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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編⑤
116/171

116話 バレンタイン~前編~

1月が過ぎ、2月の初めが過ぎ、大きなイベントがやってきた。学生は多少なりとも意識してしまうイベント、2月14日……バレンタインだ。


朝から学校では皆そわそわしていた。チョコが貰えるか、気になる異性にチョコをあげられるか、そんな思いが聞こえてくる。


私もその1人だ。今日の為に入念な準備をしてきた。学校で、私の作ったチョコを彼にあげる。回りくどいがこれが目的だ。


だって私が彼と同居していることを葉月やティタニアなどを除くと誰も知らないから。怪しまれない為とあと……少し憧れていたから。好きな人にチョコをあげることなんて、能力のせいでないだろうなと思っていたから。


だから、悔いは残したくない。ちゃんと彼にチョコを渡したい。


そしてその後に気持ちを言えれば上出来。よし、絶対渡すわよ……


私は気持ちを入れて、朝の時間に渡しに行こうと彼のいる教室へ向かう。


登校中に渡すこともできたけど、それは雑な気がしたから却下していた。


教室に到着すると、まずは敵情視察がてら中の様子をうかがう。


「柊くんよかったらこれ」


「あっ私のもどうぞ! 」


もう既に彼は女子からチョコを貰い始めていた。クラスマッチ以来少しずつ好感度上がってたからね。特に文化祭のステージではかなりの人数惚れさせたんじゃ……?


戸惑いながらも受け取る彼。よしっ、ここで私が出ていけば大丈夫ね。


私が教室に入ろうとした瞬間、ある生徒が声を上げる。


「和人、私からも上げる。いっつもお世話になってるし」


なんと葉月だった。家で渡すかと思ってた!


「あぁ、ありがとな。そうだ、お返しみたいになるんだけど、よかったらチョコクッキーどうぞ」


彼はそう言って葉月を含めた女子に配る。そういえばあれ作ってたわね。湊先輩や久木野瀬先輩に渡すからって。でも作りすぎちゃってどうしようってなってたっけ……


「ありがとう柊くん」


「大切に食べるね! 」


配るにしても男子にしときなさいよ! より惚れられてるわよあの無自覚!


心の中でツッコミを入れていると予鈴がなってしまった。


あっ渡せなかった! 悔しいけど次よ次! 私は気持ちを切り替えると自分の教室に帰り、授業を受けた。



それから休み時間の度に彼に渡そうと思ったが、先生の頼まれごとや、そもそも彼が体育の準備でいないなどが重なり、気づけば昼休みになっていた。


まっまぁ逆に好都合だわ。部室でゆっくりと渡せるし。


私はいつものように部室に向かおうと席を立つ。その時スマホが鳴り1件の通知を受信する。


嫌な予感がしてスマホを見ると、そこには彼からのメッセージがこう書いてあった。


『ごめん、生徒会の会議が入っちゃったから一緒に食べられなさそう』


なんでよ!? もしかして蒼音さんに謀られた!?


「あっ千華、和人から連絡いってるかもだけど、急な会議入っちゃったからご飯一緒は無理そう」


追い討ちで冬にも同じことを言われる。チョコ渡そうと思ったのに……


「大丈夫、千華ならちゃんとチョコを渡せるよ」


「冬……」


冬の優しい言葉に元気づけられる。そうよね、こんなことで凹んでられないわ。


「あっあと蒼のことも見とくね。和人にチョコ渡すかもだし」


「いや流石にそこまではいいわよ。蒼音さんだって流石にそこまではしないと思うし。だってまだ好きを自覚してないところよ? まだ大丈夫じゃないかしら」


「……千華、油断してると足元すくわれるよ」


冬からの棘が刺さる。不安だけど考えないようにしてたことを指摘された気分。いや、どんぴしゃで当たってるか。


「じゃっ、行ってくるね」


「えぇ、行ってらっしゃい……」


遠ざかる冬の背中を見ながら思う。なんだか今まで以上に不安になってきた。今日だけで変に進展しないわよね……?


私は不安な気持ちを抱えながら、部室に行ってご飯を食べる。


今日は1人か……なんだか寂しいな。


彼の作ってくれたお弁当はとても美味しいのだが、いつものような美味しさはない。おそらく、彼が隣にいないからだろう。


誰かと一緒に食べるご飯は格別って言葉あるけど、その意味をここまで実感したのは初めてね。


1人でいても暇になってしまうので、早めに教室に戻ることにした。


その道中、

「柊くん、この資料来週までに作ってもらえるかしら? 」


蒼音さんと彼が2人でいるところに遭遇してしまった。


私は見つかるまいと慌てて掃除用具を入れるロッカーの陰に隠れる。


「あぁ問題ないよ。それにしてもボランティアでごみ拾いって人集まるかな? 」


「何事もやってみないとわからないことがあるわ。それに、周辺住民に対する評価上げにも繋がるし……どちらにせよ、やらなくてはいけないことだわ」


会話からは特に問題のないように思える。最悪な結果になってなさそうでちょっと安心。


「それにしても、蒼も変わったよな。ちゃんと生徒のこと考えた催し考えてるし」


……できないわ、なんでいきなり親密そうな呼び方になってるの!?


「それはあなたのせいでしょ。毎回却下してくるのはどこの誰よ」


「いやだって、いきなり全校生徒で市内あいさつ運動は無理があるって。まずは小さなところからじゃないとまた反発出るぞ」


「……私は賛成なのだけど」


「蒼個人の賛成だけじゃ駄目だろ……」


えっ、いつの間にか蒼音さんと彼の関係が3歩ぐらい進んでいる! これは……不味いわ。


「あっそうだ、柊くん手を出して」


彼は言われるままに手を出す。蒼音さんはその手になにかを乗せた。


あれはまさか……

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