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下位神のワールドメーキング  作者: 文字trum
第1章 第一部
12/30

第9話 第1位と第2位

ついにヒロイン登場!?

初めてのライバル候補くるか、!?

第9話 第1位と第2位





朝が来て

昼が来て、夜が来て


また朝が来る。


当たり前のことだがそれが1日。

それが24時間。


僕は1日をとても短かく感じる。


何か熱心になるための、些細な原因を持っている。いや、掴んだ。


3月13日

あの日から僕は、強い心を持つことを決めた。

そして、今日は4月6日。

いつものようにベッドの上で目を覚ます僕だが、天井の様子が屋敷とは違う。


シンリィ=アズバルトさんの家に引っ越してから早1週間。

やはり住めば都。1週間でこれを言うのは普通はおかしいが、あの屋敷での窮屈さと比べたらまさに天と地との差がある。

悪ノリしていい加えるなら、頂点のシンリィ家と、どん底のリチャット家。

両親と弟たちには申し訳ないが今の暮らしの方が充実している。

今頃どうしているだろう?

弟がいつものように母親に起こされているに違いない。


さて、そんなことにいつまでも思考を巡らせているわけにはいかない。

入学式は、午前8時ジャストから開始されるのだ。

今はいつも通りの起床時間6時30分。

いくらアカデミーがすぐ近くだからといって余裕をかましていてはいけない。


ベッドから下りて、新しい制服へと着替える。

新しい、という響きだけで僕の心を高揚させた。

新しいのは、身の回りだけじゃない。

僕の心も新しくなった、生まれ変わった、そう自負している。

ふと、右手につけた腕輪に目をやる。

祖父の遺産である金の腕輪だ。リトルスクール卒業の祝い品でもある。あの日から肌身離さず身につけている。

城のランニングコースも徐々に走れるようになったきた。


そんな僕は、アンクさんに昨日スタミナの及第点をなんとかもらえた。

はじめての達成感を感じ、アンクさんから褒められたことが嬉しかった。

今日から体の鍛錬に打ち込むことになっている。とりあえず、ということでアンクさんに渡られたウェイトレッグ1kgを両足首に巻く。

しばらくは、これを着けて生活しろとのことだ。

アカデミーが始まるため、講義中に筋トレをするわけにもいかないからだ。


「ラウルくーん。起きてるのー?」

一階からシンリィさんの声が聞こえ、返答する。

つい時間を忘れていた。

準備を済ませ、顔を洗い食卓へと足を運ぶ。


そこには、朝ごはんを作り終えたシンリィさんがいた。

「シンリィさん、おはようございます。」


「おはよう、ラウルくん。よく眠れた?」


「はい。おかげさまで。」


テーブルには、朝に食べるには豪華すぎるものばかり並んでいた。

僕はいただきますと言って、手を合わせてから食べ始める。


すると、シンリィさんがにこにこした顔で聞いてくる。


「ラウルくん、やっぱりアカデミーの入学式には私を行っていいかしら?」


「だ、だめですよ。昨日来ないってことで決まったじゃないですか。それに、普通アカデミーの入学式に保護者は来ませんよ…。」


「大丈夫よ、私はラウルくんのお姉さんってことになってるから。」


もっと大丈夫じゃないだろう。

こんなに歳の離れた姉弟があってたまるか。

「でも、それって入学手続きのためだけに姉の存在を偽装しただけですよね。

それにお姉さんっていうには歳が離れすぎてるじゃありませんか。」


確かシンリィさんは、祖父と同い年だったはず。

80歳を超えているはずなのに、30歳前半に見えるのは何故なのかは未だ謎である。

シンリィさんは面白可笑しく笑うと突然豹変し

「ラウルくん、私今29歳よ。」

と怖い顔で言われた。

背後に般若が見えたのでこれ以上は追求しないようにしよう。


「とにかく、シンリィさんは入学式には来ないでくださいよ。

恥ずかしいんですから。

それに行きも帰りも徒歩で行くつもりなので大丈夫です!」


「あら、それは残念だわ。

ラウルくんの晴れ姿を写真に収めてアルバムでも作ろうかと…。ゴホン。

わかったわ。

でも、今日くらい行きは送らせてちょうだい。」


「一瞬、気になる言葉が出ましたけど…。わかりました、行きだけはお願いします。」


シンリィさんは嬉しそうな顔をすると、僕も同様に食事を再開した。


食事を終え、他の身支度を整える。すると、外から車のクラクションが鳴くのが聞こえた。

シンリィさんの車のクラクションの音だ。

どうやら、もういつでも出発できる合図のようだ。


急いで玄関で靴を履き、外へ出る。


車に乗り込むと、すぐ走り出した。

しばらく車内には沈黙が流れるが、シンリィさんが先に口を開く。


