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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
3年生編①
166/171

166話 エグワード

その日の夜、何気なく縁側ヘ行くとティタニアがぼーっとしていた。


「なにしてるんだ? 」


ぼーっとしているティタニアは珍しいのもあり、様子が気になってしまう。


「えっとですね……ちょっと考えごとをしてました」


もしかして今日のことだろうか。あれからずっと考えてたみたいだし。


「それって千華たちに指摘されたことか? 」


「それとも関係はするんですけど、ちょっと違います。

その……私の過去のことを話すかを考えてました」


そういえば、いつかのところでティタニアの過去について「話したくなったら話せ」って言ったな。フランスに行くことになったし、いい機会だって思ったのかな。


「私の実家に行くことですし、和人くんには知っておいてもらった方がいいと思ってたんですけど……」


「けど? 」


「未だに話すのが怖くて踏み出せないんです」


視線を下に落とすティタニア。表情には微かな恐れがあった。アンヘルが話していた通り、かなり重いもののようだ。


「そっか、それなら無理に話す必要はないよ。

話せるようになったら話してくれればいいから」


「でもそれじゃ駄目なんです……話せるようになるのはきっと10年も20年も先になっちゃう気がするんです……だから、」


彼女はスっと息を吸い込み、

「無理やり吐き出させてください。これなら話せますから……」

俺の手を握った。


「……わかった、ティタニアが納得してるならいいよ」


俺はティタニアの意思を尊重することにした。


「ありがとうございます。

えと、まず私の元々の名前がティタニア・エグワードっていうんです。今はエグワードはEになってますけど」


「そうなんだな」


「はい。それで……元々私は裕福な家庭で育ちました。お父さんとお母さんは優しくて、兄妹はいませんでしたけど、何不自由ない生活ができました。

まぁ、キリスト教の教えを守っていかないといけませんでしたけど」


ティタニアは苦笑気味に話す。元々宗教を信仰している家庭に生まれたんだな。


「でも……私が6歳の時、私はお父さんとお母さんに裏切られたんです……」


俺の手を握る彼女の手が震える。彼女の顔も泣きそうなものになっていた。


「優しかったお父さんとお母さんに私は……儀式の生贄にされかけたんです」


「!!? 」


ティタニアの口から出た衝撃的な言葉に俺は言葉を失う。


「私を贄にして神を顕現させようとしていた両親は、もう私の知っている2人じゃありませんでした。私を産んだのもこの為だって言われて、もうなにがなんだかわかりませんでした……」


彼女の頬にはいつの間にか涙が伝っていた。俺なんかよりも辛い目にあってたんだな……


「でも、儀式は失敗したんです。そこにはほっとしたんですけど、その過程で身体を蝕むような痛みを何度も何度も味わいました。あの時の光景は今でもたまに夢に出てきます。

その後はすぐに両親から捨てられました。たくさんの罵声とともに。


……これが、私の過去です」


話し終わったティタニアを思いっきり抱きしめる。「えっ、あのっ」と戸惑う彼女には構わず継続する。


「和人くんなにを……」


「慰めてる。俺よりも辛いじゃんそれは」


思った以上の重い過去に抱きしめざるおえなかった。両親から裏切られるのなんて痛いに決まってる。


「……ありがとうございます。でも、そんな辛い過去がありながらも、ある人のお陰で前を向けたんです」


「ある人……? 」


「はい、私の唯一のお姉ちゃんです。これはこれで話すと長くなるのでまたの機会にしますけど」


ティタニアにも姉の存在があったのか。本人が姉に固執するのってもしやその人の影響だったりするのだろうか……?


「とにかく、どうして和人くんにばっかり抱きつくのかって考えた時に過去のことを思い出して、お姉ちゃんのことを思い出したんです。

それで、気づいたんですけど、お姉ちゃんと和人くんって似てるんです。温かさが」


「そうなのか? 」


だからやたら抱きついてきたのか。


「なので、これはしょうがないことなんです! これからも抱きつくのでよろしくお願いしますね!! 」


「いや、抱きつくなよ」


気づいたんだったら、そこから自制の方法を考えるとかしてほしかった。


「いーや、抱きつきます! 」


「やめてくれ」そんな言葉は笑顔で抱きついてくるティタニアを見たら自然と消えた。



……まぁ、今日ぐらいはいいか……

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