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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編②
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81話 新年と買い物

「福袋買うぞー!」


「おぉー!」


昨日、ティタニアのマッサージからどうにか復帰した俺は、この世の終わりみたいなメンバーと買い物に来ていた。


なぜかというと……


「先輩、あけましておめでとうございますっす。」


「同じくおめでとうございます。あと友恵が『今年もよろしくお願いします』だそうです。」


葉月とティタニア、花火、秋穂と一緒だからだ。千華はバイトで、冬は家族と出かけるから来れない。


で、あともう一人の部員の睦月はというと、なんか神社行くから無理って返信きた。


こうなるとひとつの事実が重くのしかかってくる。


そう、こいつらの面倒を俺一人でみないといけないことだ。葉月が少しは手伝ってくれるかもだが、基本的にあいつは自由にやるからな。はぁ……胃が痛い……


「あぁ、おめでとう。」


「なんかテンション低いっすね。もっと上げてかないと。」


「そうですよ、新年早々辛気臭い顔しないでください。」


後輩2人からの指摘をうけるも、いまいちテンションが上がらなかった。


3人のうち誰か助けて……あっ睦月が来たら悪化しそうだから2人か。


「和人くんすごいですね!色んなセールやってますよ!福袋もありますから買いに行きましょう!!」


一番の危険因子であるティタニアが話しかけてきた。この子の対応ばっかりしてると他が変なことし始める恐れがあるんだよな……あれ、4人って幼稚園児だっけ?


今回は大型デパートに来ている。三賀日が終わっているのにも関わらず人が多い。


「ひとまずゲームコーナーいくよ。福袋人気だからすぐ売り切れちゃうし。」


葉月の先導でゲームコーナーに向かう。その道中、ティタニアと秋穂が蛍光灯に誘われる虫みたいに他の場所に行こうとしていたので、すかさず止める。


ゲームコーナーにはたくさんの人が訪れていた。福袋余ってんのかな?


「おっ、あったよ。それも5つ。」


「それなら私も買えますね。この日の為に貯金しといてよかったです。」


葉月はともかくとして、秋穂も買うようだ。秋穂もゲーム好きだし当然か。


「私福袋も好きですけど、それよりもワゴンセールが好きです。」


「あーわかる。あの色んなゲームが乱雑に置かれてる感じいいよね。」


「そうなんですよね。しかも安いし思わぬ発見もあるので好きです。」


葉月と秋穂の2人は福袋を手に、ゲームトークに花が咲かせている。


「でも福袋もいいよね。このギャンブル感たまらない。」


「わかりますそれ……やらないゲームや既に持ってるゲームが出たらショックですけど、その分掘り出し物が出た時の嬉しさは段違いですよね。」


「そうなんだよ〜」


「2人ともゲーム好きっすね。私は体動かすことばっかでゲームあんまりやらないっす。」


「花火のそれは予想通りすぎる。」


「先輩はゲームとかやるんすか?」


「割とやるな。葉月に誘われることが多いから。」


「なるほど〜」


俺たちはキリのいい所で話を切り上げ、レジでお会計を済ます。目的の品が買えた2人はほくほく顔だった。


「さっ次は服を見に行こうか。そこの近くにスポーツ用品のコーナーもあったし。」


「いいっすね!私新しいランシュー買おうかな。先輩も一緒に見るっすか?」


「そうだな、俺も見るよ。」


花火の提案をすんなり受け入れる。俺も今履いてるやつがそろそろ買い替え時だからな。


俺は花火と一緒にスポーツ用品売り場に足を運ぶ。そこの隅に靴のコーナーがあるので、そこで選ぶ。(隅とはいっても売り場自体が大きいので小さくはないのだが)


「先輩っていつもどんなの履いてるんすか?」


「俺はランシューだよ。機能面で見ちゃうからスニーカーとかは履かないな。」


「あーなんか想像できるっすね。私もローファーは窮屈なのでついついランシュー履いちゃうんすよね。どうせ走りますし。」


「あー……」


ランニングシューズが積み上がっている場所で靴を選びながら話す。その感性わかるかも。


「私靴に関してはこだわりないのでシンプルなのしか買わないんすよね。」


「俺も似たようなものだな。大体黒か紺を基調としたものしか買わない気がする。」


「赤とか黄色とか……派手なの買っても困るっすからね。私のセンスがないだけでしょうけど。」


「それすごいわかる。」


ファッションって難しいよな。だから千華とか葉月とかは尊敬できる。


だって呼吸するように服合わせするんだもん。あれ見て「えっ……」ってなるからな。


「でも先輩よりはセンスあると思うっす。」


「それは否定しない。」


「よし勝った。」


花火が小さい争いで喜んでいる。


「じゃっ、いいのあったら買っちゃいましょう!」


「そうだな。」


俺たちはそれぞれで物色を始める。


このメーカーの靴は足に合ってるからここから選ぶか。色はシンプルでいいから……


「和人くん見てください!可愛い服あったので買っちゃいました!安かったです!!」


靴を選んでいると元気な声とともにティタニアがやってくる。声からしてわかるがかなりご機嫌だ。いつもより身振り手振りが大きいのもその証拠だ。


「よかったな。」


「えへへ〜。あっそうだ、和人くんはどんな靴を買うんですか?」


「ランシューだよ、動きやすいから。」


「いいですね。私も買おうかな……ローファーとかだと急な戦闘の時動きにくいんですよね。」


その心配するの世界でお前ぐらいだよ……その言葉が出そうになったがすんでのところで呑み込む。そうともいえない気がしたからだ。


銀戦教会なんて組織があるぐらいだから、俺の知らないところで別世界のような出来事が起こっていてもなんら不思議じゃない。


「これとかいいですね、可愛くて。サイズ合うかな〜」


こうしてティタニアは気に入った靴を見つけると、下に積み上がっている箱をとり、試着する。


「サイズ合いますね。よし買っちゃおう。」


ティタニアは即決で買うことを決め、箱をレジに持っていく。


俺も早く選ばないとな。


その後、足にしっかりとフィットする靴を見つけ、レジで精算した。正月セールで安くなってたしありがたかった。


「あっ和人靴買ったんだ。」


店を出たところで葉月たちがいたので合流する。


「買い替えなきゃなって思ってたからな。それよりそっちは大丈夫だったか?変なことしてないよな?」


「先輩は心配性ですね。私と葉月先輩は誰にも迷惑をかけることなく静かにショッピングしてましたよ。」


「そうそう、迷惑をかけるのは和人だけだって決めてるから。」


「そういうこと決めるなよ!」


「私たちだってハメを外したい時あるんだからいいじゃない。」


「だからってなんで俺なんだよ!」


「信頼してるからかな。」


「その信頼は他に生かしてくれ。」


素直にそう願った。この4人の対応は大変なので勘弁してほしい。


「私も買ってきたっす!」


「私もです。」


「2人も買ったんだ。どんなの買ったの?」


葉月は花火とティタニアの2人と楽しそうに話す。その手には新しいレジ袋がさげられていた。またなにか買ったのか。


「あっそういえば……新学期に入ったら生徒会新しくなるんですよね。」


「あぁそうだな。去年の12月の選挙で決まった人たちが本格始動するんだ。それと同時に風紀委員も委員長が変わるな。」


「久木野瀬先輩とあの会長さんが変わるんですよね……なんか新年って感じがします。」


「そうか?」


俺たちは雑談を繰り広げながら今日の時間を楽しんだ。

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