「帰りは何時だったかしら?昨日確認したのに、お酒飲んだら忘れちゃったのよね。」

とペロッと舌をだす。


「全く昨日もあんなに飲んで。

飲みすぎに本当に注意してくださいよ。

アンクさんみたいに動けなくなられては困りますからね。


今日からもう講義が始まりますが、おそらく簡単なレクリエーションだと思うので意外と早く終わると思いますが、大体午後の3時ごろだと。

それより遅くなりそうだったら腕輪で連絡しますね。」


祖父のからもらった白い紙箱の中には一応腕輪の説明書が入っており、電話、メール機能まで搭載されていた。

本当に優れものである。


「わかったわ。

私は今日は非番だから、家にいるわ。

気をつけて帰ってくるのよ。」


「分かってますよ。」


家からアカデミーまでは本当に近くて、そんな会話をしているうちについてしまった。


「じゃあ、シンリィさん行ってきます。」


「いってらっしゃい。

新しいラウル=リチャットをどんと見せつけてきなさ

い。」

シンリィさんは笑顔でそう僕に言うと、手を振りながら車は走り去っていった。


僕は車が見えなくなるのを確認してから、アカデミーへと真正面から向き合う。


王立セントバルムアカデミー。

その敷地はとても広く、リチャット家の敷地の3倍近く広い。


中央にある、円柱のような建物は講堂と呼ばれ、主に講義を行う場所である。

そして、講堂を囲むように、アリーナ、室内プール、道場、食堂、学寮が建てられていて残りの敷地が庭となっている。

どの建物も大きく、流石王国一のアカデミーだと感心する僕だった。


ゲートをくぐり、アリーナへと向かう。

途中色んな生徒を見かける。

本当に知力が高いのか疑うほど不良に見える男子だったり、対してどこかの貴族だと思わせるほど眩しくて直視できないお姫様みたいな女の子だったり、ましてや砂煙を上げ全力疾走でアリーナへと向かう筋肉質の男子など様々だ。


僕はこの先、今のような人たちと一緒に学ぶのだと思うと、正直不安しか感じないのは気のせいだろうか。


アリーナに着き、事前に渡されていた学生証を受け付けに提示し名前を言う。


名前を確認してもらい座る席を教えてもらうとアリーナの中へと入る。

リトルスクールのように一度集まってから音楽とともに入場、などということはしないらしい。

違和感はあるが、その適当さ、よくいえば自由なところがこのアカデミー最大の特徴と言える。

指定された席に座る。

流石に新入生100人は少ないのではないかと思ったが、強引に入学手続きを取った自分が異例の101人目であることを思うと申し訳ない気しかなかった。


僕の席は2番の番号シールが貼られた席に座ったわけだが、どういうことだろうと思っていると…。


「ちょっと、そこのあんた。なんであんたがそこの席なのよ?」


唐突に声をかけられた。

座りながら振り向くと、そこには仁王立ちをした女の子?がいた。


口が悪すぎるが金髪の髪が結われたポニーテールに体の凹凸具合、それに指定よりも短いがスカートを履いていることよりやっぱり女の子で間違いないだろう。


今までまともに友達のいなかった僕。

いくらシンリィさんという女性と今や気兼ねなく話せるからといって同年代に近い人と話すにはまだ抵抗があった。

だが、この金髪少女に関しては不思議と女性と対面しているという感覚にはならなかった。

言ったら殺されそうだが…。


「あ、あの、そんなこと言われても受け付けで言われた番号なんですけど…。」


「言い訳するんじゃないわよ。」


「ひぃ。」

どうしよう、言い訳じゃないのに。

それに、怖すぎるぞ、あの目つき。

心臓抉り取られそうだ。


祖父は今頃

「ラウルよ、お前はおなごともろくに話せんのか!」

なんて天国で思っていることだろうな。ヴェラ爺助けて。


「もしかして、この番号って何か意味あったりします?」


「当たり前よ。そんなことも知らないで、ここ受かったの?」


はい、そうでふ。

なんて、ふざけて答えたら殴られそうだ。

強引入学なんて口が裂けても言えない…。

彼女は返答を待ち焦がれているのか、足をドンドンと床を蹴っている。

慌てて、

「はい、知りません。

教えてもらえると嬉しいんですが。

とりあえず座ったらどうですか?」


彼女は腰を仰け反らせて、

「嘘っ。

本当に知らない人がいるなんてっ。

わかったわ。

私がムカつくけど教えてあげるわ。

その番号は知力テストの順位よ。」

と言いながら1つ後ろの席に座る。


「知力テスト?」


「あんたまさか知力テスト受けてないなんて言うんじゃないでしょうね?

裏口入学なの?」

さらに目つきが鋭くなる。


知力テスト…、あぁ、初めてアカデミーに来た時に受けたテスト。


あれのことか。

でも、そこまで難しくなかったような…。

ってことは僕は101人中2位ってことか。

これは素直に喜んでいいのか?


