表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編②
34/171

34話 看板とティタニア

千歳さんと楓さんの訪問から数日、俺たちはいつもより忙しい生活をおくっていた。


今はホームルームの時間だ。この時間はクラスのみんなが慌ただしく作業している。看板を作ったり内装を考えたり、衣装を作成したりしている。


2年A組では、カフェをやることになったのでその準備中だ。


「菊地くんは坂田くんと一緒に飾りつけの作成お願い。三宅くん、さぼらないの。勉強はあとにしてね。あっ先生、ちょっと買い出し行ってもらっていいですか?」


やはりというか、葉月を中心にして準備が進んでいた。


で、俺はというと、

「ティタニア、ちょっと離れてて。釘打つから。」


「はいっ、わかりました。」


ティタニアと一緒に看板作り中だ。本格的な看板を作ろうということで、自作でスタンド看板を作ることになった。


なので、工具を借りてきての作業になっている。


俺は、木の板どうしをピッタリとあわせて釘を打つ。賑やかな教室の一角でトンットンットンッと音がなる。ティタニアは目を輝かせてその様子を見ていた。


「和人くん、私もやってみたいです!」


ひとつの木の板を完璧にあわせて次へ、というときにティタニアがそんなことを言ってきた。


「いいけど、大丈夫か?気を付けないと怪我するぞ。」


「わかってます。でも、私も手伝いたいですし、なによりかっこいいのでやってみたいです!」


ティタニアはずいっと顔を寄せてくる。なんか目を輝かせてるな~って思ったら理由はそれか。


「いいよ、やっても。意外に上手いかもしれないし。」


「……すっごい怖いけど」その言葉は人知れずのみ込んだ。なにかあったらフォローしよう。


ティタニアは俺から道具を受けとると、わかりやすいうきうき顔で構える。


「それじゃあいきますね。」


「ちょっと待て、どっから振り下ろそうとしてるんだよ!」


俺の言葉にティタニアはきょとんとする。今の彼女の構えはとても怖い。


なぜかというと、金づちを持っている手は頭よりも上で、持ち手の場所がかなり下だからだ。あの状態だと、ただの凶器を持った学生にしか見えない。


「金づちは肩より上には持つな!できるだけ肩より下、あと、持ち手はできるだけ上の方がいいぞ。そっちの方が動かしやすいからな。」


「なっなるほど……」


ティタニアは注意を受けてすぐさま直す。


「今度こそ大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫だな。俺も抑えるの手伝うからやってみ。」


緊張した面持ちで金づちを扱うティタニア。


「ゆっくりでいいからな。あと、綺麗に釘を打ち込みたいのなら、金づちの中心を使って打つのを意識するといいらしいぞ。」


「そうなんですね、わかりました。」


最近読んだ工具の本で得た知識を伝える。どこかで使えるかなと思って読んだけど、この場で役に立ってよかった。


ティタニアは少しずつコツを掴んできたらしく、顔にも余裕が表れてきた。


「どうですか?綺麗に打てたと思うんですけど。」


「おぉ、すごいな。ちゃんと打ててるぞ。」


「えへへ、ありがとうございます♪さぁ、どんどんいきましょう!」


ティタニアは釘打ちにハマったのか、楽しそうに作業していた。手際が最初と比べてよくなっている。


「釘打つの楽しいですね。しかもなかなか簡単です。」


「ちょっ、手元から目を離すと危ないぞ。」


そう言ったところで「バキッ!」っと音がする。遅かったか。


見ると、現在取り付けていた木の板が真っ二つになっていた。


「あぁ、ごっごめんなさい!どどど、どうすればいいんでしょうか!?弁償ですかこれ!?」


「落ち着いて、木の板ならたくさんあるから大丈夫だよ。」


慌てふためくティタニアを落ち着かせる。ティタニアは「ごめんなさい、ごめんなさい!」と平謝りをしていた。


「まぁ、まだ全然時間あるし、ゆっくり作ればいいから。」


「和人くん、ありがとうございます~(泣)」


ティタニアは半べそ状態で俺に抱きついてきた(金づちもって)。怖いので腕を掴んで止める。


「金づち置いてから抱きつけ、怖いわ!」


「あっ、ごめんなさい。」


「あと俺、彼女いるんだから軽々しくそういうことしないの。千華に怒られる。」


「そうですね、すみません。」


「さっ、気を取り直して作るぞ。」


「そうですね、今度は失敗しません!」


やる気充分なティタニアと再び看板作りを始める。



時間は過ぎて、もうすぐホームルーム終了に差し掛かった時、

「なんとか完成だな。」


「はいっ、とてもいいものができました。」


看板をなんとか完成させた。カフェでよく見るようなスタンド型だ。


「あとはカフェの名前を書けばいいんですよね。私が書きます……できました!」


ティタニアは嬉々として、自分で書いたものを見せてくる。


