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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編②
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78話 初詣

気づくと満天の星を眺めていた。周りには明かりというものはなく、ただ純粋な星と月の光が辺りを照らしている。


そして、俺は1人ではなかった。隣にはフードを被った女性がいた。顔は見えないがフードからはみ出る綺麗な紫色の髪は確認できる。


(なんか……落ち着くな……)


この人と一緒にいると落ち着きながらもどこか胸が高鳴る。


これは夢なんだろうけど、不思議と現実感が強いんだよな。


どこか夢のような浮遊感を持ちながらも意識ははっきりとある現状を不思議に思いながらも、せっかくなので今の光景を堪能しようと星を眺めていると、


突如として世界が変わった。


今までの綺麗な世界とはうって変わって、赤々とした世界に変わる。


いつの間にかあの女性もいなくなっていた、そのことに気づいた瞬間、血みどろの映像が怒涛の勢いで流れる。


「やめてください、お願いしま__」


「お願いだからこの子だけでも助げ__」


「この悪魔が!!」


「殺してやるぞ!」


それと同時に人の悲鳴が、罵声が大音量で響く。罵声は自分に当てられたものだと反射的に理解できた。だが、この悲鳴は一体。


(俺がやった……のか……?でも、こんなの知らない……)


目の前に広がっているものは耳を、目を塞ぎたくなるものだったが、塞いでもなにも変わらない。


だって、これは頭の中に直接響いてくるから。


心拍数はとっくに上がっており、嫌な汗もかいている。手に血のべったりつく感触が鮮明すぎて気持ち悪い。


数々の衝撃的な光景の先の終着点、それは……


「っ!?」


最愛の人との最期だった。それも望んでいないかたちでの。



「__っ!」


気づけば俺は飛び起きるかたちで現実に帰還していた。あの夢のせいか汗をべっちょりかいており、呼吸も荒かった。


「はぁ……はぁ……初夢からタチが悪すぎるだろ……」


俺の隣に眠る彼女の顔を確認すると少し安心できた。だが、それと同時にそこの見えない不安感に襲われた。


あの夢は一体なんなんだ……?ただの夢で終わればいいんだけど__



「ぷはぁ〜お雑煮美味しいです。和人くんおかわりありますかね?」


「あぁ、あるよ。」


あの後、ひとまずあのことは考えないようにした俺はみんなと一緒に朝食をとっていた。


ティタニアは変わらず元気でよく食べる。他のみんなも変わらず元気だ。


でも俺はさっきのことがずっとひっかかっている。考えないようにしてるんだけどな……


「?、和人、なんかあった?おせちの味付け間違えたとか。」


「えぇっ!?私美味しくてたくさん食べましたよ?」


いつもと違う様子に気づいたのか葉月が心配してくれる。


「いや、なんでもないよ。」


俺は、今この場では偽ることにした。変な夢を見たなんて言えないし。


「……なんかあったら言いなさい。少なくとも私には、ね。」


「……了解。肝に銘じておくよ。」


千華にそんなこと言われたら頼らないわけにはいかないので後で軽く話しておこう。


「おいひぃ〜」


「そんなに急がなくてもいいんじゃないですか姉さん。喉に詰まっちゃいますよ?」


「大丈夫!ちゃんと噛んでるから。むふ〜」


いつもの様に楽しいと思える時間を過ごしていく。そういえば今日はこの後初詣に行くんだっけ。


ちゃんと家内安全を祈願しないとな……



朝食をとった後、少ししてから初詣に行くために家を出る。外は当然のごとく冷たい空気に包まれていた。


「寒ーこたつが恋しくなるね。」


「さっきまで入ってたでしょ。」


「和人くん!神社に着いたらなにか買いましょうね!」


「さっき朝ごはん食べただろお前。」


もうこたつが恋しくなった葉月と食べ物を食べたいティタニア。新年早々いつも通りの2人は猫の話題で盛り上がっていた。


「ラムちゃんも可愛いですけど、もっと他の猫さんたちと触れ合いたいですよね?」


「それわかる。野良猫とか見るとついつい遊びたくなっちゃうよね。」


「わかります。そしたら結構懐いちゃって、アンヘルに怒られました。」


