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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編②
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36話 リハーサル

最近の学校生活は忙しい。文化祭やステージ発表の準備で、目まぐるしい時の中を生活する。


今日は学校が休みであるが、俺たちは学校に集合していた。その理由は、


「それでは、これより文化祭の準備、およびステージ発表のリハーサルを始めます。それでは部活動ごとに持ち場についてください。」


リハーサルと文化祭の準備による体育館の模様替えのためだ。


ここでは生徒会が主体となって動く。この場に来ている人たちは運動部の生徒がほとんどで、文化部は俺たちだけだった。


「うんじゃ、俺らも持ち場につくか。確か俺らは、」


「柔道部とサッカー部と一緒に椅子の準備ね。体育館に全校生徒ぶん置かないといけないからかなりめんどいわよ。」


「よーし、早く終わらせよう。」


てことで椅子を指定の場所に置き始める。


「和人~椅子6つ位持てない?出しすぎて困ってるんだけど。」


「はいはい、わかったから寄越せ……うおっ、結構ずっしりくるな。」


椅子6つは中々に重く、苦労しそうだった。


「あんた無理しない方がいいわよ。怪我でもしたら大変だし。」


移動中に千華がそう指摘してくる。その優しさは心にしみるな。


「私も少し持つけど?」


「いや、大丈夫だよ。千華だって2つ持ってるし、それに危なっかしくは見えないだろ?だから大丈夫。」


千華の前ということもあり、強がってみせる。さすがに、千華に手伝わせるわけにはいかないからな。


実際、重いけど持っては行けるから大丈夫だろう。


「そう……それなら隣についていてあげるわ。なんかあった時のフォローってことで。」


「ありがとう、すごく嬉しいよ。」


「あんたが強がるから仕方なくよ……しかたなく。」


「はぁ」っとため息をついてこちらを見る千華。



「よしっ、まずは1回運び終わったな。」


ローペースで運んだ椅子を配置し、一息つく。


「ほらっ、ぼさっとしてないで次々運ぶわよ。とっとと終わらせてリハーサルしたいんだから。」


「そうだな、早く終わらせるか。」


ということで、どんどん椅子を運んでいく。途中で、花火が椅子6つを軽々と運んでいたり、秋穂が密かにサイコキネシスでズルしていたり、冬派の人たちがアグレッシブに椅子を運んだり、ティタニアがつまづいた拍子に持っていた椅子を俺の方にぶん投げたりしていた。


