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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
3年生編①
163/171

163話 初芽〔4〕

梅雨に入り、ジメジメした日が続く。せっかくの休日もあいにくの雨だ。


私は姉の知り合いに話を聞いてもらうために集合場所に来ていた。


「ほんとにここでいいのかしら……」


相手から指定された場所はなぜか柊くんの家だった。私の前には大きな日本家屋が建っていた。


少し不安だが、とりあえず呼び鈴を鳴らしてみることにした。


「いらっしゃいクール系美少女!! 」


呼び鈴を鳴らしてすぐに目的の人物は出てくる。目がギラギラしてて無意識に後ずさりをしてしまう。


「卒業式の時から思ってたけどやっぱり可愛いね! ちょっと寝室にいかない? 可愛がってあげるから! 」


なんだかテンション高いわね。


「千歳さんなにやってるんですか……蒼が迷惑してるのでやめてください」


口説いてくる不審者の後ろから柊くんが出てくる。もしかして本人がいるところで相談するのかしら……それはもう相談じゃないと思うのだけれど。


「えっと、いらっしゃい。とりあえず中に入って」


「えぇ、お邪魔します」


私は彼の家に入った。玄関には彼と、不審者の靴以外の靴があった。誰か他にも来ているのかしら……


そして、玄関から進んでいき、居間に通される。


「お茶入れるね」


「えぇ、ありがとう」


彼は台所でお茶の準備をし始めた。それと同じ頃、静かだった不審者が口を開き始める。


「で、和人をおとす方法を聞きたいんだよね! 」


「……」


「うわ、なにその顔……」


不審者の言葉に思わず顔をしかめる。もう少し言葉を選んでほしかった。


「はい、お茶。とりあえず俺は席を外した方がいいですよね」


「えっなんで!? 一緒に聞くに決まってるじゃん! 」


「いや、話しにくくないですか……」


やっぱりそうなるのね。これ相談じゃないわね。


「私だけにしたら変なこと教えるけどいいの? 」


「やっぱり同席します」


不審者過ぎない……? この人に頼むのは不正解のだったかしら。


「まず和人のどこが好きなの? 」


「それ言う必要あります? 」


「まぁまぁいいから……」


目の前の彼女は目をキラキラさせている。面白半分よねこれ。


「強いて言うなら、寄り添ってくれるところですかね。一度落ちた私の手を諦めずに掴んで、引っ張ってくれたところが高評価です」


「なんかレビューみたいになってない? 」


人の好きなところって話すのが難しいのね。上手く言語化できなかったわ。


「まぁいいや。それなら和人はおとしたいよね、優良物件だし」


「まぁそうですね」


「人を家みたいに言うのやめてください……」


藤崎さんと話していると彼からのツッコミが入る。実際にそうなのだし、仕方ないと思うのだけど。


「それなら千華ちゃんに勝たなきゃいけないわけだけど……脱ぐか」


「させませんよ……」


藤崎さんの言葉に彼は鋭く反応する。まぁ、2人の時ならそれは考慮してもいいわね……


「他だと和人がドキッとする行動をとるぐらいだけど……距離感をグイグイ縮めにいかないと不味いな」


「ボディタッチを多めにするとかですか? 」


「いや、性行為」


その瞬間柊くんはお茶を吹き出してむせる。


「いやなに言ってるんですか!? 駄目に決まってるでしょ!! 」


「蒼ちゃん罵倒上手そうだから、耳元で囁きながらすれば和人興奮すると思ったんだけどな〜」


「千歳さん、お願いなので真面目にやってくださいよ……」


おちゃらけた藤崎さんに、柊くんがため息を漏らす。


「はいはい、わかってるよ。とりあえず、グイグイいかなきゃいけないのはほんとだよ。ボディタッチ、連絡回数を増やしたり、距離感近いのを意識させる行動はおすすめ」


藤崎さん、急にまともなこと言い始めたわね。


「あとは言葉で特別なのを伝えられればベスト。濁す感じだとこいつ気づかないかもだから、伝える時ははっきりとね」


「そんなに鈍いですか俺……? 」


「……」


「蒼ちゃんの顔が答えだよ」


彼は私の顔を確認すると、「そうなのか……」と言って落ち込む。


「色々と参考になりました、ありがとうございます」


「うん、今度お姉さんとデートするから気合い入れてアドバイスしてみた! 」


元気に笑う藤崎さん。姉の方はご愁傷さまね……


「よし、じゃあ次に行こうか! 」


「えっ……次って……」


「千華ちゃんへの宣戦布告。やっておかないと後味悪くなるし呼んでくるね」


そう言うと、藤崎さんは居間を出ていく。


「もしかして、今日雪原さんも来てるの? 」


「うん、まぁそんな感じ……」


彼はどこか歯切れ悪く答える。なにかあるのかしら……


とにかく、やらなきゃと思っていたことだ。しっかりと雪原さんに伝えないと。


私はゆっくりと呼吸をして心を落ち着けていた……

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