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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
3年生編①
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147話 バレーの特訓

「バレーを教えてほしい? 急にどうしたの? 」


俺は放課後、千華にバレーを教えてもらおうとしていた。


最初は千華も「なぜ? 」という表情(かお)だったが、俺が理由を話すと納得したのか快く了承してくれた。


「で、どうする? 今の時間は部活動で使ってるから場所が空いてないのよね……朝とか昼休みならいけると思うんだけど……」


「それに関しては大丈夫。さっきバレー部の部長と話して短い期間だけど体験入部をさせてもらうことになったから」


鷹峰との話が終わったあと、俺はバレー部の部長と話し、鷹峰の勧誘に協力することを条件にバレー部の場所を使わせてもらえることになったのだ。


勧誘の協力と言っても、無理矢理の勧誘はしないと念押ししたので鷹峰に不安を与えないようにはしてある。


「それなら安心ね。じゃあ早速着替えて体育館に行きましょうか」


「だな。よし、頑張るぞ」


鷹峰の助けになれるように気持ちを入れて体育館に向かった。


体育館は部活動の時間ということもあり、生徒で賑わっていた。


今はどうやら対人パスの最中のようだ。


「じゃあ私たちも始めていきましょうか」


体操服に着替え、いつものひとつ結びからポニーテールに変えた千華は心なしか楽しそうに見えた。


「やっぱりバレー好きなんだな」


「まぁ部活でやってたし、好きか嫌いかで言われたら好きだけど……なんで急にそんなこと聞くのよ? 」


「いつもより楽しそうだったから」


「……そう? 」


千華は顔をほんのり赤らめてそっぽを向く。始めた理由はネガティブなんだろうけど、ちゃんと好きになってるのはよかった。


「あんたは親か……」


「ほんとにそう思ったからな。よし、早速教えてくれ」


俺たちはまず入念なストレッチから始める。張り切って怪我をしたら堪らないからな。


「__じゃあ、そろそろボールに触りましょうか」


「で、最初になにやるんだ? 」


「最初は簡単にパス練習からいきましょうか。授業でもやる機会あるし」


俺は千華とある程度の距離をとり、早速パス練習を始める。


「とりあえず授業で触れてるだろうけど、オーバーとアンダーがどのぐらいできてるか見たいから好きに返して」


千華からボールが飛んでくる。


高めだからオーバーか。両手で三角形を作って包み込むように返球だっけ……


「よっ、」


「はい次、」


次は低めか。アンダーだから体全体を使ってボールを送る感じで……


「ほっ、」


「基本的なところはできてるわね。じゃあこの調子で長めにラリーするから集中切らさないでね」


俺は千華から送られてくるボールをしっかりと返す。


それにしても楽しそうだな。今の千華は生き生きしてるな。


「むぅ……悪かったわね楽しそうで」


「いや、別に悪いとは思ってないよ。ただ、よかったなって思っただけだよ。

急にバレー教えてくれって言ったのはいいんだけど、千華がバレーやってたのを親から逃げる為だけにやってたらどうしようって後になって思ったからさ」


あの時聞いた千華の話から、バレーが好きなのかがわからなかった。だからこそ、ちょっと不安な部分はあったのだ。


「……あんたは細かく考えすぎ。人なんて地雷踏む時は踏むんだから、あんまり考えすぎない方がいいわよ」


「だよな、ごめん」


「でも……そこまで考えてくれたのは嬉しかったわ、ありがと」


千華と面と向かってパスを送り合いながら、話をするのはなんだかいつもと違う感じで楽しい。


「__よし、こんなものね。じゃあ次はスパイク打ってみましょうか」


千華はネットの端っこに移動すると助走及びジャンプのコツを教えてくれる。


「__だいたいこんな感じね。後はボールを見てしっかり腕を振る、これができれば大丈夫よ」


「わかった、やってみる」


そういえばちゃんとしたスパイクは打ったことないな。一応能力で多少の余裕はあるとはいえ、毎回使ったらすぐバテるから使いたくない。


「じゃっ、自分のタイミングでこっちにボール投げて」


俺は一度息を吐いてから準備完了といわんばかりに千華に向かって山なりのボールを投げる。


千華はトスを上げる体勢になり、俺は助走に入る。


やがて踏み切って上に勢いよく飛ぶと、ボールがやってきて俺の振り下ろした手に当たって飛ぶ。


ダンっと音を鳴らして着地するボール。手のヒリヒリした感触がスパイクの成功を告げる。


「うん、いい感じね。一応今のが速攻で、他にも何種類かあるけど今はこの練習を沢山しましょう」


「千華トス上手いんだな。合わせられたのがわかった」


「そりゃ最初からすんなり打てないもの。だから最初は私が無理矢理合わせてでも気持ちよさを体感してほしかったの。今後の為にね」


千華は珍しくウインクをする。それがすっごく可愛くて不意に抱きしめたくなったが、場所が場所なので自重した。


「本来はセッターが合わせる立場だけど、あんまり無理矢理過ぎる攻撃に合わせるのはかなりしんどいから覚えといて。これ実体験だから」


中学でかなり苦労してるんだな……遠い目をしている。


「とにかく、最低限セッターに負担をかけない攻撃の仕方は覚えた方がいいわ。毎回無茶させると私たちが疲れる」


「てことは千華はセッターだったのか? 」


「えぇ、能力を使うと合わせやすいから。最初は苦労したけどね」


千華の表情から最低限はしっかりと学ばないといけないと感じた。


「よし、じゃあ上げてあげるからどんどん打ちなさい」


「うん、よろしく頼む」


俺は千華に教えられながらバレーの特訓を続けていくのであった。

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