その光景に色々ツッコみたくなるが、やめておこう。


そして、作業開始から1時間、作業が終わりリハーサルに移行する。


「それでは、これよりリハーサルを開始します。前に配ったプリントの通りの順番なので、その通りに発表をお願いします。」


生徒会の副会長がそう言うと、それぞれの組が順番に発表を開始する。俺たちの順番は最後だ。


野球部や柔道部などの発表を見ながら順番が来るまで待つ。


「おおー野球部の発表中々面白いね。」


「1年生のダンスも楽しげでいいね。すごく生き生きしてる。」


「私たち以外にバンドのグループはいないのね。なんかプレッシャーかかるわ。」


「そんなに気にする必要ないと思うよ。私たちは精一杯やればいいんだから。」


「先輩はどの発表がいいと思いました?俺は風紀委員のやつが気に入っています。」


「お前な……あれ発表じゃなくてただの諸注意だろ。一応取り押さえの実演してたけど。」


俺たちは口々に感想や雑談を話していく。気分は自由な観客だった。


「おっ、次で最後から3番目だ。そろそろ準備しに行かないとだね。」


「だな、行こうか。」


そろそろ俺たちの番なので体育館の裏に移動する。


そして、2つ前のグループ、前のグループの発表が終わり、降ろされた幕の裏で楽器の配置を行う。


生徒会や実行委員の手助けもあり、すぐに準備を完了できた。


幕があがるとその場にいる生徒の歓声があがる。3年生や1年生はわからないが、今日ここに来た2年生は全員残っていた。おそらく葉月たちを見に来たのだろう。


また、ティタニアたちも当然のごとく居座って声援を送っている。


まだ帰っていない生徒が多数見守る中、演奏が始まる。


最初のでだしはよく、好調に感じた。変に影響はうけてないらしい。


サビに近づくにつれ、歓声が大きくなっていく。葉月派や冬派、千華派の人たちは応援うちわ(おそらく自作)を振って応援していた。


彼らの熱意や瞳の輝きは本番さながらだった。これ本番どうなるんだ……?


