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能力者は青春を謳歌出来ないと思った?  作者: 白金有希
2年生編①
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1話 俺と能力者達その1

 突然だが俺は、平凡な人生を送りたい。普通に高校を卒業し、大学に行き、就職する。高校卒業後に就職でもかまわない。

 とにかく、仕事をそこそこ頑張りつつ、時には友達とどこかに行ったりする……そんな人生を送りたいのだが……多分そんなに平凡にはいかないことは知っていた。

 なぜなら…………



 俺は柊和人、柏崎学園に通う学生だ。二年生である。

 柏崎高校はそこそこの偏差値の進学校だ。


 俺はそこでわりと平凡な生徒として生活している。そこまで明るくなく、暗くもない、普通という印象があう、クラスに一人はいる奴だ。


 友達はそこそこいて、成績はいい方だ。平凡で平和な生活を送るためにはこのぐらいがちょうどいい。


「おっはよう和人。」


 俺はいつもの教室に入ると赤毛の少女に話しかけられた。


 緋色葉月、俺の幼なじみだ。こいつは赤毛のアホ毛もち(ショート)、緑眼であり、身長は160センチで運動神経抜群、容姿端麗、明るい性格で誰からも好かれる存在だ。


 てかこいつはくっそ目立つんだよな。


「おはよう葉月。」


 とりあえず挨拶を返して自分の席に着く。暇だし読書でもしとくか。


「ねぇねぇ、最近つまんなくない?」


「別に、平和でいいと思うが?」


 葉月に話しかけられ、素直に返答する。いつもの日常がいいことに気づかんとはまだまだだな葉月。


「いつも通りねー。爺さんみたい。」


「誰が爺さんだ。いつも通りの日常は素晴らしいものだぞ。」


「私は変化が欲しいな。」


 葉月はそう言うとへへっと笑った。


「そういえばなんか依頼とかはきてないのか?」


「きてないよ。」


「そうか。」


 依頼がなにかというと、俺達が入っている部活にはたびたび生徒から悩み事などの依頼がくるのだ。


 葉月はとても暇そうにしていた。変なことしなきゃいいんだが……。



 授業はいつものように進み、放課後になる。


 放課後になると部室に行く。俺達が入ってる部活はPSY部だ。どんな部活かというと、部室に集まってだらだら過ごす部活だ。


「よーっす。」


「あっ、先輩来たんですね。」


 俺が部室(いろいろ充実している)に入ると後輩が宙にぷかぷか浮いていた。


 いい忘れていたがこのPSY部には能力者しかいない。なに言ってんのって?ごめん、俺もこの部が異様だと思うよ。どこのバトル漫画だよってツッコミたくなるわ。


 でもごめん、俺も能力者なんだ。


 どんな能力かというと、簡単にいえば情報解析能力だ。


 情報解析アナライズ、それが俺の能力だ。この能力は俺の視界にあるものの情報を解析できるものだ。


 どんな感じなのか実際にやって見せると、例えばそこの机だが情報はこんな感じだ


 耐久性 B 重量 C

 主な材質 木材(杉)


 とまあ大体こんな感じだ。俺がみたいと思えばもっといろんな情報を見れるんだがな。どうでもいい情報とか。数値化できるものならなんでもいけるのが特徴だ(数値化できないものでもいけるものはある)。


 もちろんこの能力には欠点もある。


 それは、一度に膨大な量の情報を解析すると脳がオーバーヒートを起こして強い吐き気や頭痛、立ちくらみやめまいが長時間おこる。なので普段は能力を発動しないで上手く使っている。


 あと捕捉情報だがアルファベッドでのランク付けは最低がEで最高がSだ。能力者とかだとEX(規格外)がいたりするが気にしないでおこう。


 俺の目の前にいる呑気に浮いてるやつも能力者だ。


 柳沼秋穂(淡い金髪ロング)、俺の後輩でサイコキネシスの能力をもっている。半径百メートルのものを自由に操れるらしい。欠点らしい欠点といえば自分を操作してるときは操作が不安定になるということだがほぼノーリスクだと言ってもいいくらいだ。