「姉さんは野良猫とか野良犬とかよく連れ帰って来ましたから。その度に戻すように言ってるんですけど……あまりに頻度が多くてもう怒るしかなくなっちゃって。」


「それは大変だったわね。うちも下手したらそうなってた可能性あったわけだから……恐ろしいわ。」


千華はあり得た可能性を想像して身震いする。


「うぅ……これでも和人くんたちに迷惑かけないようにしてるんですよ?ここに来て猫さんたちと遊んだのは3回ぐらいですし。」


「あの時より結構減りましたね。孤児院の時は50回ぐらいやってましたから。」


「多いな……」


俺たちは雑談をしながら神社へと歩いていく。


「おぉ〜すごい人ですね。」


神社に着くとティタニアが声をあげる。元旦ということもあり、ここには多くの人が訪れていた。


また、十を超える屋台があり、ティタニアは目を輝かせていた。


「あまりの人の多さに目眩してきたわ……五月蝿いし。」


「大丈夫か?」


「えぇ、なんとか。」


夏祭りの比ではないほどの人の数なので、千華にとっては嫌な場所である。ひとまずは大丈夫のようだが、体調が悪そうなら休ませることにした。


俺たちは人の列に並び、お参りの番を待つ。


「お参りお参りチャーシュー麺〜」


その途中、ティタニアは不思議な歌を歌っていた。チャーシュー麺どっから出てきた?


「姉さん、お参りの仕方はちゃんとわかってる?」


「大丈夫、ちゃんと予習してきたからバッチリだよ!二礼二拍手一礼だよね!」


ティタニアがちゃんと作法を予習してきたことに感心してしまう。祈ることに関しては孤児院からやってたからちゃんとしてるのかな?


「ほっ、ちょっと安心しちゃいますね、姉さんがしっかりしてると。」


「だな。」


「ティタニア、お金いくら用意した?私777円。」


「なんだその無駄に良さそうな金額。」


「いや〜お姉ちゃんにこのこと相談したらこの金額がいいよって帰ってきたから。」


「いや、もうちょい用意のしやすい金額にしなさいよ。それめんどいでしょ。」


「えっだいじょぶだよ。だってちょうどここに昨日から準備してた777円があるから。」


葉月が取り出したのは予備の財布だ。その中には777円きっちり入っていた。


「準備いいな。」


「もちろんだよ。これで色々お願いするんだから。」


葉月のことだから自分の健康のことから願わなくてもいいことまでお願いしそう。神様も大変だな。


「私は500円いれます!これで今年も美味しいものをたくさん食べさせてくださいってお願いするんです。」


「ティタニアは安定だな。」


「予想通りでなんか安心するわ。」


「もっもちろんみんなの健康も祈願しますよ!?」


わかりやすいくらいに動揺するティタニア。この焦り方は普通に忘れてたやつだ。



長い待ち時間をこえて、お参りをする。俺はお賽銭として100円を投げ入れ、お祈りする。


今年もみんなと一緒にいれますように


純粋な願いだった。能力者でも大切な仲間がこれだけできて嬉しいから。こんな自分でも受け入れてくれる人がいるから。


これだけは失いたくない。


て言ったって能力者以外の友達はまだ1人だけだから、もう少し頑張らないとなんだけどな。


「ふぅ、それじゃあ屋台でなにか買いましょう!焼きそば食べたいです!」


「いいね!私はりんご飴で。和人奢って?」


「それは自分で払ってくれ。」


「ちぇっ、ケチ。」


「まぁみんなで見てまわりましょ。私もなにか買いたいし。」


「それじゃ早速行くぞー」


「おぉー」


「あっ姉さん走ると危ないですよ!……行っちゃいましたね。」


「まったく、しょうがない子たちね。3人でまわりましょうか。」


「だな。そうだ、2人にはお世話になってるしなにか奢るよ。」


「あら、いいの?後で葉月たちからバッシングうけるだろうけど。」


「その時はご飯を多くしたり、好きな物作るから大丈夫なはず。」


後で必ずバッシングうけるのはわかっているけど、多分これで許してくれるはず。


「それじゃ、お言葉に甘えさせてもらいましょうか。」


「はい、そうですね。」


こうして俺は、楽しそうな千華とアンヘルと一緒に、屋台をまわり始めた。



ちなみにこの後、ティタニアの為にたくさんの料理を作ることになるのだが、それはまた別のお話。

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