157話 夏に向けて
あれからテスト勉強をしっかりと行い、万全の状態で中間テストに臨んだ。
やはり受験を意識しているのか、クラスは緊張感に包まれていた。いつもは元気なティタニアも、この時ばかりは真剣な表情で休み時間を過ごしていて、ちょっとびっくりした。
3日にわけて行われたテスト、今日は最終日だ。その最後のテストもつい先程終わった。
「疲れました〜」
ティタニアは思いっきり伸びをする。今回はかなり真剣に取り組んでたし、いい点を期待できそうだ。
「蒼ちゃんはどうでしたテスト? どのぐらいできましたか? 」
「別に、いつも通りよ」
蒼はティタニアに絡まれても表情を崩さず対応する。
「おぉ、羨ましいです!! 私はちょっと不安です……」
「まぁ大丈夫じゃないかしら。いつも五月蝿いあなたが真剣な顔で勉強してたわけだし、普段よりいい点は取れてるんじゃないかしら」
「蒼ちゃん……」
ティタニアは犬みたいに嬉しがる。尻尾があったら今頃ブンブン振ってたな。
対する蒼はなにかを察したのか1歩、また1歩と後ずさる。
「ありがとうございます、大好きです!! 」
「ちょっ、ティタニアさん……離れなさい……抱きつかないで……」
ティタニアは蒼に思いっきり抱きついた。蒼の顔は凄く嫌そうだ。
「なるほど……実は百合だったか」
「朧月……いつの間に隣に」
いつの間にか俺の隣には別のクラスの朧月が立っていた。一眼レフカメラを持って。
「面白そうな匂いがしたからね。いいぞ、もっとやれ! 」
「夏目くんあなた覚えてなさい……! 」
蒼は朧月を見るなりこの世の憎しみ全てを込めたような目で睨む。どんだけ嫌われてるんだ朧月。
「そろそろティタニア離れろ、流石にやり過ぎだ」
「えへへ、すみません……」
ティタニアが離れ、朧月はすぐさま退散する。逃げ足速いな……
「……私は生徒会室に用があるから、あなたたちは変なことしないで早めに帰るのよ」
ゆっくりと呼吸をすることで落ち着きを取り戻した蒼は足早に教室を出ていく。
「俺たちも帰るか」
「の前に部室に顔出せって葉月が言ってたわよ」
「あっそうなのか、じゃあ部室に行くか」
ということで、俺たちは部室へと向かう。
部室に着くと、鷹峰を除く部員全員が揃っていた。鷹峰はバレー部の練習があるからな、しょうがない。
「お疲れー」
「お疲れ」
荷物を置いてソファに座る。すると千華が抱きついてくる。
「マーキング及び充電させて」
「うん、いいよ」
千華の頭を撫でる。アンヘルは羨ましそうな表情をしている。
「千華ちゃん和人にベッタリだね」
「いいじゃない、彼女の特権よ」
「えっとだな……葉月、今日はなんで呼んだんだ? 」
いつまでもこちらの話をされるのは少々恥ずかしいので、自分から話を振る。
「んっ? あぁ、今日は夏休みの予定を立てようと思って」
「いや……夏休みはまだ先だろ……」
今はまだ5月だし、あと1ヶ月ぐらいあるな。
「1ヶ月なんてあっという間だよ! 私たちには高校最後の夏、だから皆で集まる日を作りたい! 」
「私バーベキューやりたいです!! 」
「「賛成!! 」」
ティタニア、及び秋穂と花火がバーベキューを強く推す。楽しむ気満々だな。
「俺は先輩と戦えれば問題ないんですけど、どうですかね? 」
「うん、却下」
睦月の提案は却下する。危ないからな。
「私は先輩といれればどこでも大丈夫です! 」
「和人は私のだからくっつかせないわよ!! 」
アンヘルの言葉に千華が強く反応する。心なしか、抱きしめる腕に力が入ってるように感じる。
「……私は楽しめればどこでも大丈夫だよ」
「俺は危なくないところなら大丈夫」
「2人は安定しててなんか安心する」
葉月はグッと親指を立てる。
「とりあえずバーベキューは確定ね。場所だけどどこがいい? 」
「海がいいです! 」
「確かにそうっすね! 」
「じゃあ泊まりでいいんじゃないですかね? 」
葉月たちは4人で盛り上がっている。これはいつの間にか決まってるやつだな。
「私はどこでもあなたがいるから大丈夫」
千華は俺にだけ聞こえるようにぼそっと呟く。
「うん、そうだね……俺も同じ気持ちだよ」
俺も千華だけに聞こえるように呟く。
「むぅ……お2人だけの世界に入らないでください」
「まぁまぁアンヘル、2人は付き合ってるんだしそっとしておいてあげて。最近千華は、蒼に警戒しすぎて疲れてるし」
そうだったんだ……変に心配かけちゃってるな俺。
「あっ先輩、どうせですし別日に2人で会いませんか? 」
「まぁ変なことに巻き込まないのならいいぞ」
「じゃあ旅館はここで! 」
「お肉たくさん買いましょう!! 」
今日も今日とて賑やかなPSY部だ。夏休みが少し楽しみになってきた……




