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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
3年生編①
151/171

151話 練習試合

あれから、鷹峰のスランプを解消できないままついに練習試合の日を迎えてしまった。


「よーしこれからスタメンを発表するぞ! 」


バレー部顧問の先生がスタメンの選手を一人一人読んでいく。どうやら鷹峰はいないようだ、ちょっとホッとしてる。


「鷹峰、途中から出していくから準備はしっかりとしておいてくれよ」


「はっはい! 」


速攻できない状態でどこまでやれるのかの不安は大きいだろう。もしかしたらこの試合でトラウマが増えてしまうかもしれない。


「落ち着いてやれば大丈夫、鷹峰は上手いんだから」


それの不安を少しでも和らげてあげるのが俺の仕事だ。こいつなら大丈夫と信用して言葉をかける。


「それではこれより柏崎学園と星稜高校との練習試合を始めます。互いに礼! 」


「よろしくお願いします!! 」


そして、お互いの礼から試合が始まっていく。今回の相手の星稜高校は実力的には柏崎学園(うちの学校)と同じぐらいらしい。


こっちは全国大会に何度も出場しているので、あちらもそういうことなのだろう。


これは鷹峰にはかなり厳しいんじゃ……いくら上手くてもそれは中学までの話だし。高校では話が変わってくるだろう。


「先輩方凄いですね」


鷹峰は始まった試合を食い入るように見ていた。


「プレーの一つ一つが落ち着いていて正確で、攻撃までの繋ぎが早い」


確かに凄かった。一つ一つ焦らずに淡々と攻めと守りを繰り返す。あの熱心な勧誘からは想像もできないプレーだった。


「相手も上手いですけど、それとはまた違った雰囲気ありますよね」


「あぁ、ほんとに同年代かってぐらい落ち着いてる。木かなにか? 」


だからといって機械みたいな感じではなかった。ちゃんと声がけはしてるし、時折笑顔が零れているので、いい雰囲気の中で失点やミスを割り切っている感じだ。


対する相手は未だ波に乗れていないところがあり、こちらがあっという間に1セットを取ってしまった。改めてここって強かったんだな。


「ナイス! 1セット目からいい感じだぞ! これなら2セット目頭から鷹峰を出せるな」


「えっ、いいんですか!? 」


鷹峰は驚きの声を上げる。それだけ鷹峰に期待してるのか。


「もちろんだ、今の状態でどんなもんか見せてくれ! 」


「頑張れ鷹峰。落ち着いてやればできるよ」


俺は鷹峰に声をかけて彼の緊張をほぐす。


「……ですね、頑張ってみます」


そう言った鷹峰の表情は柔らかで、見ていて安心感をもてた。



鷹峰が入った2セット目が始まった。


始めは対戦したことのない新顔の投入でこちらが有利に立つ。彼の落ち着いたコートの端を射抜くようなスパイクに安定感のあるレシーブで序盤の有利をつくっていく。


だが、星稜はそれに負けていなかった。調子が出てきたのか、1セット目とはまるで動きが違う。


それに、鷹峰が速攻を使っていないことによって、彼の速攻の可能性を排除しているような動きだ。


「思い切りがよすぎるな。あんだけ上手いんだったら速攻の可能性も考えていいのに」


「んー、多分速攻を使える場面の時に鷹峰が要求してないのもあるだろうな。相手のチーム、そういうところの勘は鋭いからな」


「雰囲気から読み取ったってことですか。ちょっとよくわからないです」


確かに見ていて鷹峰は速攻の要求も、入るふりもしていない。そこからわかるけど、それでも相手の対応は早かった。


「これだと2セット目落とすな。……なぁ柊、鷹峰をもうちょい上手く使えるか? 」


「……今より上手くは使えません。けど……きっかけはつくれるかもです」


顧問の先生はそれだけ聞くと「そうか、なら……」と言って考え事をする。


コート内は星稜が押していた。優勢のままセットポイントを取れてしまいそうだ。


「柊、どのくらいから出たい? 」


「俺ができるのは奇襲じみたことなのでほんと最後の方でいいです。て言っても、今の状況を見ると頭から行った方がいいかもですけど」


「……いや、そこはうちの部員がなんとかするから大丈夫。それよりも、最後に出番を与えるから、準備しておいてくれ」


「わかりました」


試合に出ることになってしまった。ちゃんとできるかな……


でもワンプレーぐらいならぼろは出ないはず。



俺は軽くウォームアップを始めながら苦しくなってきた試合を観戦していた……

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