「う、受けました。それであなたは何番だったんですか?」


「わっ、私?わ、私は2位だったのよ。だから、あんたをそこの席に座らせるわけにはいかないわ。」


苦手だ、勢いで押してくるタイプだ。

彼女は続ける。


「合格した後の結果報告書にも2位って書いてあったのよ。

あんた何位ってきたのよ?」


「ち、ちなみに結果報告書が届いたのはいつ頃ですか?」


「ん?なんでそんなこと聞くのか知らないけど確か3月のうーん。あっ、そうだ。13日よ。」


その日って祖父の命日で、僕の精神的に死んでた日じゃないか。


僕がアカデミーに試験を受けにきたのは、その4日後の17日だから…。


つまり、僕は、当初2位だった彼女の得点よりも高い点数を取ってしまったということか…。

どうしよう、本当のことを言おうか。

でも、嘘をついてバレたらこの金髪少女に何されるかわかったもんじゃないし…。


いや、祖父は、嘘をつく僕は見たくないはず。

正直に話そう。


でも、待てよ。


話そうとしたが、何かに気づき頭を回転させるラウル。


僕が2位になったってことは、他の人の順位も、下がってるってことか。

やばい、やばい、やばい。

もしそうだとしたら、いじめどころ話じゃない。

集団ミンチとかにあうかも。

余計に話さないじゃないか。



…。?

彼女と同率2位なら他の人の順位を変わらないはず。

確か僕の点数は499点/500点。

周りを見渡すと、他の生徒は不思議そうな顔をしていない。

賭けてみる価値はあるか。


「すみません、もしかしたら僕達同じ点数かもしれません。」


「私と同じ点数…。確かにそれならあり得るけど、あんた名前なんて言うのよ?」


おそらく、席順のことを言っているのだろう。

同率順位の場合席順は五十音順のはず。

もう後戻りはできない。

「ラウル、ラウル=リチャットです。点数は499点でした。」

と、名前も点数も周りに聞かれたくないので小声で耳打ちする。

固唾を飲んで彼女の返答を待つ。


「ラウル=リチャット…ね。えっ、リチャット家?あの剛の剣術で有名な?」

「はい、そうです。」

そんなことよりも、早く答えてくれ。


「なら、私があんたの後ろの席なのも納得がいったわ。

私も点数も同じ499点。

そして、五十音順もあんたの後ろ。

名前はリエラ=ドレッドよ。

同じ点数なんてこれも何かの縁ね。

よろしく頼むわ。」

と、手を差し出される。

当然女子と握手なんてしたことがない。


「握手よ、握手。

私と同じ点数なのに、握手も知らないバカなの?」

と、フンッといった素振りをする。


「知ってますよ、リエラさんこれからよろしくお願いします。」

と握手をする。


「リエラでいいわよ。」

と彼女が返答した。

少し彼女の笑顔が見えたような気がいたが、気のせいかもしれない。

その後結構話し込んだ。

なんと知力テストで不正解だった問題まで一緒だった。

最後の問題。

確か、

「この世界を作り出したのは、なんと言う名前の神と言われているでしょう。」と言う内容。

この世界を神が作ったなんて話も聞いたことなかったし、神という存在は宗教とかの崇拝する存在だと思っていたのだ。

2人でそれらを口にしながら話していると…、



「その答えは、下位神ラグタナだな。」


そう答えながら、僕達の前に現れたのは1人の青年だった。

おそらく同い年だろう。

リエラはどうやら彼を知っているようで、

「やあ、リエラ。君は2位だって聞いてたけど?」


「別に3位じゃないわよ。こいつと点数が一緒だったから、五十音順で後ろに座ってるだけ。アルこそ、満点だからって調子乗るんじゃないわよ!」


満点がすごいな、でも問題の答えはどこで知ったんだろう。あとで聞いてみるか。

アルと呼ばれた青年が僕を向く。


背は同じくらいだから、おそらく同い年だろう。翡翠色の綺麗な目に、栗色の短い髪の毛。見た目はイケメンの中のイケメンといえるほど、顔立ちが良すぎるのは確かだ。


「へぇー、リエラと同じ点数なんて、やるじゃないか。

俺は、




アルベルク=エリオット。


君は? 」


そう、彼こそが会談事件で監禁されていた男イルーク=エリオットの息子である。



<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<


ふむ、ふむふむ、ふむふむふむ。

あっ、すみません。まだ今回の話を読み終わっていないもので…。

しばし、お待ちを。


………。 …。むっ?

ふむふむ。

ほほう。


むむっ?


なんとっ!

……。

えー、コホン。

お待たせ致しました。今後どうなるかは知っているのですが、それを再確認して楽しむ先導者ことミルフェであります。

アルベルクくん、出て来ましたねぇ、やっと。作者さん展開遅すぎるんですなー。全く。それにしても、彼の口からラグタくんの名前が出るとは驚きですな。

どういうことなんでしょう。それは次回で明らかになったり、ならなかったり。

どうぞ、次回をお待ちをくださいませ。

では、失敬。


次回は3日後に投稿します!

今後書き方がコロコロと変わることがありますが、気にせず読んでいただけたら幸いです!

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