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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
3年生編①
150/171

150話 強敵

練習試合が来週に控え、鷹峰も今日から練習に参加するようだ。


「久しぶりなんでどこまでやれるかわからないですけど頑張ります」


「あんまり無理しなくていいからな。張り切りすぎて怪我がいちばん怖いし」


「そうですね、気をつけます」


俺は鷹峰と話しながらも入念にストレッチを行う。


「あっそういえば、和人先輩って練習試合出るとしたらどこをやるんですか? 」


「あー……それは考えてなかった」


鷹峰の為に少しでもバレーに触れようとしていたので、そういうところは考えていなかった。


「そうなんですね。個人的に先輩は覚えがいいですし、能力とかの関係上、セッターが向いてると思いますけどね」


「でもあそこって上手い人がやるポジションだろ? 俺がやっていいところなのか? 」


「それはそうなんですけど、先輩なら向いてるかなって思いました」


過大評価な気がする。俺はまだまだ初心者の人間だよ。


「あの、もし良ければ僕にトスを上げてもらえないですか? 久しぶりのスパイクなんで、軽い気持ちでやりたいなって」


「わかった、どこまでちゃんとやれるかわからないけど、いいトス上げられるように頑張るよ」


俺たちはストレッチが終わり、対人パスが終わると、コートの端の方でスパイク練習をする。


「じゃあ行きますね」


鷹峰からボールが上がる。えっと、今回はゆっくりの攻撃だから焦らずボールを上げるっと。


俺は程よい高さのトスを上げる。鷹峰はそこに走り込んできて思いっきり飛ぶ。


『ドンッ』っと床を蹴る音が聞こえた次の瞬間、上げたボールが反対のコートの隅に勢いよく飛んでいく。


「久しぶりですけど、ちゃんと打てました。体は覚えているもんですね」


「さっきの凄いな。コースもだけど威力もちゃんとあって取りにくそう」


「あはは、たまたまですよ」


ここからどんどん鷹峰に打ってもらう。


最初はゆったりとした攻撃から始まり、ある程度までいくと少しテンポを上げていく。


少しだけ速い攻撃にも鷹峰は1発で合わせてきた。俺も能力を使って鷹峰の打ちやすいタイミングを見極め、どんどんと合わせていく。


「さっきより打ちやすかったです。もしかして能力を? 」


「ちょっとだけな。タイミングが知りたかったから使わせてもらった」


ひとまずタイミングはわかったから、後は体が覚えている内に鷹峰にたくさん打たせよう。


「よし、どんどん打っていこう。速攻も打っておきたいだろ? 」


「あっはい、お願いします」


練習を再開する。少しだけ変化をつけるために、距離を変えたり、後ろからの攻撃を試したりする。


「……だいぶ戻ってきました」


「そっか、じゃあ次は速攻いくか」


鷹峰はいつも以上に真剣な面持ちで構える。


上がったボールと共に走り込んでくる。


ジャンプの最高点は掴めてる、落ち着いて置いていく……


鷹峰がジャンプして打つ……と思いきや、ボールはそのまま流れるように地面に落ちていく。


「鷹峰……お前今……」


苦い表情をしている鷹峰を見る。


「ジャンプの高さが明らかに低かったな(・・・・・・・・・)……」


「……すみません」


「ひとまず休憩するか。結構飛んで疲れただろうし」


俺はドリンクを鷹峰に渡す。


あの場合疲れたっていうのが自然なんだろうけど……どうやらあの顔だと違うっぽいな。


未だに苦い顔をしていた鷹峰は、ドリンクを1口飲むと口を開く。


「えっと……先輩には話していなかったんですけど、取れなかった1点は速攻だったんです」


「そっか……」


恐らくさっきの場面でその時の光景がフラッシュバックしたのだろう。速攻ができないのはかなり痛いな……


「バレーは好きで、やりたいって思いは強まってました……けど、速攻を打つ時にまたあの時みたいになるのが怖いって思ったんです」


「そっか……」


これを乗り越えるのは難しいな。本人の気持ち次第ってところでもあるんだろうけど、1週間じゃ無理だな。


「じゃあ速攻以外のことをやろう」


「えっ……」


鷹峰は目を丸くする。本当にいいのかと言いたげな目で俺を見る。


「だって苦い経験が邪魔してるんだったらすぐには乗り越えられないよ。だったら、その分他のことを磨こう」


「それはそうですけど、でもいいんですか……それじゃあ来週の練習試合で僕は足を引っ張ってしまうんじゃ」


「まぁ練習試合だし、気楽にやろう。ってバレー部じゃない俺が言えるセリフじゃないんだけど」


少なからずバレー部員からは失望の目はあるだろうけど、強敵が立ち塞がってるんだからしょうがない。


元々イップスっていうことは伝えてるし、変に期待はしてないと信じたいけど。


「でも、」


「ほら、練習再開するぞ。後はバレー部員と混ざってやろう。速攻させるなってのは俺から伝えとく。今は変に考えないで、久しぶりのバレーを楽しもう」


俺はそれだけ言い残すと先にバレー部員たちの元へ行く。


俺がどうこう言って何とかなる問題じゃないし、今は楽しいを感じてもらった方がいいよな。


それがいつの間にか強敵を弱らせてくれるといいんだけど……

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