第13話 悪魔祓いし清めの塩
結局、トーワが家に入れろ入れろと駄々をこねるので渋々了承をしてしまった。
このことがクララにバレてしまったら何をされるか分かったもんじゃない。
まさか初めて家にあげる女子が、こんな頭のネジが一本外れてるようなやつになるとは。
まぁ可愛いけど…可愛いけどね⁉︎
とか、考えてる間にあいつはどこ行ったんだ⁉︎
「おーい、どこに消えたトーワ〜」
「こっちだよー」
どうやら既に上の階に上がっているようだ。
なんと図々しい。
「勝手に上がっていくなよ!って、何をしている‼︎」
「えぇ?ちょっと比にメールを」
俺の部屋の前で何やらピコピコとケータイをいじっているではないか。
「させるかー‼︎」
恐れていた事態を阻止すべく、全力でケータイを奪いにいく。
「わっ!何をする!危ないだろー全く。もう少しで打ち終わりますから邪魔しないでくれますか!」
ひらりと俺が伸ばした手を避けると、またメールを打ち始めた。
「それを阻止するって言ってんだよ!」
こちらも負けじとケータイに手を伸ばし続ける。
「なんでですか!ただ、先輩の家の写真とそこに写る可愛い私をですねー…」
「お前を家にあげたってバレたらあいつに何をされるか。絶対、トーワは良くてなんで自分はダメなんですかって聞いてくるに違いない!そしたら今度はあいつも家にあげないといけなくなる」
「そんなの知りませんよ!おとなしく倒されちゃってください。それが比のためであり、世界のためです!」
どうやら俺が倒されるのは世界規模で影響するらしい。
一体俺が何をしたというのか。
「そんな殺生な」
「はい、ポチー」
満面の笑みで押されたケータイの送信ボタン、もとい俺に対する死刑宣告により見事にあっけなく穏やかで平和な日常が終わりを告げたのであった。
「あぁ…あぁ」
身体中の力が抜け、ゲームの入った袋とともに床に崩れ去った。
ーピロリン!
ケータイの着信音と同時に俺の崩れた体がビクリと固まる。
「どうやら今は来れないようですね、後日討伐に馳せ参じらせてもらいますだそうです。よかったですね先輩」
「はははっ…ははっ」
死は免れないと言うのか。
せめて事情聴取ぐらいで手を打って欲しかったものだ。
「んじゃ、先輩の部屋失礼しまーす」
再び崩れ去った俺に見向きもせず、当たり前のように俺の部屋に入っていった。
なぜ俺の部屋の場所を知っている…
「この悪魔めー!塩で追い払ってやる‼︎」
あれ、悪魔って塩で退治出来るっけ?
「ふふふっ!そんなものではこのトーワには、傷一つ付けられませんよ!」
「くらえ〜」
どこからかもってきた塩をひとつまみしては投げつけた。
効果があるかなんて関係ない!ただ投げつけることに意味がある‼︎
「どこからそんなものを⁉︎って、痛い!地味に痛い‼︎ちょ!ながっ…長くないですか⁉︎どんだけ恨んでるんですか!あのっ…やめ…」
「チッ‼︎切れたか」
空になった容器を床に投げ捨て、そのまま猛ダッシュで掃除機を取りにリビングへと向かった。
ーウイィィィン
「ほら!そこどく!」
「危ないですよ先輩!」
「俺の射程圏内に入ったお前が悪い‼︎」
自分の部屋じゅうに巻かれた塩を処理するべく、チャンスを見つけてはトーワの足元を掃除していた。
もちろん嫌がらせのために。
五分かけて、やっとの事で掃除が完了した。
これでやっと本題のゲームをすることが出来る。




