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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編②
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64話 能力測定

今日は天夜さんに呼ばれ、話をする予定だったのだが、なぜか今、俺たちPSY部の面々は体育館に集合していた。しかもジャージ。


なんでも、能力測定をやるらしい。


事の発端は30分前に遡る……


いつものように理事長室に入った俺は天夜さんと話し始めた。


「今日来てもらったのはみんなの能力について話したくてね。」


「アナライズや歪曲のことですよね?一体なにを……?」


「率直に言えばみんなの今の能力の力を測りたいんだ。特別な場所でね。」


「なるほど……睦月や葉月、花火なんかは能力が暴発したら危ないですし、予め知っておくってことですか。」


「理解が早くて助かるよ。そう、香坂さんや緋色さんなんかはまだまだ制御に不安定な部分もあるかもだし、早めに今の状況を知っておきたいんだ。」


「確かにそれは必要なことですね。能力っていつの間にか大きく成長していることがありますし。」


「そう、能力者は初めから能力を制御できるわけじゃない。体、心の成長と共に能力も成長し、そして鍛錬や本能で制御できるようになっていく。」


「そうですね。俺も小さい頃は視界に入るもの全てに能力が働いちゃってよく脳がオーバーヒートしてました。」


あの頃の経験をふと思い出す。あの時よく母さんが心配してあわあわしてたけど、少ししたらあの人もぶっ倒れてたな。


「また、能力は精神面が大きく影響を及ぼすことがわかっていてね。感情が昂った時、心に大きなキズをおった時なんかに能力が暴発してしまうことがあるんだ。それは和人くんもわかってるよね?」


「そう……ですね。」


それを聞いて思い当たる節がいくつかある。


「しかも、能力は今の君たちぐらいの歳が一番伸びるんだ。だから定期的に能力の上がり幅を知らなきゃいけない。」


確かにそうだ。今の時期が伸びるんだったら、いきなり大きくなった能力を制御できなくなる……なんてことも最悪起こり得るもんな。


「ということは早めにみんなを集めた方がいいですよね。いつにします?」


「そこはもう決まってる、今日やるんだよ。緋色さんにはもう伝えてあるから今頃測定場所に向かってるんじゃないかな。」


「準備早いですね。それじゃあ俺も早く向かった方がいいですね。場所はどこですか?」


「それはね……」




「にしても、なんで体育館なんだろ。流石にここぶっ壊れるだろ。」


天夜さんとの会話を振り返り終えると疑問を声に出す。グラウンドの方がいい気がするんだが。


「その点に関してはお任せ下さい!」


俺の疑問に答えたのはティタニアだった。


「私が体育館全体に結界を張るので壊れることは疎か、傷つくことすらありませんよ。」


ティタニアは得意げに胸を張る。それなら大丈夫……なのかな?


「大丈夫。ティタニアさんは秘密組織、銀戦教会でかなり上の階級だから能力の高さは保証されてるよ。」


「なんですか銀戦教会って……?」


「銀戦教会、それは悪霊や怪異、悪魔や吸血鬼なんかの人類に敵対するもの、その可能性があるものを掃討する組織だよ。一応政府公認の組織だけど、その存在を知っているものは極小数なんだ。」