1曲目ではどんどん彼らのボルテージが上がっていった。時折「葉月ー!」やら「冬ちゃーん!」などといった応援の声が響いており、彼女らの人気の度合いがよくわかる。


ティタニアたちもかなり盛り上がっていて、かなり楽しそうだった。


そして、2曲目が終わる頃には彼らは泣いていた。まるで2次元の推しにあったオタクのように。感激と尊さにやられているのだろう。なんかすごい。


「ほんとお前らの人気ってすごいな。」


俺は退場しながら3人に話しかける。


「私も驚いたわ……まさかあんなものまで用意してるなんて。なんか私たちアイドルみたいになってない?」


「まぁ、いいんじゃない?派閥って言わばファンクラブみたいなものだし。元々そういう感じのものはあったし。」


「恥ずかしいけど……嬉しいことには変わりないから、私はいいかな。」


「私はちょっと複雑、嬉しいのはあるけど和人いるし、好きな人以外から推されても満足感はないわね。」


「俺はとんでもなく好きだよ、ずっとな。」


「……はっずいこと言うのやめてくんない?」


「相変わらずお熱いね~2人とも。」


「はいはい、茶化さないの。」


そんなやりとりをして元の場所に戻る。


「そういえばさ、あの集団に権堂くんいたよ。私のうちわ振ってた。」


「まじで?あいついたんだな。」


にしても懐かしいな権堂。そういやあいつ葉月派だったな。


「あと隅の方に睦月推しがいた。1年生の子が数人。」


「あーいたんですね。気づきませんでした。」


「そういや睦月も人気だよな。2年でも睦月の話はよく聞くし。」


「そうなんですね。まぁ、そこら辺の女に興味ないんでどうでもいいですけど。」


「なんか睦月らしいね。率直な疑問なんだけどさ、睦月ってどんな子が好きなの?」


「そうですねー……生意気な子とか好きですよ。」


「へぇー意外、なんで?」


「調教のしがいがあるからです。そして、自分に従順にさせるのが楽しそうですしね。最初から従順だとつまらないから却下です。」


「性癖歪んでない?」


「だな。」


俺は睦月に半ば呆れた視線を向ける。イメージ通りではあるんだけどな。


「話変わるけどさ、和人以外は誰かしら好意を持っている人が応援してくれてたんだね。」


「そういうことは言わなくていいだろ。」


葉月の発言にツッコむ。俺はただの一般生徒だろうし、別にそれでも構わないけどな。


「いえ、1人いたわよ。あんたら気づかなかっただけで。」


そのやりとりを聞いた千華がそう補足する。


「まじで?」


「まじよ。一応あんたクラスマッチから人気はあったわけだし、当然のことよ。」


千華からそんなことを言われて驚く。前からその事は聞いていたが、改めて実感させられると驚きはついてくる。


「あっ、でも勘違いしないでね。この場で応援してた奴は男だから。しかも恋愛感情もちの。」


「えっ、?」


「なにが言いたいかわかる?あんたは同性愛者から応援されてたってことよ。」


「それはどういう反応をしたらいいんだ……複雑だ。」


同性愛者に応援されたことは衝撃的すぎて、どういう反応をしたらいいかわからなかった。


「まぁ、あんたもせいぜい苦労することね。」


「あんたもってことは千華も好かれてるの?」


葉月の何気ない一言に千華は押し黙る。気まずそうな顔でこちらを見てくる。


「……かなり前から数人にね。本人たちは隠してるつもりだけど、私にはバレバレなのよね。心の声のせいで。」


「あー……」


「まぁでも、あんたと付き合えててよかったわ。告白されてもきっぱり断れるし、男からも変なちょっかいかけられないし。」


「えっ、でもそれだけじゃないよね?和人と付き合えてよかったって思うことは。」


「そうだけど……言わないからね?」


「わかってるよ。言わなくてもわかってるから大丈夫。和人はどうか知らないけど。」


ニヤニヤ笑う葉月に対して、千華はぐぬぬといった表情で葉月を睨み付ける。


「そんな睨まないの。可愛い顔が台無しだよ、って和人が言ってた。」


「なんで俺になすり付けるんだよ!?」


「あんたらほんとに許さないから。あとで覚えておきなさいよ。」


「なんで俺まで……なにもしてないのに。」


「さあ、八つ当たりじゃない?」


「それでは、これでリハーサルを終わりにしたいと思います。みなさんお疲れ様でした、本番もよろしくお願いします。」


葉月と話していると、不意に生徒会からアナウンスが入る。どうやらリハーサルが終わったようだ。


「あっ、私ちょっと行ってくるね。和人以外のみんなはここにいて。ほら行くよ。」


葉月はそう言うと、俺を連れてステージ横へと走っていく。俺はなんで連れていかれてるのかわからなかった。


「あの、すみません。このあとステージ使ってもいいですか?」


ステージ横まで来ると、そこにいた人物に話しかける。


「構わないが、なんのために使うんだ?」


「練習のためです。1回でも多くみんなと音合わせしたいので。お願いします、会長。」


葉月が頼み込んでいた相手は生徒会長であった。


柏崎学園の第76代生徒会長は山崎湊やまざき みなとという名前で、黒髪でくろぶち眼鏡を着けていて、全体的にキリッとした人物だ。


彼は成績優秀でカリスマ性があり、生徒会長にふさわしい実力を兼ね備えていた。


だが、前年の生徒会長がすごすぎて、彼に対して物足りないという意見が少なからずある。


普通なら彼は会長として充分すぎるのだが、さすがに時期が悪かった。


「そうか……いいぞ。だが、問題は起こすなよ?お前らPSY部は危ない行動を度々起こしていると聞くからな。」


「えー、そんなことしてないですよ会長。」


「報告を受けた限りでは、他校に喧嘩をしに行った、グラウンドのど真ん中で爆竹らしき物体を爆発させた、ペットボトルロケットを住宅街に飛ばした、など色々やっているようだが?」


「いやーそれはそのー」


「さすがに体育館で変なことはしないと思うが、注意することだな。まったく、伊月はなぜこいつらのことを擁護するのか。」


「それは久木野瀬先輩とは仲良しだからですね。」


「にわかには信じられないな。伊月とお前らにどういう関係があるんだ。」


「まぁ、それは話せば長くなるんで言わないですけどね。とにかく、ありがとうございます。それじゃっ、」


葉月がそう言うと、俺たちはステージ上に移動を始める。


「柊、」


「はい?」


俺は会長に呼び止められて振り替える。


「お前は緋色と成宮の監視は頼んだ。あの2人は問題を起こしやすいからな。」


「あっはい、わかりました。俺一人じゃ止まらないと思いますけど……頑張ります。」


「やはりお前が一番まともそうだな。それでは頼む、俺は仕事が残っているから失礼する。」


会長はそう言い残すと、体育館をあとにする。会長に頼まれてしまった……かなりの重労働を。


「おーい和人、やるよー!」


「わかった、今行く。」


俺はステージ上にあがり、葉月たちのもとへ駆け寄る。


そこからは、秋穂、花火、ティタニアの3人だけの観客の前で2曲通した演奏を始めるのであった。

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