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いつかの夕暮れ
誰もが終わりを告げる声を聞いたーーーー
幻想的な美しい街並みは崩れていた。
逃げ場など無いのだ。世界が消えるのだから。
小さな女の子が母に抱かれながら言う。
「ママ...わたしたちは悪いことをしたの...?」
「...」
「なんでみんないなくなっちゃうの...?」
「...」
母は泣きながらも娘を抱き続ける。
ふと目を開くと、空は真っ白だった。最初からそうであるかの様に。でもそれは雲の色でもなく、ただ何も無い純粋な白だ。
もうそれは目前まで迫っていた。街の路地の中で母は即座に理解した。消えて無くなるのだと。
母は口を開いた。
「ごめんね...」
娘がその言葉を理解する暇もなく、消えた。
たった今世界は真っ白な空間になった。