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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
緋い記憶
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123話 行動〔2〕

調査開始から数日、俺たちは情報整理のために部室に集まっていた。


「私たちが調べたことだと、苅田さんって時折葉月のことを敵視する発言をしてたみたい。心の中も葉月に対しての呪詛が多かったし、動機としてはありまくりね」


「そっか、ありがとう千華、冬。やっぱり人気あると調べるのもスムーズに行くな」


俺は千華たちにお礼を言う。俺だったら調べるの大変だろうな。


「次は私たちっすね。バスケ部の子に聞いたんすけど、葉月先輩関連の情報は出てこなかったです」


「だろうな。あいつ、中学の時から葉月の人気ぶりをわかっているから、あんまり人には言わないよ」


正直苅田の身近からでないと有益な情報は出ないと思っていたから、ここは想定内だ。


「俺が久木野瀬先輩と一緒に調べた感じも似たようなものですね。収穫なしです」


「そっか、ありがとう」


次は俺らの番か。俺とティタニアは苅田の尾行をし、手がかりを見つけようとしていた。ティタニアの助手に選ばれた経緯がジャンケンで負けたからというものなのだが……


「尾行してみたけど特に怪しい部分はなかったな。ただ部活が終わったらまっすぐ帰るってだけだった」


「帰り際になにもアプローチしてないのね。ということは複数人で行っているのかしら……? 」


「その可能性はありそうだな……」


そうなってくるとかなり厄介だ。誰と共犯しているのか、絞り込みができてない。


「で、こうなってくるとまだまだ時間がかかっちゃうわね。どうする、和人? 」


「……こうなったら強硬策を取るしかないだろう。張り込みをする」


俺がそう言った瞬間、目を輝かせた者が3人ほどいた。


「て言っても全員では行かないけどな。見つかったら駄目だし」


花火、秋穂、ティタニアはそわそわした様子でこちらを見る。


「冬は行き帰りで必要だから来てもらうとして、他だと俺と千華か。能力と事情的に。あとは睦月は……でも4人だもんな……」


「「私たちは最初から数に入ってないんですか!? 」」


スルーした3人組から声が上がる。


「お前らは連れていくと見つかる確率上がりそうだから駄目。て言っても連れて行けるのはギリギリあと1人だし」


「睦月よりも私の方がいいですって! サイコキネシス便利ですよ!! 」


「私は単純に速いので見つからないっす! 」


秋穂と花火は自分のできることを売り込んできた。どんだけ行きたいんだこいつら。


「私は色々できますよ、術が使えますし気配も感じ取れます」


「なんで戦闘する気満々なんだよ……」


これは揉めそうだな。だったら、

「やっぱり俺ら3人で行くわ。これ以上増えるとリスクが上がるだけだし」


「「えぇー」」


3人から不満の声が上がる。元々4人目は入れるか迷ってたし、これでいいだろう。


「集合は夜8時にしよっか。場所はうちでいいか? 冬には無駄に能力使わせちゃうけど」


「いいよ、行く前に和人の家の猫触りたいし」


冬は柔らかく笑って承諾してくれる。ラムレーズンのやつちゃんと大人しくするかな? まぁ相手が冬だし大丈夫か。


「じゃあ決まりだ。8時に集まってここに飛ぶ。そこから不審者の捜索及び取り押さえ。夜に忍び込むこともあって警備員の人に見つかったらまずい、だからできるだけ音は立てない方向で」


「だね」


「じゃあ1年組は解散な。2年は残ってくれ、ちょっと話がある……」


俺は睦月たちを帰らせると、残った千華たちに話しかける。


「話したいことっていうのは葉月のことなんだけどな……強硬策を取ることになったし、予め知っておいてほしくてな 」


「葉月ちゃんの過去ですか……結構重いですか? 」


「もちろん、じゃなかったらもう話してる」


葉月の過去……その重さを実感したからか3人の顔が強ばる。


「あんまり詳しいのは避けるけどさ、最低限知っておいてほしいんだ」


「……私は心の準備できたわ、話して」


千華は真剣な顔つきになるとそう話す。見ると、冬やティタニアも同じような表情になっていた。


「結論から言って、葉月は昔……人を殺したんだ。

て言っても事故のようなものなんだけどさ。小学1年生の頃だったかな……あることがきっかけで感情が昂りすぎた葉月は自分の母親を殺してしまったんだ。原因は能力の暴発だった。まだ未熟だったあいつの歪曲は、完璧な制御なんてできなかったんだよ。それから葉月は、大きなキズを負ってしまったんだ」


「そうだったんですね……」


説明を終えるとティタニアが神妙な面持ちで自分の手を見る。


「あのっ、ちなみにその時ってしっかり報道されたんですか? 」


「いや、されてない。事件というより事故というかたちで処理された。でも近所ではあの事故のことはしばらく話されてたっけな」


「じゃあ苅田さんが葉月ちゃんのことをあんな新聞で攻撃する理由って……」


「あのこと知っているからっていうのが妥当なとこだろうな。小学校から一緒だったから知る機会なんていくらでもあるし」


思えば、あいつの葉月嫌いは小学校からだったな。ますます怪しさが増してくるな。


「葉月、かなり重いの背負ってたのね。私なんかよりもずっとずっと怖くて重いのを……」


「また笑った葉月が見たいから、私は頑張るよ。話聞いたらモチベーション上がってきちゃった」


「そうですね! じゃあ私は葉月ちゃんと遊んで一緒に寝ます!! 」


みんなの優しい言葉にありがとうと言いたかった。あとは……


「冬、この後俺をある場所に飛ばしてくれないか? 」


「いいけど、どうしたの? 」


「ちょっとそろそろ前向かせないといけない奴がいるから背中叩いてくる」


俺は冬にニカッと笑いかける。これは俺がやらなきゃ駄目な仕事だ。晴哉さんでも千歳さんでも駄目だ。


「わかった、頑張ってね」


冬からの激励の言葉と共に勇気をもらう。立ち入り禁止区域に入ってキズに触れる勇気を。


昇降口から近い、人気のない場所で冬にテレポートを使用してもらい、俺はある場所へと飛ばされた。

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