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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編②
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71話 買い物

今年も残り数日、今日は年末年始のための買い物に来ていた。


ショッピングモールにはこの時期ということもあり、いつもより多めの人で賑わっていた。


ここに来ること自体がそうそうないので、今日は色々買いだめしようという次第だ。


ちなみにここ、食料品の他に雑貨や玩具など幅広い商品を取り揃えている。その分広いけど。


当然ながら買う量がかなり多くなるので、今回は助っ人を連れて来ている。


「先輩、まずはなにから買いますか?」


オレンジ髪のサイドテールとオッドアイを持つ少女、しっかり者のアンヘルが来てくれたのだ。結構助かる。


ちなみに千華は今日、友達との用事があったため欠席だ。また、他の2人は連れてくるべきではないと判断したので置いてきた。


「そうだな……雑貨からいくか。食べ物系は最後にしたいし。」


「はいっわかりました。……それにしても先輩、今日の私の服どうですか?」


「すごく似合ってるよ。可愛らしくていいと思う。」


今日のアンヘルの服装はとてもおしゃれで可愛らしく、隣にいる俺が申し訳なくなってくる。


あんまりファッションの事がわからないから釣り合ってるのかがわからないんだよな……


「ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。」


アンヘルは柔和に微笑む。優しい光にあたっているようで心が浄化される。


「あっお時間取らせてしまってすみません。早速向かいましょうか。」


「そうだな、向かおっか。」


俺たちは雑貨コーナーへと足を運ぶ。このショッピングモール自体で年末セールをやっているのでいつもより安く買えるのが嬉しい。


「まずはここで色々補充しておこう。ここは広いし色んなものがあるから探しものもあるはず。」


俺はメモを見ながら買うものを手に取っていく。スポンジや年末の掃除で使う用具、洗剤、ストック用の歯ブラシなどをカートに入れていく。


「先輩、電池持ってきました。」


「ありがとう。」


「いえいえ。それにしても結構買うんですね。」


「まぁな。予めトイレットペーパーなんかの大きくて大変なものは他で買っておいたけど、安いときに買いだめしておかないとあとで高くつくからな。年末はセールやるから特に狙い目なんだよな。」


