75話 大晦日~唐突な終了~
「うんしょ……えいしょ……」
ティタニアと一緒に倉庫の掃除をする。ほうきで軽くゴミをとったあとはたくさんある物品の整理をしていく。
「それにしてもたくさんありますね。和人くんはここにあるもの大体把握してるんですか?」
「半分くらいは把握してる感じだ。ここにはかなり昔からあるやつも多いから。」
「ということはお宝が見つかるかもしれませんね。探してみませんか?」
目を輝かせて自分わくわくしてますよ感を存分に出すティタニア。
「お前目的忘れてないか?」
「うぅ別にいいじゃないですか。ものの整理も立派な掃除ですし。」
「お前の場合は漁りたいだけだろ。」
俺は嘆息しながらもとりあえずはティタニアの案にのることにした。まだ時間は全然あるしな。
「あっ剣道の防具一式ありますよ。あとで教えてください。」
「俺剣道はやったことないんだけど。武器の使い方は教わったけど。」
「あれ、そうなんですか?」
「まぁでも木刀とか竹刀とか薙刀とか……そういうものの使い方とかは教わってるから教えられるけど。」
「本当ですか!?教えてください!」
「わかったよ、あとでな。」
「わぁい。」
木刀などの使い方を教えてもらえることになってティタニアは嬉しそうだ。鼻歌交じりにダンボールを開けて中身を確認する。
「うわっ……これ懐かしいやつだ。」
俺が見つけたのはボウガンや弓、それに使える矢だった。これらは俺が小さい頃使ってたものだ。山でのサバイバルや実践訓練でも使った覚えがある。
というか改めて思うとここって武器倉庫かってくらい色んな武器があるな。
「そんなものまであるんですね。ちょっとびっくりです。」
「こんなもんじゃないよ。昔は爆薬やトラップも使ってたからな。ワイヤートラップとか。」
「ほんとにどれだけ過酷な生活おくってたんですか!?紛争地域の人より酷そうですよ!」
「まぁ父親が厳しかったからな。実践訓練では火力落としてあったけど地雷やらトラバサミやらも使われて地獄だったな。」
「和人くん……ちょっといいですか?」
「ん、なんだよ?」
急に神妙な面持ちになるティタニアに疑問の顔をすると、なぜか抱きしめられた。というより顔を無理やり引き寄せられて彼女の胸に捕まった。
「!!?、」
なぜという思いが先行するが、早くここから抜け出さないとという思考にすぐさま変わる。じゃないと窒息死しそうな程に強く抱きしめられてるし。
俺はどうにかして彼女から離れると、酸素を求めて大きく呼吸する。
「急にそういうことするなよ!びっくりするだろ!」
「あぁすみません。和人くんが可哀想だったので、つい抱きしめたくなったんです。」
「なにその母性みたいなやつ。」
「うぅだって和人くんの過去は辛いって聞かなくてもわかるんですもん!癒してあげたくなります!」
「癒してたんだなあれ……」
俺には突然のことすぎてなにがなんだかわからなかった。
「というか和人くん、私のことお姉ちゃんと思ってくれていいんですよ?ちょうど私の方が誕生日早いですし。」
「いやどっちかっていったら妹だろお前。頼りないし。」
「酷いです〜!そんなこと言うんだったらもう一緒に遊んであげませんからね!」
「なんでそうなるんだよ……」
ティタニアは最近なにかと俺のことを気にかけている。俺の過去が酷いから甘やかしてくれている感じだろうか?お節介ではあるんだけどな。
「……ごめんなティタニア、言いすぎた。」
お節介ではあるけど彼女の気持ち自体は嬉しいのでちゃんと謝っておく。
「じゃあ一緒に遊んでください。ひとまず姉は諦めますので。」
「あっうん、わかった。」
「ふふっ、それじゃあ早速居間に戻って遊びましょう。」
「おい待てまだ終わってないからな?」
「えっそうなんですか?今のところどのくらい終わってるんですかね?」
「まだ半分。遊びたいならとっとと終わらせるぞ。」
「そうですね、わかりました。私頑張りますよ!」
この後遊べることになって大変嬉しそうなティタニア。……やっぱ妹だろこの子。
その後、倉庫内の荷物の整理を2人で集中して終わらせると、一旦居間へと戻る。
「アンヘル、葉月たちの分担場所てもう終わった?」
「いえ、まだみたいですよ。帰ってきてませんし、なんだか騒がしい様子でしたから。」
「2人で遊んでるんですかね?私も混ざりたいです。」
「掃除中ってこと忘れるなよ?」
「はい……」
うずうずしだしたティタニアに釘をさし、葉月たちの様子を見に行く。千華がいるからもう終わってると思ったんだが……なにかあったのかな?
声の聞こえる方へ向かうとそこは葉月の部屋だった。
「おいお前らなにかあった……か?」
部屋に入るなり固まってしまう。目の前には衝撃的な光景が広がっていた。
それは、
「あっ和人いいところに、ちょっと手伝って。」
「和人助けて!こいつが私に変なの着せてくる!」
目を輝かせながらなにかの服を持つ葉月と、なぜかナース服を着ている千華がいた。
「うん……お前らなにしてんの?」
「千華にコスプレさせてる。」
「一応理由を聞いとく。なんで?」
「年末だから。」
「わけわからん……」
葉月はコスプレが趣味で、よく自分の衣装を作っているが他人のまで作り始めるとは……ちょっと想像してなかった。
「いやさ、みんなの衣装何着か作ったから着てほしいと思ってさ。で、今日は大晦日だしはっちゃけてもいいかと思ってこうなりました。」
「こうなりましたじゃねーよ!千華結構嫌がってたぞ!」
「いやでも似合ってるよね?」
「まぁそりゃとっても可愛いと思うけど……そこじゃないだろ。」
俺の発言で千華が「そう……なんだ……」と言ってそわそわし始めた。なんか失言したっぽい。
「着せるにしてもちゃんと合意をとろうな。流石に葉月も嫌がる相手に無理やりも気分良くないだろ?」
「まぁそうだね、そこは反省点だね。次から気をつけるよ。」
「でさ、」と葉月が続ける。嫌な予感……
「和人たちもコスプレしない?作ったり仕入れたりしたから。」
「いや、俺は嫌__」
「してみたいです!!」
俺の言葉を遮るようにしてティタニアが元気よく返答する。
「ほら和人くんもやりましょうよ!きっと楽しいですよ。」
「そうだそうだ、観念しろ。」
「私も賛成。」
「あれ、ここに敵しかいないんだけど。」
これは少数意見の尊重なんて完全無視で話が進むやつだ。
「うんじゃあ決まり!じゃあ早速みんなで着ようね。」
「私アンヘルも呼んできますね!ア〜ン〜ヘ〜ル〜」
ティタニアはステップを刻んでアンヘルの元へと向かった。これ……どうなるんだろ……
かくして、葉月によっていきなりコスプレ大会が始まるのであった。




