表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編②
27/171

27話 転校生~前編~

長かった夏は終わり、いよいよ2学期が始まる。夏から秋、冬へと季節の移り変わりが一番激しいなかたくさんの思い出が作れる時期でもある。


目が覚めると、背中に温かい感触が感じられる。千華だ、彼女は俺の背中に抱きつきながら寝息をたてていた。


千華と一緒に寝ると、いつも起きたときには抱きつかれている。背中合わせで寝ていたはずなのに、彼女はいつの間にか俺に抱きついていた。


おそらく千華は寝ぼけると甘々になるので、寝ぼけてこっちに抱きついてきたか、寝ている間に無意識だろう。


「さすがに今日からは千華の事振りほどかないとな。」


今までは休みだったので千華が起きるまで待っていたが、今日からは学校なのでそうもいかない。


「うんしょ、うんしょ、」


千華を起こさないように慎重に布団からでる。


「よし、うまくでれた。とりあえず布団の中には犬でも入れておくか。」


俺の代役に犬のぬいぐるみを入れておく。これならいきなり起きるのはないだろ。


このあとは着替えて弁当を作る。3人分作るのも楽しいと思える。


朝ごはんを食べていると千華、葉月の順で起きてくる。3人で食べるごはんも慣れてきて、この光景も見慣れてきた。


ごはんも食べ終わり、3人で学校へ行く。学生や社会人で混雑している電車に乗って向かう。登校途中で葉月と千華に「自転車通学じゃないの?」と言われたので、これからは千華と一緒に行きたいから自転車はやめた事を伝えると葉月はこちらを見てニヤニヤしていた。葉月には言うんじゃなかった。


