秋は夕暮れ。
秋。山あい田圃の中を、遅くもなく早くもなく走る電車の車窓から、ふと、陽を見る。そこにはまるで、いつもそこにあるかのように佇み、私が見た時のみ時間を感じさせる、自立した時間がある。山際に落ちる陽が山影を田圃に深くきざみ、私の顔を照らす。そして私は車窓に夕日と重なる、どこか惚けた顔をみるのだ。時間は自分の中にあったのだと、私は意識した。
車内にはもう私以外には誰もいない。陽が落ちる。その最後の光は夜の闇に押しやられるようにして、紫の空を所々オレンジに染めながら消えた。刹那、特に感慨を覚えた訳ではない。大事な何かを忘れてしまったような、時間を超え大事な物を取り戻すような、そんな気概がしてならなかった。その時、私は時間の狭間にいた。
初投稿です。稚拙な文ではありますがこれからよろしくお願いします。