言葉は既読だけついて、返信は来なかった。


とどいてくれているといいんだけど……



その後は戻ってきた1年組と世間話に花を咲かせ、最後にティタニアがアンヘルについての悩み相談を行い、今日はお開きとなった。

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