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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編②
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59話 前世話

「さぁ話を続けますよ。」


各々の形でくつろぐ俺たちにティタニアが声をかける。


「両家の親に内緒で付き合った2人は周りに見つからないように愛を育んでいきました。

2人の相性はよくて、時には喧嘩もしましたけど順調に交際は進んでいき、いよいよ和人くんが成人したんです。」


「そこで和人と千華の関係がバレちゃうんだよね。話の流れからして。」


「そうですね。和人くんは跡継ぎを早めに残さないといけないので成人した日に結婚の約束が取り決められていました。でも和人くんはそれに反対した。

その時は許嫁もその両家の親も困惑してましたね。そんな中、和人くんが千華ちゃんの事を話すと和人くんの両親がブチ切れてお父さんが殴りかかっちゃうんです。その後に続くように許嫁さんのお父さんも続いて和人くんはボコボコにされました。」


「うわぁ悲惨だね。」


「昔の婚約事情を考えれば納得だけど今回は許嫁さん側にはつけないわ。」


「私、和人の前世にアプローチされた側だし」、ぼそっとつけ加えた千華。


それにしても俺、両家の父親からボコボコにされたんだ。無茶しすぎじゃ?


「和人くんの前世は元々、家が決める結婚に疑念を持っていましたからね。こんなことが起こるのも無理ないですね。」


「そうなんだね。ちなみに許嫁さんとの関係はどうだったの?」


「あっそれなら良好だったみたいですよ。幼なじみでしたし。」


「幼なじみを裏切るとか和人悪いやつー」


「葉月……お前な……」


自分と立ち位置が似てるからなのか、葉月は幼なじみという単語を聞いた途端こちらにジト目を向けてくる。


やったのは俺の前世なんだが。


「まっまぁとにかく、ボコボコにされた和人くんは許嫁さんと結婚する意思がないので結局勘当され、職を失っちゃうんですよね。


それから和人くんはこんな自分じゃ千華ちゃんを幸せに出来ないと思って別れ話を持ちかけるんですけど、千華ちゃんはそれをスッパリと断ります。『私が好きなのはお金や肩書きのあるあんたじゃないの、こんな私の隣を歩いてくれる優しいあなたなの』って。」


「あぁ〜千華めっちゃいい子。大好き。」


「わかる。なんかさらに好きになったわ。」


「いや、なんで私の前世の行いで私の好感度が上がるのよ。」


「そういうものだよ千華。……偉いね。」


「なんで私今冬に撫でられてるの……?」


「あはは……とりあえず話を進めますね。それによって2人は結婚することが決まり、その日の夜にその……エッチなのであまり言いたくないんですが……そういう事をしちゃったみたいです。」


「あー初夜を迎えたんだね。」


「「……」」


俺と千華は気恥しさからかお互いの顔を見れない。前世の話なんだけどなんだろう……すっごい恥ずかしい。


「2人のことだから前世でも熱々の夜だったんだろうね。」


「今世はまだなの?」


「冬はなにを期待してるんだよ。」


「なにって、わかるでしょ?」


「私も期待してるよ!迎えたら話聞かせてね!」


「やだよ!?」


そういう話はしたくない。なんか軽めの拷問だし。


「私はそういう不埒な真似は結婚してからにしてほしいのですが。それはともかく、結婚後の2人は千華ちゃんの両親と協力して農業で生活していました。前に比べて贅沢なんてできませんが2人はとっても幸せそうでした。めちゃくちゃ大変そうですけど。


