友だちラノベ化計画執行中(; ゜д゜)!?
友達と 新たに創る LightNovel
西暦10XX年 世界は邪悪なる魔物の攻撃を受け、地球の半分を支配されてしまう。それだけに留まることなく奴等は世界を征服しようと、残されたもう半分の内3/1も奴らの手に渡ってしまう。
人類は奴等の進行をただ見ているだけなのか?
そんな人類に奇跡の力を持った戦士が現れた。その者達は多勢に無勢ながらもことごとく奴等の進行を止めて見せた。
その戦士たちを人々は感謝心と信仰心を持ってこう呼んだ。
――――――選ばれし者【ザ・セイヴァー】と。
これは、世界を取り戻すため魔物と戦った一人の【セイヴァー 】リクの冒険の日々を語った物語である。
英雄リク伝
―――BEGINNING STORY 選ばれし者―――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「―――と、言うコンセプトで行こうと思う」
「「おぉ~・・・・・・」」
「じゃねぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
「おいおい陸よ。一体どこが不満なんだ」
「どこがって?全部だよ!アレもコレもソレも不満しかないわっ!てか、何で俺の名前を使ってんだ!」
「当たり前だろこの作品は陸をモチーフにしてんだから」
「何してんだぁ!」
教室棟402教室、川崎 陸の声が響く。
□
川崎陸、16(今歳17)。特徴は天パ・低身長・中二病の三重苦。
「これでよし!」
「なわけあるかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
再び陸の声が響く。
「何だコレ!俺の特徴?事実だから天パとチビは認めるよ、しかたないけど、すっごい侵害だけど。中二病?ざけんじゃねぇよ!」
「いやぁ、陸をモチーフにしてんだから、陸の特徴をそのまま繁栄させようと思ってな」
「何してんだ!って、中二病が俺の特徴ってどういう了見だ!」
「いや、だってツッコミ」
「ツッコミ=厨二なの!おかしいだろ!」
「ところで何でこんな事になったんだ?」
「今それ関係なくない?」
この質問を提示したのは松村佑樹(ゲーマー)。通称 マツ。
「よくぞ聞いた。アレは・・・・・・そう、一週間ほど前のことだ」
―――
あれ?回想に入るの?
――――――
無駄じゃない?いらなくない?
―――――――――
あの時、俺(永野隆哉)はとある作品を完結させ、新たな作品を書くため日々ネタ集めに没頭していた。
しかし、いいネタが思い浮かばず、ただただ時間が過ぎるだけだった。そう俺はスランプに陥っていたのだ。←隆哉
その説明いる?←陸
黙って聞こう。←マツ
そんなある日(昨日)。←隆哉
昨日っ!?←陸
「あぁ、何も浮かばない・・・・・・」
そろそろ何か書かないとなぁ。 鉄は熱い内に叩けと言うし、人気のある内に新しい作品を・・・・・・。
「いやぁ、陸さんは面白いわ。なぁ、言ってみてよ。『エターナル・ブラスト』ッ!!って」
「誰が言うか!」
「でも、パイセンは中二だから難なく言えるっすよね?」
「言えるかぁ!」
「いやぁ、陸さんは面白いわ」
「さっきも同じこと言ったよな」
平和な奴らだ。俺の苦労も知らずに・・・・・・。
「よし、パイセンの自叙伝を書こうっす!」
「陸さんがラノベやマンガに出るなら面白いよな。自叙伝のタイトルは【英雄陸伝】だな」
―――ピシャァァァァァァァッッッッッッ!!!!!!
その時、身体中に電撃が迸った。 そう!
