140話 部活動紹介
次の日、学校で部活動紹介の関係で弓道部の方に顔を出した。
時刻はお昼をまわったところだ。今はお昼休みを利用して、最後の打ち合わせをしている。
「じゃあ最後は蒼音さんと柊くん、あと私で的にしっかりと当てて終わらせるって感じでよろしく」
弓道部部長の水瀬さんが本番の流れを丁寧に確認していく。
「わかったわ、任せて」
蒼は力強く頷く。気合入ってるんだな。
「柊くん、あなたしっかり当てなさいよ。外したら事務仕事の量増やすから」
なぜか俺は脅されていた。そりゃあ当てないとカッコつかないけどさ……それで業務量増やされるのはいただけない。
「じゃあまぁみんな頑張ろう」
水瀬さんは拳を上に突き出す。俺たちも同じように拳を突き出して気合いを入れる。
さて、お昼休みも終わり、いよいよ新入生に向けた部活動紹介の時間がやってきた。
既に体育館に集まった新入生たちは、期待からかそわそわしていた。
「あっそういえば知ってる? 明日辺り、新聞部の人がうちの部に取材に来るんだって」
生徒会が司会を行う関係上、冬と一緒にいるので話しかけられる。
「どうせ毎年恒例のやつだろ? 」
「うん、そうみたい」
俺はため息をこぼす。まためんどくさいのが来るのか。俺は参加しなくてもいいと思うんだけど……
毎年4月になると、新聞部は新入生も含めた美男美女特集を作成するのだ。
これは男子の部と女子の部で別れて作成されるのだが、特に女子の方の人気が凄い。
毎年そこから個人に対するファンがいきなり現れ、ファンクラブの設立までが一般的な流れだ。
葉月たちも2年連続で取材を受けており、俺も被害を被った。
今年は蒼も取材されそうで怖い。被害が増えそう。
「今月も大変そうだね……」
「……憂鬱だ……」
「会長の特集はコピーして額に飾ります!! 」
「泊さん、そこまでしなくていいから」
今の時点で若干暴走気味な泊さんなら確実にやるだろうな。蒼の制止なんて聞かずにやる。
蒼は嫌そうだけど、それぐらい慕ってくれている後輩がいるのは幸せだと思う。
「まぁ、特別号は毎年風紀委員が目を光らせているからこそ出せるものだし、そこら辺の努力は気づいてほしいものね」
「やっぱり大変だったのか? 」
「えぇ、検閲をしたり整理券を配って問題が起こらないようにしたり、めんどくさがったわね」
俺は別に率先して買いには行ってないので、その辺の事情はわからなかった。
でも話を聞いてると、現場はかなり荒れるんだな。
「っと、そろそろ時間ね。じゃあ始めましょうか」
蒼の言葉で部活動紹介を始めていく。
どの部活も特徴的でとても面白い紹介だった。新入生も迷いそうだな。
ちなみに、弓道部の最後で弓を引いたのだが、しっかりと当てられたのでホッとしている。
そして、部活動紹介が終わり、軽く明日以降のスケジュールの確認を済ませてから部室に向かう。
「もう新入生来てるか? 」
少し急ぎめで来たので、1年生が来ているのかは微妙なラインだった。
「和人くんお疲れ様です! まだアンヘルたちは来てないですよ」
俺の問いにティタニアは元気に返答する。よかった、間に合ったか。
「あっ和人、今日は新しく入る1年生と一緒に、プランターへの種まきするから。あと明日の取材のことは聞いてる? 」
「聞いてるよ。また変なことになりそうだ」
今日2回目のため息をこぼす。
「私からするとちょっと羨ましいっす。新聞部からの取材とかちょっと憧れるっすから」
「その気持ちはわからなくもないけど、せめて今年は受けない方がいいぞ。部長が変人だから」
俺はある人物のことを考える。強烈なキャラで忘れられないんだよな……
「でも今回先輩も取材されるみたいですよ? さっき葉月先輩から聞きましたけど」
「えっ……」
睦月と一緒に携帯ゲームをやっている秋穂の言葉に、俺は一気に背筋が凍った。
「なに聞かれるんだよ葉月! 」
「いや、そんなに怖がんなくてもだいじょぶだから。別に私らのことは聞かれないよ……まぁ千華との進展じゃない? 」
絶対めんどくさくなるやつだそれ。そう思ったらまたため息が出てきた。
「失礼します」
「えと、失礼します」
明日のことを話していたら新入部員が来た。
「待ってたよ、ようこそPSY部へ。これからよろしくね!! 」
葉月は来た2人の手をとる。
「よろしくお願いします、皆さん、姉さん」
1人目はよく知るアンヘルだ。オレンジ色のサイドテールがよく似合うしっかり者だ。
「はい、よろしくお願いします」
2人目は昨日会った鷹峰だ。睦月を見るなり少し怯えた様子だが、相手がなにもしてこないのがわかるとホッとしていた。
「で、2人にはしばらく和人をつけるから。困ったことがあったら彼に相談して」
「なんで俺なんだよ!? 」
「まぁ実績あるしね」
葉月はこちらを見て意味深なウインクをする。葉月、千華、アンヘルのことで首突っ込んだからか。あとほんの少しだけティタニアも。
これもいい機会か。鷹峰のこともこれで少しはわかればいいな……
「それじゃあ2人とも、よろしくな」
俺は2人とそれぞれ握手をし、今日の活動を説明する。
「じゃあ早速活動開始と行こう! 」
葉月の元気な声が契機となり、部室から出ていく。
今年の4月は大変そうだな……