途中で冬に会い、一緒に登校する。そして、学校に着くと2年A組前までみんなと駄弁りながら進み、そこで千華と冬と別れる。


「おはよう!みんな久しぶり。」


葉月は教室に入るなり、元気に挨拶する。自然と彼女の周りには人が集まっていく。俺は大人しく席に座っとこ。


「おはよう三宅。元気だったか?」


「もちろんだ。体調管理も受験勉強のうちだからな。」


三宅の相変わらずさになんかホッとする。長期休みをきっかけに変わる奴もいるしな……いい方向にも悪い方向にも。


「柊は夏休みどうだった?僕は充実してたよ。」


「まぁ楽しかったよ。ほぼバイトだったけど。」


「そうなのか。僕は夏期講習に天体観測会、オープンキャンパスと勉強尽くしで楽しかったよ。」


「そっそうなのか……」


三宅は勉強三昧の夏だったらしい。俺が三宅の立場だったら嫌になってるだろうな。


「そういえば、今日は転校生がうちのクラスに来るらしいね。葉月はどんな子だと思う?」


三宅と話していると葉月たちの所からそんな話が聞こえてくる。今日からうちに住む奴か……どんな人かは俺も気になる。


「うーん、やっぱり外国人だったりするのかな。」


「あーありそう!あとはハーフとか。」


「え~それだったら転校生男子がいいな。かっこいい人だったら私アタックするし。」


「俺は女子がいいな。可愛い子がきたらほんとにテンション上がるし。」


周りは転校生の話題でもちきりだった。色々な憶測がとびかっており、話の種がつきることは無さそうだった。


「お前ら席つけー。」


五十嵐先生がそう言いながら教室に入ってくる。生徒たちはバラバラと自分の席につき、その場は一気に静まり返る。


「久しぶりだな、お前らちゃんと規則正しい生活してたか?変なことやってないか?まぁお前らを見る限り、馬鹿やった奴はいなさそうでよかったが。」


「センセ~早く本題入ってよー。」


「転校生来るんですよねー?」


「お前ら耳が早いな……じゃあ紹介するぞ。おーい、入って。」


五十嵐先生が教室の外に呼び掛けると、「はーい」と透き通るいい声が聞こえてくる。クラスの全員がドアの方を向くなか、ドアが開く。


そこから入ってくる人は、美しい金髪に清んだ碧眼、色白の肌に整った顔立ちの美少女がいた。金髪だが、清楚と言う言葉が似合う少女。


「はじめまして、今日からこの学校に転校してきたティタニア・E・サンドロットです。この学校に来る前はフランスの学校にいました。これからよろしくお願いします。」


ティタニアと名乗る少女が挨拶をすると教室がわきたつ。男子が騒ぎだし、女子も彼女の美少女ぶりに黄色い声をだす。


今日この時間を境に新たな派閥、ティタニア派ができたことは言うまでもなかった。




ティタニアの人気はすさまじく、休み時間になると彼女の周りに人が集まりまくった。さらには彼女を一目見ようと他のクラスから人がうちのクラスになだれ込んでくる。


「すごい人気だな、あの転校生。」


「そうだね。私も話したいのに話せない。」


左隣で葉月がぐぬぬっと難しい顔をしている。


「私も一度話したかったけど今は無理そうね。」


右隣で千華が俺に肩を密着して話す。なんか距離感が近い気がするんだけど。


「葉月はともかく、千華も話そうとしてたのか?」


「だってあの子がこれからうちで生活するんでしょ?だったら早めにどんな子か見極めておかないと。」


「あーそういうことか。天夜さんが言うには優しい子らしいけどな。」


「ふーんそうなんだ。あの人が言うことは信用できるわね。」


「はえーそうなんだ。」


葉月は感心しながらこちらをじっと見る。


「ところで話は変わるんだけどさ、千華って転校生と話にきたのは口実で、本当は和人に会いに来ただけじゃないの?」


「別にそんなことないわよ。本当にあの転校生と話にきただけよ。」


「そう言いつつ、休み時間始まって真っ先にこっちに来て和人に肩密着させてるじゃん。」


「これは……たまたまよ。」


千華はそう言って俺から離れる。葉月はその光景をみてニヤニヤして「和人も幸せ者だね。」と言ってくる。


「あんま千華の事いじらないの。」


「あはは~ごめんごめん。」


ペロッと舌を出して謝る葉月。そんなこんなで休み時間は終わる。


その後もやはりティタニアは人気で、休み時間の度に人に囲まれていた。それは昼休みでも変わらなかった。遠目からでもわかるその人気ぶりにすごいなーと思いながらいつもの場所へ行く。


いつもの場所には冬がいつものように弁当を食べていた。俺に気づくと少し驚いたような顔をする。


「千華の方はいいの?付き合ってるんだから一緒にお昼食べればいいのに。」


「俺たちが付き合ってること周りにはまだ言ってないからな。千華と一緒には食べられないよ。」


「まだ言ってなかったんだ。千華の事だからもう言ってると思った。」


「そうなのか?」


「うん、だって千華、和人が何人かから好意もたれてること知ってるし。」


冬の言っている意味がわからず首をかしげる。


「……知らなかったの?和人クラスマッチを境に密かに人気あったんだよ?和人のクラスではなおさらそうみたい。」


「……まじで?」


「大まじだよ。だから私も夏休み中に告白して誰にもとられないようにしようとしたのに。」


「はぁ」とため息をつく冬。そういうのは気づかなかったな。


「とにかく、一度千華と話してみたら?どうやって二人が付き合っている事を匂わせるのか考えないと。」


「そうだな、ありがとう冬。」


冬にお礼を言って千華の事を考える。あいつの事だからやっぱり人間関係的な事があって言えない感じなのかな……?



やがて昼休みが終わり、再び授業に戻る。六時間目の英語ではティタニアの存在感はさらに増し、堪能な英語で先生を驚かせた。


帰りのホームルームが終わり、下校時刻になるとまたティタニアの周りに人が集まる。この光景はしばらく続くだろうな。


「和人~あんたは理事長室行くんでしょ?私先行ってるからね。」


「あぁ、先行っててくれ。」


そう言って葉月を見送る。俺も行くか。


賑やかな教室を出て、理事長室まで歩く。その途中で後ろに気配を感じて振り替える。すると、そこには千華がいた。どうやらついてきたみたいだ。


「どうしたんだ?ついてきたりして。」


「別に、いいでしょ?天夜さんのところに行くんだったら、私もお礼言いたいからついていくだけよ。」


「そういうことか。」


ということなので2人で理事長室に向かうことにする。


理事長室につくと、ノックをして中に入る。


「やあ和人くんと、珍しいね千華さん。元気だったかな?」


「はい、元気でしたよ。」


「私も同じくです。えっと、この前はありがとうございました。天夜さんのおかげで婚約破棄と親との絶縁ができました。」


「僕は情報提供しかしてないよ。本当によく働いてくれたのは和人くんなんだし、お礼は彼にしたらどうだい?」


「あはは、こいつにはもうしました。なので大丈夫です。」


俺を指差しながら千華は言う。


「そうなんだね。……さて、そろそろ本題に入ろうか。君たちも知っての通り、今日からうちに転校生が入ったことは知ってるよね?」


「はい、知ってます。ティタニアですよね。」


「そうだね。それで、ティタニアともう一人がは今日から君たちの家に住むことになるんだけど、待ち合わせ場所が正門前と西園駅の改札前にしておいたから。そこにいけばそれぞれと合流できるよ。