 ちなみにこいつはくっそめんどくさがりやだ。


 なのでこいつは煎餅やらなんやらを自分の周りに浮かせている。動かしてないからデメリット発動しないんだよな。

 俺はいつものようにソファに腰かける。


「せんぱーい、そこの湯飲み取ってください。お茶いれたいんで。」


「自分でとれよ。能力使えばすぐだろ。」


「私今浮いてるんで。そのときの操作めちゃくちゃ不安定なの知ってるじゃないですか。」


 秋穂はだらけて言う。


「自分だけ解除して取ればよくね?」


「めんどいです。」


「うんじゃゆっくり動かせば?そうすればデメリットもそこまで発動しないだろ?」


「すごいノロノロなんでやです。取ってください。」


「てかやかんとか操作するんだから解除しとけよ。」


「まぁそうですけどね。………しょうがないですね。」


 そう言うと俺の対面のソファにボフッと落ちる。


 やれやれ、そう思っていると湯飲みがテーブルに丁寧に置かれ、やかんがひとりでに動き、水を注がれたあと、コンロが操作され火がでる。


 ほんとに便利だな秋穂の能力は。俺なんてせいぜい買い物の時役に立つぐらいだ。


 そんなことを考えているとドアの開く音がした。振り替えるとそこには小柄な銀髪ショートの美少女がいた。


「あれ?冬一人なの?千華はどうした?」


 この娘は夢宮冬、無口でよく無表情でいる娘だ。もちろんこの娘も能力者です。


 予知と瞬間移動テレポーテーションが冬の能力だ。予知といっても自分の意志で視れないが、最大十年先の未来を見ることができる。瞬間移動は行きたい場所の座標さえわかれば使える。欠点といえばあんまり遠くに行くと気持ち悪くなるらしく、さらに移動先がコンクリートなどだと自分が潰れてしまう。使いどころはなかなか難しい。


 冬は話すことがあまりないのでメッセージアプリなどで会話をしたりする。


『千華は今日来れないって。』


 そうなんだな。


「千華先輩休みなんですね。今日は睦月も花火も休みだから約半分来てないことになりますねー。」


「あれ?あいつらも休みなのかよ。」


「そうですよ~。葉月先輩はまだ来ないんですか?」


「まだ来ないみたいだな。」


 そんなことを言っていたら聞き慣れた声とともにドアが勢いよく開いた。


「遅れてごめんね。ちょっと話し込んじゃって。」


 葉月が息を少し荒くしながら来た。


「遅いですよ葉月先輩。」


 秋穂が口を尖らせて言う。


「いやまぁ別に依頼はないし、だらだらするだけなんだからいいかなって。」


「そうなんですけどね~。あっお湯沸いた。」


 そう言うと秋穂は能力でお茶をいれる。


 葉月は俺の向かい側に座る。俺のとなりは冬だ。冬は読書していた。

「今日は四人か~。なんか駄弁ってようか。」


「そうですね~。」


 二人はなんかいつも以上にほのぼのしている。今は五月で気持ちのいい季節だからな。


「秋穂ちゃんはなんか週末予定とかあるの?」


「私は家でごろごろします。」


「そうなんだ~」


 二人はお茶をすすりながら談笑していた。平和だな。

 そういえば余談だが、俺の能力は好感度なんかも見ることができる。


 例えばこんな感じだ

 緋色葉月 好感度95

 筋力B 敏捷A 知力A 性格A 運B コミュ力A

 判断力B 容姿A 特殊能力 歪曲


 あっ、やべぇこいつの能力のこと忘れてた。

 葉月の能力、歪曲は視界にはいっているものと直接触れたものを曲げることができる。ちなみに大体のものは曲げられるらしく、ベクトルなんかもいけるらしい。


 欠点といえば感情が高ぶり過ぎると無条件に発動するらしい(俺は一回死にかけている)。まぁでもその対象を絶対に曲げたくないって念じればそいつは回避してくれるらしいが。


 さて、話を戻そう。他のメンバーの好感度+αはこんな感じだ

 柳沼秋穂 好感度82

 筋力D 敏捷D 知力C 性格B 運C コミュ力B

 判断力C 容姿B 特殊能力 サイコキネシス


 夢宮冬 好感度100

 筋力D 敏捷D 知力EX 性格A 運B コミュ力D

 判断力B 容姿A 特殊能力 予知、瞬間移動


 これを見てどう思う?……うん、冬の好感度がなんで100なのかは俺も気になる。俺なんかしたかな……?


「和人、明日あれやろ!ペットボトルロケット!!」


 そんなことを考えていると葉月が話しかけてきた。


「いやなんで!?」


「え?楽しいから?」


 この部でペットボトルロケットなんてやったらヤバいことになりそうなんだけど。


「だから明日は皆を集合させよう。」


「やること確定っすか。」


「ペットボトルロケット用意しときますね。」


 秋穂はそう言いながらサイコキネシスで人数分のロケットを作っていた。てかその材料どっから持ってきた。


「冬ちゃんも来てね。」


「……(コクコク)」


 冬は頷いてこたえる。そういや冬と会ってから一年以上経つのにいまだに声を聞いたことなかったな。


「じゃあ今日は解散!明日は皆で競争やるからね。」


 葉月は元気そうに言う。俺は顔に手をあて、ため息をついた。






 これは、俺とその周りの能力者によるドタバタな日常ストーリーである。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 超能力者で楽しい学園生活ですか。いいですね。ペットボトルロケットって動画でしか観た事ないですけど、自分でやったら楽しいでしょうね。とはいえ仲間と一緒にやるのが楽しいんでしょうけどね。
2021/10/13 10:49 退会済み
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