これから
僕はスマホの目覚ましの音で目が覚めた。
目をこすりながら時間を確認すると...
「8時か...」
もう一度眠りにつこうとするがようやく事の重大さに気づく。
「8時!?遅刻する!」
急いで準備を済ませて、母と父におはようとだけ言い、家を飛び出す。
学校に着くと、教室で担任がまだ話しているようだった。
何か大きなニュースがあるとああやってホームルームで長話する先生だった、と思い出した。
「遅れました」
そう言って教室に入ると、
「お、遅かったな。でも今日は遅刻とはしないでおく。」
ホッとした。
「今日のニュースは見たか?」
僕は割とニュースに敏感な方で、常日頃から確認している。それを知っていた担任によく気になるニュースを聞かれるということがよくあった。
「起きて8時だったので見れませんでした。」
担任は「そうだったな」と軽く笑っい、それに続くようにクラスのみんなも笑った。
苦笑いする僕は見計らって席に着席し、担任もそれを見て話の続きをするようだ。
「ここまでを簡潔に説明すると」
「今日の未明、遂に我々人類は地球外生命体を発見した。」
「これは人類にとって大きな一歩で、今後の宇宙開発をさらに進展させていく出来事になるだろう。」
いつもなら目を輝かせて聞いていたはずなのだが、なにかざわめきを感じる。担任は続けて
「いるかいないかで言い争われてきた地球外生命体の存在についてだが、こうやって決着はついた。みんながどう考えていたかは分からないが、今まで人類がどう言い争っても結果が出なければ分からなかった。我々にも分からないことは沢山ある。それを見つけ出し解決する力を持って、架空の論争に惑わされない人間になってほしい。自分の考えを貫ける人間になってほしいと私は思う。」
ホームルームは終わり1時間目が始まった。あのざわめきはなんだったのだろう?少し悩んだ末
起きてすぐの運動が普段運動しない体に悪かったのだろう、と考えておいた。
「また遅くまで遊んでたんでしょ?」
隣に座る僕の幼馴染である杏奈は聞いてきた。
「昨日はすぐ寝たはずなんだけどな」
「うそついてる顔」
すぐバレた。自分には分からないが彼女は僕が嘘をつくとすぐ分かる特徴があるらしい。
「どう嘘ついても無駄だな、はいはい、昨日も遅くまでゲームしてたよ。」
彼女は静かに笑った。
いつからか彼女が、かわいいと思っていた。
でもこんな幼馴染でそう思ってしまうのが少し恥ずかしくて、必死に隠していた。
でも明日、告白しようと決めた。
きっと伝えないと後悔してしまう気がするからーーーー
気付けば放課後だった。教室には誰もいない。
僕はリュックを手に取り教室を後にした。
杏奈は今日、生徒会の会議があるらしい。
部活動の練習を横目に学校を出た。
閑静な住宅地を歩く。
とても綺麗な夕暮れだ。世界が終わってしまいそうなほどに。
ぼーっとしながら、どうでもいいことを考えながら歩き続け家に着く。
「ただいま」
まだ誰も家にはいないようだったので、靴を脱いでそのまま部屋に入った。少しゲームで遊んでいると心がざわつき始めた、朝と同じざわめきだ。
落ち着かせようとベランダに出てみると既に外は真っ暗で、綺麗な星空が見えていた。
星を眺めていると、視界が真っ白になった。
そして同時に声がした。
「やぁ、人間のみんな。地球外生命体の発見おめでとう。」
何が起きているのかわからない。
でも彼の言うことは簡単に理解できた。
「今回はマヌリエラじゃなくてシュミエーラが来た世界だった訳だが、これはまた面白い結果だったね。奴らのやることも謎だけど、君たちの吸収力と発展の早さには驚かされるね。でもその分、崩れやすい」
すこし悲しそうだった。
「まぁいい。取り敢えず今回はこれで終わろう。良いシミュレーション結果が得られたよ。ありがとう。」
その瞬間真っ白な世界にヒビが入る。
「なっ!?く、シュミエーラか...!余計な抵抗をしてくれるな...!」
彼は苦しそうだった。
「格好はつかないがこれで終わりだ...!
「これでシミュレーションは終了させてもらう!」
そして世界は終了した。いや正しくはシミュレーションが終了したのか。