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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
3年生編①
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136話 始業式

「なるほどな……つまりは急にいなくなった生徒を探してほしいってことか」


俺は千聖に調べてほしいことを話した。葉月の一件でいきなり転校してしまった苅田のことだ。


俺たちが警備員の人と話してから、すぐに消えてしまったことに違和感を持ってしまった。


それに加えて、誰も転校先を知らないというのも怪しい点だ。


「なんだかきな臭そうな感じだが、こっちで調べてみるぞ。まぁ、あんたらは学生だしお金に余裕なさそうだから1000円で受けてやる」


「いや安いな」


「その代わり、成果が出たらもう1000円貰うけどな」


それでも2000千円なら安いな。


「でもいいのか? そんなに安いとそっちの生活が……」


「あぁ、大丈夫だ。本業でかなり稼いでいるからな。俺は将来有望らしい」


本業が気になるな。どういう職場なんだ……


「うんじゃあその条件でお願いするよ。なにかわかったら教えてくれ」


「了解だ。そういえば、あんたの名前はなんだ? 」


「柊和人、好きに呼んでくれていいよ」


「そうか、じゃあ和人だな……よろしく」


そう言って手を差し出してくる。俺はその手をしっかりと握る。


そうして、契約を結び、帰路に着く。


「少し不安だけど、なにかわかればいいわね」


「怪しいけどさ、信用できる奴だと思うよ。悪意とかは感じなかったし」


「頭の中も平和だったし、そこについては同感ね」


千華があの時口出ししないことが、信用してもいい証だったんだよな。


こうして、新学期前日は新たな出会いをして終わっていった。




次の日、学年が上がったこともあり、クラス替えが行われた。


「和人くん、今年もよろしくお願いします! 」


ティタニアとは同じクラスで、また大変そうだと思ったのだが、葉月とは違うクラスになってしまった。


葉月は冬と同じクラスなのだが、少し残念そうにしていた。


「今年は一緒ね、よろしく」


千華に関しては同じクラスなので結構嬉しい。彼女自身も嬉しそうにしている。


だが、そんな千華の顔も一瞬で凍りついた。


「あら、柊くんと一緒なのね。精々、副会長としての自覚を持って行動してね」


なぜなら、蒼も同じクラスだからだ。千華の顔が真剣なものになり、なにかを考え始めた。


あっ、三宅とも一緒だ。よかった、席は近いのかな……


教室へ行き、座席表を確認すると、俺の席は真ん中の列の一番後ろだった。


隣は……蒼か。


千華に心配かけないように気をつけよう。


「私は千華ちゃんの隣です! 後ろは蒼ちゃんですし、最高ですね!! 」


「ティタニア、あんまり騒がしくしないでね」


「あら、ティタニアさん。すぐ前なのは仕方ないけど、節度を持って生活してね」


「えっなんか2人が酷い……」


少しばかり落ち込むティタニアを見てかわいそうになる。どんまいとしか言えない。


賑やかになるクラスも、先生が来ると一気に静かになる。


今年も担任の五十嵐先生のHRを行い、始業式の為に体育館へ移動する。



「__今日から新学年がスタートします。皆さん、くれぐれも前3年生が残してくれたものを無駄にしないように過ごしてください」


凛とした声が体育館に響く。今は始業式の最中だ。


蒼は卒業式以来、更に生徒会に熱を入れて活動している。


また、耀音さんと少しずつ話せるようになってきているらしく、姉妹関係は良好のようだ。


ちなみに、ホワイトデーに蒼と一悶着あったのだが、ここで話しても長くなるのでまたの機会にしたい。


蒼の話が終わると、始業式は終わり俺たちは教室に戻る。


「蒼ちゃん、かっこよかったですよ!! 」


「ありがとう……でも前を向いてくれるかしら? 」


ティタニアは蒼の方に椅子と体を向け、満面の笑みで話している。そして、今から先生の話が始まろうとしていた。


「おい、前向け」


五十嵐先生が呆れた様子で注意する。ティタニアは照れ笑いを浮かべて前を向く。


「こほん、それじゃあ少し話すぞ__」


五十嵐先生の方からこれからのカリキュラム、受験にあたっての心得が話される。


これを聞くと、自分が受験生だということを再認識させられる。


志望校に合格できるように頑張らなくちゃな……



そして、いつもの日常を過ごして学校が終わる。


俺たちは部室に移動すると、明日から新入生が入ってくるということで、部活動の勧誘の準備をしていた。


「部活動紹介には出ないから、私たちだけで目的の生徒にアプローチをかけなきゃなんだよね? 」


「あぁ、天夜さんから貰った資料だと、今回は2人だな。アンヘルともう一人の男子生徒」


俺たちは予め天夜さんから、今年の能力持ちの入学者の資料を貰っていた。


アンヘルは知ってたけど、もう一人能力者がいるとは……天夜さんたちもよく見つけてくるな。


「じゃあ拉致るか」


「怖いことすんな。問題になるぞ」


「じゃあ睦月と決闘させる」


「いいですねそれ。ちょうど退屈してたところなんですよ」


「そういうのは却下だ!! あとお前も乗り気になるな!! 」


葉月の突拍子もない意見にツッコまざるおえない。


「その男子生徒、本当に入ってくれるかな? 」


冬が資料を見ながら疑問を口に出す。


「どういうことっすか? 」


「どうやらこの人、中学ではバレー部でかなり結果出してる選手みたいだよ。県大会準優勝だって」


「それだとバレー部に入りそうだな。まぁ、それならそれでいいと思うけど」


別にこの部活は強制じゃないし、能力者だから入るべきとかではない。兼部はできるけど。


「いや、絶対入れさせる。新入生がアンヘルだけは寂しいし! 」


「まぁ……とりあえずはアプローチするしかないか」


明日は入学式、新入生が入ってくるので、部活の勧誘が激しくなり出す頃だ。


果たして目当ての生徒は入ってくれるのだろうか……

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