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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
3年生編①
167/171

167話 夏前

7月に入ったこともあり、夏休みも近くなってきた。夏はしっかりと勉強して受験に備えなければならない。


そうなってくると、自然と受験関係の話も増えてくるわけで。


「三宅ってどこの学部受けるんだ? 」


「僕は医学部を受ける。子供の頃から医者になるのが夢だったからな」


「凄いな、俺はまだ学部が決まってないんだよな。教育学部か理学部で迷ってる」


「そうか……柊ならこの夏で決まるといいな」


三宅は医学部志望のようだ。普通に凄いな。


「和人、ちなみに僕は社会科学部志望だ!! 」


「急に出てくんな」


いつの間にか背後にいた朧月は社会科学部を受けるようだ。お前隣のクラスなのになんでいるんだよ……


「ちなみに和人、夏休みは僕の取材に付き合う気は、」


「ないから帰れ」


また面倒なことに巻き込まれる前に朧月を教室から追い出す。朧月は最後まで抵抗したが、彼のクラスの次の授業が体育なこともあり渋々帰っていった。


俺も授業の準備をしないとな……



そして、授業も終わり放課後になる。部活に行くか。


「柊くん、あなた法学部に興味はないの? 」


荷物をまとめていると蒼に話しかけられる。


「法学部はないな。でも、なんでまた急に? 」


「いえ、ただ私の志望するところと同じところに行く気があるのか聞きたかっただけよ」


蒼は法学部なんだ。みんなしっかり定まってるんだな。


「そうなんだな。でも法学部なんて凄いな、弁護士とか目指してるのか? 」


「えぇ、そんなところよ。民間企業よりも弁護士とかの方が私にあってると思ったから選んだわ」


確かに弁護士の蒼は容易に想像できるな。


「となるとあなたは教育学部か。キャンパス違うわね」


「ってなんで教育学部確定なんだよ? 俺まだ理系の学部と迷ってるんだけど」


「そんなの決まってるでしょ。だってあなた__」


「うえっ、和人くんは私と同じ教育学部にしてくださいよ! 一人じゃ不安なんですから! 」


蒼の言葉の意味に疑問を持つのと同時に、ティタニアに詰め寄られる。


「だってあなた押しに弱いもの」


そういう理由か。でもそれだけで学部を決めない……はず。


「お願いしますよ和人くん〜私と同じ学部で勉強しましょ!? 道に迷いそうで不安なんですよ! 」


「いやそうは言われてもな……」


「ティタニア、和人困ってるからやめなさい……」


ティタニアに絡まれて困っていると、千華が彼女の耳元で囁く。


その瞬間、ティタニアは「ごめんなさい……」と言って離れる。ありがとう、千華。


「そういえば、雪原さんは意外にも就職なのね」


「まぁ、色々あってね……」


俺もその理由を知らないんだよな。どうして進学じゃなくて就職なんだろ……?


「おっと、もうこんな時間ね。それじゃ、私は用事があるから帰るわね」


「はい、また明日会いましょう蒼ちゃん! 」


蒼が帰ると、俺たちも部室に移動する。


その途中、

「なぁ千華、どうして就職を選んだんだ? 」

気になったことを聞いてみた。ティタニアもうんうんと頷いている。


「簡単な理由よ、家計のことを考えたら就職がいいってなっただけ」


「家計って……親の残してくれた資金はちゃんとあるし、千華が大学行けないって訳じゃないんだぞ? それに、大学行ってもバイトはするし」


「大学行ったら今みたいにバイト入れられるとも限らないでしょ。忙しくなったらどうするの? お金だって今以上にかかるかもしれないし」


そう言われると答えに悩む。それでも、千華には進みたい道を進んでほしい。


「家計のことを考えてって言うのが理由の1つ目。2つ目は特に大学に行く理由が特にないからよ。

私は元々高校終わったら働くつもりだったし、その為に企業選びを早い段階でしてきてるから、今から進学は無理よ。そっちの準備はしてきてないわ」


「そうなんだな……」


千華の表情や言葉から、本人の望んだ進路だというのがわかる。それならなにか言う必要は無いな。


「ありがとう千華、ついでとはいえ家計のことも考えてくれて」


「まぁ、考えるわよ……ずっと暮らす家の経済状況くらい」


「うん、ありがとう」


俺は千華の頭を撫でる。彼女は頬を赤らめ、満足そうにしている。


「じゃあ私は家事を手伝います! 千華ちゃんと和人くんが唸るほどの料理を作ります! 」


「嬉しいけど危ないことはしないでな」


「包丁は飛ばしちゃ駄目よ」


「なんでそんなこと言うんですか!! 」


部室近くの廊下で頬を膨らませるティタニア。なにかやらかしそうな雰囲気があるから心配になる。本人に悪気はないんだけどな。



眩しい夕日の照らす廊下はいつもより明るく感じた。


俺の周りは進路もしっかり決まっていて、焦ってしまう。俺も早く決めないとな……

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