「でも、買いすぎちゃったりはしないんですか?」


「そこはちゃんと事前に計算してるから大丈夫。メモもあるから書いすぎることないし、これで赤字になったことないしな。」


「あっ、確かに先輩のつけてる家計簿見ると赤字がなかったですね。お金の収支ってどうなってるんですか?」


「収入としては俺のバイト代が大半だよ。家庭教師と居酒屋、あと地域の色んな場所で臨時バイトすることもあるから……月結構稼いではいるな。家庭教師の給料いいから。」


「他だと千華と葉月が毎月バイト代の一部を入れてくれてるし、ティタニアたちの補助金も使ってるから5人で暮らすぶんには困らないよ。」


「……すみません先輩。」


「えっと……急にどうしたの?」


「先輩にそこまで忙しく働いてもらって私は家で家事しかできていないなんて……申し訳なくて。」


「アンヘルはまだ中学生なんだしいいんだよ。それに今の生活は楽しいから忙しくたっていいんだよ。」


「楽しい……ですか?」


「まぁ学業とバイトでバタバタしまくって忙しいけど、それでもみんなとあの家で過ごせることがとんでもなく楽しいんだ。」


「そう……なんですね。」


俺の言葉を聞いたアンヘルはどこか安心したように胸をなでおろす。


「アンヘルは気にしすぎだよ。俺らの中で一番年下なんだからもう少し気楽に考えていいと思うんだけどな。」


「うぅおっしゃる通りです。でもやっぱり気になってしまって。こんなにいい暮らしをさせてもらってるわけですし、色々やらなきゃって思ってしまうんです。」


「……いい妹すぎる。ティタニアが羨ましいな。」


「あはは、ありがとうございます。」


この後は食料品売り場に向かって年末年始に必要なものを買っていく。


冬に欠かせないみかんや餅、おせちに使う材料なんかをメインで買っていく。


「今日のお夕飯はどうしますか先輩?」


「そうだな……温まるものがいいし鍋にしよっか。」


「あっいいですね。みんなで楽しく食べられそうですし。お野菜をたくさん入れましょう。」


「そうだな、今日はちょうど白菜が安いから少し多めに買っとこうか。」


アンヘルと鍋の相談をしながら必要な材料をどんどんカートに入れていく。


競技の結果、今回は寄せ鍋にすることに決まった。


「あのっ先輩、お肉は買わなくていいんですか?」


「あぁそれは大丈夫。昨日知り合いのところで臨時バイトしたらお肉貰ったから。しかも牛。」


「すごいですね!あっでも姉さんがほとんど食べそう……」


「まぁ……そこは止めるから大丈夫。」


「手伝います……」


お互いティタニアのことを考えて不安になる。あの子もちゃんとわかってるんだろうけど心配だ。


お会計を終えると、たくさんある荷物をアンヘルとわけて持つ。比率としては俺が多めだ。


「先輩、私もう少し持てますよ。」


「ありがとう、でも大丈夫だから。そんなに負担にはならないし。」


「でも先輩は毎日忙しいですし、この時ぐらい楽したっていいと思います。」


いつもだったら引き下がるところを今回は全くひく気配がない。どうしたんだろ?


「私は今日の話を聞いてもっと先輩のお役に立ちたくなったんです。ですから……頼ってください。」


どうしてこの場面で満面の笑みを浮かべられるんだろう……こんなの見せられたら断れない。


「……わかった、じゃあもう少し持ってもらおうかな。」


「はい、お任せ下さい。」


アンヘルはやる気満々で応じる。押し切られちゃったな……


「そういえば先輩、好きな食べ物はなんですか?」


「突然だな。」


「えと、少し気になってしまって。駄目……ですか?」


「別に駄目ではないよ。そうだな……みそ汁とか茶碗蒸しとかかな。」


「なるほど……和食が好きなんですね。」


「まぁ小さい頃から馴染みのあったものだからな。それに母さんが和食得意っていうか、それ以外全然できないって感じだったから、小さい頃なんて洋食や中華はほぼ食べたことなかったな。」


「確かに家からして和のイメージが強かったですけど、それほどだったんですね。」


「だから初めて中華食べた時は味が濃くてむせた。」


「あー……」


アンヘルは「それわかります」といった表情をする。


「で、なんで俺の好物なんて聞いたんだ?」


「えとそれは……あとで作ろうと思いまして。先輩にご馳走しようかなって。」


「?、それは嬉しいけどどうしてだ?」


「お礼です。短い期間でしたけど色々していただきましたし、きっとこれからもお世話になるので。 」


アンヘルは若干頬を赤らめながらそう話す。


「そっか、ありがとう。そうだ、もしよければ俺が教えるよ。」


「いえいえ、ここは私一人でやりたいので大丈夫です。……あとで教えてはもらいますけど。」


「了解、楽しみにしてるな。」


「あっ先輩、もうひとついいですか?」


「いいよ、どうした?」


「先輩にとって千華さんはどのくらい大切ですか?」


「……世界で一番っていうのもそうだけど、一生傍にいたいほどには大切だって思ってるよ。」


「ふふっ、そうなんですね。」


「てかなんでこんなこと聞くの?恥ずかしいんだが。」


「すみません先輩、ただの興味本位で聞いてみただけです。お二人共とても仲がいいので。」


「そうなんだな……」


アンヘルも意外と茶目っ気あるんだな。昼間からこういうこと言うもんじゃないな。恥ずかしい 。


そんなことを考えていると、小さな声がふと耳に飛び込んできた。


「かりそめの愛ごときで幸せになんて絶対させない……」


「……!?」


びっくりして声の方に振り向くとアンヘルが驚いた様な顔をしていた。


「どうしました先輩?」


「いやさっき声が聞こえたんだけど。」


「声?どんなものですか?」


「女性の声でなんか物騒なことを言ってた。」


「先輩もしかしてお疲れですか?でしたらすぐにでも休んだ方が……」


「あーいや俺は大丈夫。それよりも早く帰ろうか。多分、さっきのは俺の勘違いだろうし。」


「そう……ですか。ならいいんですが……」


俺は頭を振って気持ちを切り替えた。気のせいに決まってる、だってあの声の主は……


(考えるのはやめよう。今は夕飯のこと考えとかないと。)


俺は自分にそう言い聞かせ、帰路についた。

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