「へぇーすごいですね!なんかそういう組織って憧れるよね。かっこいい。」


「ふえへへ〜照れますね〜」


「葉月は憧れなくていいから。絶対危ないからやめなさい。」


「はいはいわかってるよーだ。」


「それじゃあこれから能力測定を始めようか。まずは雪原さんや夢宮さんなんかの危険性が少ない人からいこうか。」


天夜さんの音頭で俺たちは動き出す。


そしてどこからともなく現れた研究員のような方々が測定のサポートをしてくれる(天夜さん情報)。


最初は俺や冬、千華なんかの危険性の少ない能力から測定していく。


「雪原さんは簡単なインタビューに答えてもらおうか。」


「はい、よろしくお願いします。」


千華は測定の仕様がないのでインタビューで済ませることになり、俺は実技とインタビューの両方をうけた。


そして冬はというと、連続でテレポートをしすぎた為、現在気持ち悪そうにしている。


「大丈夫、冬?はいお水。」


「ありがとう千華。ちょっと気持ち悪いぐらいだから大丈夫……あとお水はいらないかな。」


冬は顔色が悪いながらも柔和に笑って対応する。顔は笑っていても体調が悪いのは明白なので、心配になってしまう。


「とりあえず少し横になった方がいいんじゃないか?冬の出番はもう終わりだし。」


「そうだね。そうさせてもらう。」


冬はタオルを枕代わりにしてぐったりとする。測定が終わる頃には元気になっているといいんだが。


「それじゃあ次は柳沼さん、お願いするよ。」


「わかりました。」


秋穂は呼ばれると、その場に転がっているボールやタイマー、ボールの(かご)なんかを悠々と浮かして動かしていく。


「やっぱり素晴らしい能力だね。非現実的だけど、能力が一般的に認知されれば思う存分人命救助や復興作業に役立てられるよ。」


「能力の事を一般的な人に認知されるって……ほんとに現実的じゃないですね。」


「そうなんだよね……そこがやっぱり一番の課題だ。」


能力者の認知、それはとんでもなく難しいことだ。ただ伝えるだけなら簡単だが、現代の人間の何割がそれを信じるだろう。恐らく半数に近い数の人間が「嘘だ」と嘲笑するだろう。


仮に信じてもらえたとしても、その先にさらに問題が待っている事は明白だった。


自分たちよりも特別な力を持つ能力者……それは憧れと共に畏怖や嫌悪の対象になってしまう。もし能力者が弱い自分たちに襲いかかって来たら……もし能力者が国を統治して自分たちを虐げたりしたら……怖いから、だから集団で罵詈雑言、時には暴力で能力者を潰しにくるだろう。


安易に能力者の存在を知らせる事は自殺行為だ。それによって俺らが悲惨な死に方をするかもしれないから。


天夜さんはそんな課題と闘っている。俺たちのために必死で。


……本当にこの人には頭が上がらない。既に色んなものを貰ってしまっている。なにか……返したい。


そんなことをぼんやり考えていると、いつの間にか花火の測定が終わっていた。測定の名残だろうか……目に見えるようになった結界はぼろぼろで、今にも壊れそうだった。


「花火ちゃんが凄すぎて結界がほぼ壊れてます!急いで直さないと。」


「香坂さんの身体能力をちょっと見誤ってたな。まさか1人でバスケットボールの撃ち合いをするとは。」


天夜さんの口からとんでもない言葉が紡がれる。なんだそれめちゃくちゃ興味ある。


「もしかして和人見てなかったの?凄かったんだよ。花火ったらバスケットボールを蹴って、それに追いついて、反対方向に蹴ってを繰り返して、最終的に跳弾みたいな感じでラリーしてたんだ。」


「考え事してる場合じゃなかったな……」


それほどのレア映像は俺もしっかりと目にやきつけたかった。


「これは結界が直るまでは休憩だね。」


「そうですね。おーい千華、冬の看病代わるよ。」


俺は千華の元へと駆け寄る。彼女は今まで冬の看病をしていた。


「いえ大丈夫よ。別に大変な仕事とかじゃないし。」


「いや代わるよ。ずっと千華にさせるのも悪いし。今は休んでで。」


「……まぁ、ひとまずその言葉に甘えさせてもらうわ。」


「先輩〜私も冬先輩の隣で寝ていいですか?」


「秋穂、なんでお前が寝るんだよ?」


「私だって疲れたんですよ?サイコキネシスでたくさんのもの動かしたから。あー疲れた疲れた。」


そう言ってゴロンと横になる秋穂。


俺にはただグータラしたいように見えてしまう。まぁ寝かせても問題ないしいいか。


「葉月先輩!秋穂も寝てるっすよ。」


「あーずるい!私も寝る!」


「いやなんでだよ!?」


葉月は勢いよく床に倒れる。


そして、

「痛った!!!」


もちろんタオルなど敷いていないのでこの反応を見せる。


「どうして勢いよくいくんだお前は。」


「だってなんかいきたくなったんだもん。」


イタタと体の至る所をさする葉月。


「みんなー結界の修理が終わったから再開するよ!緋色さんと成宮くんはこっちに来てくれ。」


「ほら呼んでるぞ、行ってこい。」


「はーい。行くよ睦月!着いてこい。」


「了解です。」


葉月は睦月を引き連れて天夜さんの元へと向かった。

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