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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編⑤
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118話 オープンキャンパスへ

バレンタインも終わり、落ち着いた生活に戻る……かと思いきや戻らなかった。


あの後家に帰ったら、アンヘルにチョコを口移しで食べさせられそうになりひと波乱あった。それからもうちは賑やかなので別に落ち着いた生活とかなかったことに気づいた。


大変なのは今に始まったことでもないので別段気にしてない。だが、


「どうするかな……」


今後に関わる重要な選択……進路選択だ。進学をすることは決まっているのだが、どんなところに行きたいかまではまだ決まっていなかった。


今のうちから決めておいた方が、志望校を絞りやすくなる。さすがに受験の時期になってからバタつきたくない。


だからこそ、自分の教室で頭を抱えていた。もう教室には人はいない。葉月たちもひと足先に部活に行ってしまった。


「でもどうしたものかな……」


最初に天夜さんと話したあとから考えてみた。自分のやりたいこと、なりたい将来像。でもそんなものは自分でもよくわからなかった。ただ自分の好きな空間を、時間を、人々を守りたいとは思った。


それ以外に今はやりたいことはなかった。


……ひとまず国立の大学……なのかな……


「柊、ここにいたか。少しいいか? 」


俺が進路について悩んでいると、伊月先輩が入り口に立っていた。


「はい大丈夫ですよ。どうしました? 」


「あぁ、天夜さんからこれを渡すように頼まれてな」


伊月さんは教室に入ってくると、1枚の紙を渡してくる。


「これは……大学のチラシですか? 」


受け取った紙には大学の宣伝らしき文面が乗っていた。国立篠ノ宮大学というらしい。


「あぁ……今週末にオープンキャンパスがあると言っていた」


「なるほど……」


天夜さんからの薦めなら行った方がいいな。なにかきっかけになるかもしれない。


「これの為にわざわざありがとうございます伊月先輩」


「問題ない、後輩の為だ」


俺は伊月先輩に貰ったチラシから、オープンキャンパスの申し込みを行った。



そして週末、俺は柏崎市の北の方にある篠ノ宮大学に来ていた。


「結構綺麗な校舎だな。えっと受付は……あそこか」


俺は受付を済ませ、首下げの許可証を貰う。


「まずは人文学部のブースから行ってみるか」


篠ノ宮大学には人文学部、理学部、教育学部など様々な学部があり、俺はひと通り回ってみることにした。


ここは本来、教育学部と医学部のキャンパスのようだ。組み合わせ凄いな。


大学病院もあるんだなここって。そこでもなにかやってみたいだし後で行ってみよう。


俺は人文学部の説明から聞いて回った。そこから経済学部、工学部、理学部の順番で聞いた。


俺は文系より理系の方が話を聞いていて興味が湧いて楽しかった。入るとしたら理系の方かな……


俺は残った教育学部のブースへと向かう。教育学部は確かティタニアが興味あったっけ。前に雑談で話してたっけ。


「ようこそ、ここでは教育学部の詳細を説明します。聞いていきますか? 」


「はい、お願いします」


俺は担当の人から教育学部の説明を受けた。講義内容や研修、在籍している講師の説明を時折メモを取りながら聞く。


「__それで、ここでかなり有名な教授の方が神尾(かみお)先生なんです。説明すると長くなるので省きますが、かなりの実績をお持ちなんですよ」


「へぇー」


そんな凄い人がいるんだな。ちょっと会ってみたいかも。


俺がそう思っていると、不意に肩を叩かれる。振り向くと、講師らしき先生が立っていた。


「柊さんですね、神尾先生がお呼びです」


「えっ……? 」


突然の呼び出しに戸惑ってしまう。初対面のはずなんだけど……一体なんの用なんだろう。


俺は指定された場所である、大学病院内のとある地下室の前まで来た。


この奥に神尾先生が……


俺は軽くノックをして、地下室内に入る。


中は薄暗く、テレビの明かりが眩しく感じられた。


そこにいた人物、神尾先生と思わしき人は……グラビアアイドルの動画を見ていた。


……??


周りを見てみるとグラビア雑誌やアダルト雑誌が積み上げられ、山を作っていた。それだけではなく、資料と思わしきものが本棚にきっちり並べられているのがまた異様だ。


なんだこの入っちゃいけない時に入ってしまった感じ。帰った方がいいのかな……?


「おぉ、来たか。お前が柊だな」


電気がつき、その人がよく見えた。白髪に眼鏡、白衣を纏った人物はかなり歳をとっているようだった。70歳ぐらいかな……


「わしは神尾藤吉(かみお とうきち)、ここで教授をやっている」


「えっと、柊和人です。よろしくお願いします」


「ふーむ……」


神尾先生は俺のことをじろじろと見てくる。その目に敵意が含まれているのは気のせいだろうか……


「わしお前嫌い! 」


「なんでですか!? 」


「顔整ってるから! わしはイケメン嫌いなんだよ! あいつらのせいで狙ってた女の子を何人とられたことか……お前にわかるか!? 」


「いや、わからないです……」


個性的な人だ。部屋入った時点でそれはわかっていたけど。


「ふん、天夜の紹介じゃなかったら追い出しているところだ! ただでさえ、今は推しのグラドルのビデオ観賞会をしていたというのに」


「……すみません大変な時に」


色々と言いたかったけどここは我慢した。というか天夜さんの知り合いなんだなこの人。


だからここを薦めたっていうのもあるのか。


「まぁ……この怒りよりも話を始めた方がいいな。ひとまず座れ、茶を出す」


「あっはい、失礼します! 」


俺は理科室にあるようなテーブルとパイプ椅子のある場所に行くと、そこに座る。内装をよく見てみると実験室のようだった。


「あの、先生って天夜さんとどういった関係なんですか? 」


「ん? 、あぁ……天夜は、あいつはわしの教え子だ」


お茶の用意をしながら、神尾先生は淡々とそう言った。

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