その後は順調に結婚生活が続いていき、その……こ、子作りもたくさんしてどんどん子供が産まれました。」


「そう……なの?」


頬を朱に染めた千華がティタニアに問いかける。


「はい、2人ともラブラブなせいでたくさんできたみたいですよ。最終的に8人産まれましたね。」


「8……いやっえっ?……私、そんなに産めない……」


「千華、今は前世の話だぞ。1回落ち着け。」


千華は明らかに動揺していた。これはまた撫でて落ち着かせないと駄目かな。


「子供が8人もいて大変そうでしたけど、とっても幸せそうな人生を歩んでいましたよ。その時代には珍しい、好きな人と結婚しましたし。」


「確かにね。でも幼なじみの許嫁さんが可哀想だと思うのは私だけ?」


「それは私も思った。今ならその許嫁さんの気持ちがわかるし。」


「「うぐっ……」」


冬の発言で俺たちはダメージを受ける。確かに許嫁さんと冬は振られたっていう点で一緒なんだよな。


「2人ともダメージ受けすぎだよ。私は気にしてないから大丈夫なのに。」


「そうは言われても……」


「なんか罪悪感があるのよね……」


「2人とも結構繊細だよね。」


「人の事気にしすぎ。2人は今幸せなんだからそれでいいのに。」


「葉月にまで言われるとは。」


「……私たち、冬の事気にしない方がいいかもね。冬は気にしていないみたいだし。」


「だな。もうちょい頑張ろう。」


俺は新たに心を引き締めなおす。決意してから折れるの早かったな。


「ねぇねぇ次どうする?トランプとかやる?」


「私はもっとみんなとお話したいです。」


女子たちは俺を置き去りにして話を進める。


「それにしても……やっぱりティタニアおっきくない?それ何カップあるの?」


「それ男の前でする話か?」


この場にふさわしくない話をされてはたまらないので止めようとするが止まらない。


「えっと、確か転校してくる前に測った時はDありましたよ。今は……ちょっとおっきくなってるかもしれません。」


「ねぇ和人、ティタニア怖いんだけど。あれほんとに同じ人間?」


「いやどっからどう見てもそうだろう。」


「あの〜葉月ちゃん?あんまりジロジロ見られると恥ずかしいんだけど。」


葉月はティタニアの胸を食い入るように見ていた。羨ましいんだろうな。


「私のはなんで大きくならないんだろ……?」


「遺伝子の問題だろ多分。」


「葉月は確かにぺったんこよね。Aあるの?」


「馬鹿にしないでよ!ちゃんとあるよ!BよりのA!」


「いやお前Aだろ。」


「うわぁぁぁぁぁ和人がセクハラしてきたー!!冬ちゃん助けて!」


「あはは、1回落ち着いて?」


冬は自分の元に飛び込んできた葉月を宥める。葉月は落ち着いてくると、ひとつの疑問を持ったのか、冬に恐る恐る質問する。


「そういえばさ、冬ちゃんって何カップ?」


「えっ私?私はBだよ。」


意外とあっさりとした冬の答え方と、冬にも負けていた事実に、葉月は打ちのめされる。


なんか見てて可哀想になってきた。


「もぉ!それじゃあ千華はどのくらいなのさ!?どうせ負けてるけど!」


なんかヤケになった葉月は千華をも巻き込み始めた。千華は「えっ、私!?」と困惑していた。


「いや言いたくないんだけど。和人もいるし。」


「彼氏だからだいじょぶだよ!それに言ったところで負うダメージはないでしょ?」


「もうほんとにヤケになってるわね……」


この状況では言うしかないようだ。千華はため息をついていた。


「Cだけど。」


「グハッ!!」


葉月はこの場の女子全員に負けたショックからか白目を剥いて倒れる。


「葉月ちゃん、胸なんて気にしなくていいと思いますよ?実際大きいと肩凝りますし。」


「うわぁぁぁぁぁティタニアにイジメられたー!!」


そう言ってこちらに抱きついてくる葉月。


「はいはい、痛かったな。」


「むぅ……」


「ごめんな千華。こいつ引き剥がそうとすると最悪能力使うからこのままが1番安全なんだ。」


「地味に怖いわね。」



「もうこうなったらお菓子をヤケ食いするから!」


葉月はその宣言通りにその場にあるお菓子をバクバク食べ始めた。


「あっ葉月ちゃん私も食べますから残してください!」


「そう言いながらも食ってるじゃねぇか!」


「楽しいね、このメンバーでいると。」


「まぁ、そうだな。」


「和人、あんたにこれ渡しておくわね。」


「なんだこれ、お守り?」


「私たちのクラスは今日の午後、アクセサリー作りをしたのよ。その時作ったの。あんたはこの先変な事に巻き込まれそうだったから。」


千華が作ったお守りはとてもよくできていて、とても素人が作った様には見えなかった。


「ありがとう千華。大事にするね。」


「まぁ……あんたがもし怪我でもしたら私の面倒が増えるだけだし……それに彼氏の健康には気を遣わきゃだから仕方なくね。」


顔を赤く染めた千華がそっぽを向きつつそう言う。素直じゃないな……いつもの事だけど。


「ふふっ、」


「なっ、なによ?」


俺たち3人の間には和やかな空気が流れ、お菓子を食べたおかげか復活した葉月とティタニアは2人で騒いでいた。




修学旅行という大きなイベントの最終日前夜のとあるホテルの一室、そこでは現在進行形でかけがえのないたくさんの思い出ができていた。

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