彼女たちもまだ日本に来てすぐだからわからないことも多いと思うけど、しっかり手助けしてあげてほしい。」


「もちろんです。俺も葉月も千華もそのつもりですよ。」


「……ありがとう。それじゃあ、よろしく頼むよ。」


「「はいっ!」」


2人の元気のいい声が室内に響く。ちょっと体育会系っぽくなっちゃった。


「それじゃ、失礼します。」


「うん、頑張ってね。」


理事長室から出ると、一旦部室に顔を見せようと向かう。


「よお、久しぶり。元気だったか……なんて聞かなくてもわかるな。」


「言うほど久しぶりでもないと思うっす。」


「確かに。」


花火と葉月はお菓子を食べながらこちらを向く。


「先輩聞いてください、新しいプラモ買ったので面白いことできるようになりました。」


秋穂が目を輝かせて話す。彼女が指差すテーブルの方を見るといつぞやの量産型2機が主人公機と戦っていた。


サイコキネシスで操作されるプラモはアクロバティックな動きをしていて、いつまでも見ていられた。


「すげーなこれ。アニメみたいに動いてるんだが。」


「ふふん、そうでしょう。このために色々練習してきましたから。」


誇らしげに胸を張る秋穂。これは確かにすごいんだけど、人前では見せられないな。能力使ってるわけだし。


「天夜さんとの話は終わったの?転校生は?」


「終わったよ。どうやら転校生は正門前にいるらしい。」


「よし!それじゃあ早速正門前に行こう。早く早く。」


葉月が荷物をすぐ用意して俺たちの背中を押す。その顔は期待に満ちていた。


ひとまず昇降口まで向かうその途中、廊下でおろおろしている女子がいた。ティタニアだ。なにしてるんだろ?


「そんなところでなにしてるの?私は緋色葉月ひいろ はづき、よろしくねティタニア。」


葉月が真っ先に話しかけに行った。あの行動力すごいな。


「あっ、同じクラスの……よろしく葉月ちゃん。」


ティタニアはハッとした表情で葉月を見る。


「こっちの赤眼が特徴の奴が和人で、こっちの可愛い子が千華だよ。」


「よろしくねティタニア。」


「まぁよろしく、ティタニア。」


「よろしくお願いします。和人……ってあなたがこれからお世話になる柊和人さんですか?」


「あぁ、そうだよ。」


「おぉ!これからよろしくお願いします和人くん!」


ティタニアは笑顔で俺の手を握り、上下にブンブン振る。


「それで、ここでなにやってたの?」


葉月が素直に疑問をぶつける。ティタニアは冷や汗をたらして、


「そっその~実は私、方向音痴で……迷ってしまって困ってました。」


そんなことを言う。「えへへ」と笑うティタニアを3人でまじまじと見る。


「昇降口はすぐそこだぞ。なのになんで迷うんだよ。」


「それ方向音痴には言っちゃいけない奴。」


目と鼻の先にある昇降口の方向を指差す俺に、葉月は苦笑しながら注意する。


「では、西園駅まで行きましょうみなさん。私の妹が待っているので。」


「もう一人も女の子なんだ。楽しくなってきたね和人。」


「肩身が狭めぇ。」


「心情察するわ……」


これから男子1、女子4で生活すると思うと自然とため息が出た。これから苦労が多そうだ。


「だいじょぶだよ、今までの生活から女子2人増えるだけだし。」


「それが大変なんだよな……」


葉月は気心の知れてる幼なじみということもあり、基本的に家族みたいに接することができた。千華は彼女なのでそこまで変に気をつかうことはなかった。


だが、ティタニアともう一人は今日が初めてなので、ここからどうなるかわからない。気もつかうよ……初対面だし。


「まぁ、とにかく出発~!」


「おぉー!」


葉月の元気な声にティタニアはあわせる。もう仲良くなってるよこの2人。


改めて、互いに自己紹介をまじえながら、もうひとつの集合場所である西園駅に向かう俺たちであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