「うん、よく書けてるな。」


「そうですか、よかったです。」


「おっ、ちょうどこの時間終わるな。道具片付けてお昼にしようか。」


「そうですね。早くお弁当食べたいです。」


俺たちは、金づちなど、この時間に使った道具や材料を片付ける。看板は先生に預ける。


そして、チャイムがなり、4時間目の終わりを告げる。みんなは「疲れたー」と口々に言い、伸びをする。


「ごっはっんー♪ごっはっんー♪」


ティタニアは呑気にそんなことをいいながら弁当を取り出す。俺もいつもの場所に行くか。


さて、俺はいつもの場所に行き、そこで昼食をとる。いつもの場所である部室には、千華と冬がいた。


「いや~みんなで食べるご飯は美味しいですよね。」


いつもの光景と思ったらティタニアが珍しくついてきた。


「珍しいなティタニア、ここでお昼食べるなんて。」


「だって和人くんがお昼にしようかって言ったので、ついてきました。」


「あぁ、そういうことか……俺はそういうつもりで言ったわけじゃないんだけど……楽しいしいいや。」


俺は千華の隣に座り、ティタニアは冬の隣に座る。


「お疲れ和人、ドジっ子の世話は大変そうね。」


「ドジっ子って私のことですか?ひどいです千華ちゃん。」


「いや、実際そうでしょ。前の時間に木の板バキバキにしてたし。」


「なんで知ってるんですか!?」


「だって、あんたの心の声がめっちゃ聞こえてきたし。」


「うぐぅ……」


「ティタニア、ドジな部分は直せるよ。だから頑張れ。」


「冬ちゃん……ありがとうございます、私、頑張りますね!」


「……いい子ね、私には眩しいくらい。」


「ティタニアの事か?確かに純粋で眩しいよな。危うさもあるけど。」


「どっちもよ。冬もティタニアも、どっちも眩しくてひん曲がってる私とは大違い。」


楽しそうに話すティタニアと冬に羨ましげな視線をおくる千華。


「そうか?千華はひん曲がってないと思うけどな。ちょっと素直になれないだけなんだし。」


「はぁ?あんた目と耳腐ってんじゃないの?」


「辛辣だなぁ。」


千華とそんなやり取りをしながら弁当を食べる。


「そういえば葉月ちゃんは他の人と食べてるんですか?」


「そうだな。あいつ人気だからここにはめったにこれないぞ。いつも誰かと食べてるからな。」


「毎日色んなメンバーで食べるとか私には無理だわ。」


「千華がそんなことしたら毎日精神抉られてそうだしね。」


「確かに。」


冬の言葉に思わずうなずいてしまう。千華の事だから2、3日したら顔色悪くなってそう。


「なぁ、話は変わるんだけどさ、文化祭でB組はなにやるんだ?」


「私たちのクラスは縁日をやるわ。ミニゲーム3つくらい用意してそれぞれで景品出す感じ。」


「なるほど、面白そうだな。」


「景品ってなにが貰えるんでしょうか?」


「今考えてる物だとお菓子とか文房具とかね。」


「お菓子……はっ、すみません。」


お菓子と聞いた瞬間のティタニアの顔はとても幸せそうだった。


「そっちはカフェだっけ?」


「そうだよ。室内ってこともあって簡単な物しか作れないけど。俺キッチン係になってる。」


「正直それはわかってたわ。あんた料理上手いし。」


「俺も葉月に言われたときにですよねって思った。」


「私は接客担当になりました。」


「……大丈夫?私すごく心配なんだけど。」


ティタニアが接客担当ということに、千華は信じられないといった様子で問いかける。ティタニアはショックを受けていた。


「確かにティタニアはドジするけど、葉月や他のみんなもフォローにまわってくれるから大丈夫……なはず。」


「和人くんまでひどいです!うぅ、私なんて。」


俺の言葉が追いうちになったのか、ティタニアはさらに落ち込む。言い過ぎたかな……?


「まぁ、健闘を祈るわ。頑張りなさい。」


「そうそう、一生懸命やればいいんだよ。」


千華と冬がすぐさま励ましにかかる。2人の優しい言葉にティタニアは徐々に元気を取り戻していく。


「頑張ったら和人が美味しいご飯作ってくれるから、元気だしなさい。」


「はいっ、頑張ります!美味しいご飯のために!」


ティタニアは、今まで落ち込んでいたのが嘘のように吹き飛んでいた。ご飯に釣られてって、それでいいのか……ティタニア。


「やる気出させるためだしいいんじゃない?」


冬は微笑んで俺に話しかける。そういうことにしておこう。


「そういえば、ベースの調子はどお?」


「まずまずかな。今は簡単な曲をすらすら弾けるようになって、次に進んだところ。そっちは?」


「バッチリだよ。もうコツはつかんだから、あとは課題曲待ち。」


「そっか、すごいな。俺も頑張らないと。」


冬はもうキーボードをかなり弾けるようになっているようで、こちらも焦る。もうちょっと練習しないとな。




文化祭まではもう1ヶ月をきっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