「これだァァァ!」
「ざけんなァァァ!」
陸の怒号と共に隆哉の頭上に鈍痛が伝わる。
「何が『これだ』だ!俺に対する弄りが高度になってるよ!」
「ところで『とある作品』ってなんすか?」
「話の腰折るな!」
瀬尾拓斗はアニオタである。ちなみに陸の自叙伝を書こうと言ったのは彼である。
「よくぞ聞いた!」
「回想に入る気か?」
「大丈夫だ。こんな事もあろうかと、しっかり実物を持ってきたんだ」
そう言うと、隆哉はカバンを探りだした。
「そうだ、お前ら。『ナガミヤ タカヤ』って言うラノベ作家を知ってるか?」
「あぁ、知ってるけど」
「陸さんの愛読本だもんな」
「確か、『俺と悪魔の魔導戦線』がアニメ化するって話っすね」
「そうそう。それ、俺」
「「「・・・・・・」」」
静寂・・・・・・。そして、三人揃って言い放った。
「「「ウッソだぁ!」」」
「いや、嘘じゃないし!ほら、準備できた。見てみろ」
なんで学校にノートパソコンを持ってきてるんだ?と、言うツッコミは今はいらないだろう。
陸たちは画面に写ってある文字を見た。
「確かに、コレは『俺と悪魔の魔導戦争』だな。でも、こんな描写あったっけ?」
「最終巻だ」
「ふぅ〜ん・・・・・・ハァッ!?」
おい、なんてもん見せんだ。ネタバレなんて具の骨頂だろ!
「ふん、まだ信用出来ないな」
「そうだな、SSの可能性だってあるっす」
「これでも信用しないか。分かった、じゃあ奥の手だ!」
そう叫ぶと、隆哉は携帯をポケットから取り出し、どこかへ電話をかけた。
「あっ、会津さん。いいのが思い浮かんだんで、書き直させてくだい。・・・・・・いや無理です。三分以内に来てください。場所は402教室だから。よろしくお願いしますね」
話が終わると直ぐに電話を切った。
ややあって。
「ちょっとナガミヤくん、無茶苦茶じゃないか・・・・・・」
「よく来た」
「何で上から目線なの?」
「紹介する。この人は会津さん。したの名前は知らない」
「「「「オイッ!!」」」」
永野はとても適当な人間なのだろう。だから、こんな奴が小説家なわけ・・・・・・
「ちなみに俺の担当編集者」
「どうも、いつもナガミヤくんがお世話になってます」
「「「えぇぇぇぇぇ!!!!!!」」」
「ハッハッハ!どうだ、これで信用したか」
「ぐるだ!」
「にわかに信用し難い」
「まだ信用しないか・・・なら奥の手だ!」
何個、奥の手あるんだよ。
「会津、名刺を出せ!」
「何で命令してるの!?」
「いいから、あの分からず屋共に見せてやれ!」
「まったく・・・・・・」
ため息を吐いて、会津は名刺を彼ら三人に一枚ずつ渡した。
【株式会社○○書店 □□文庫編集部 会津紘人】
「本物みたいだな」
「世の中は狭いなぁ」
「・・・・・・ふっ、騙されないっすよ」
肯定していた陸・マツとは逆に否定してきた拓斗。
「なんだとッ!」
「これ以上ない立派な証拠じゃないか?」
「パイセンは分かってないっす。本当のラノベ編集者は、美女と相場が決まってるんっすよ!!」
(((無茶苦茶な偏見だぁ)))
陸、マツ、会津の三人は揃って同じことを思った。対して、隆哉は―――
「ハッ!確かに考えればそうだ。会津さん!アンタは俺を騙してたんだな!」
「理不尽な言いがかりを付けないでくれるかな!」
□
「で、修正の方は?」
「ウソ」
「・・・・・・で、」
「何度聞いても同じだぞ」
「お前、オトナ舐めてるだろ!」
「編集者は作家に振り回されるのも仕事のうちだと思うんだ」
「殴りますよ!」
会津は隆哉を怒鳴る。けど、隆哉はそれを右から左。まったくのノーダメージだ。
会津の体力だけが減る。ぐったりとしている。
「じゃあ、俺、帰るから」
「おう!」
仁王立ちの隆哉。苛立ちの募る会津。三人は、『この人達相性悪すぎ』『会津さん・・・・・・不憫だ』『帰りたい』と心のなかで呟いた。
「また呼ぶかも!」
「もう、誰が関わるかッ!?」
そう言い残して、会津さんは帰って行った。
「ふっ、あの人も素直じゃないなぁ」
「「「・・・・・・」」」
「あぁ言っておいて、俺からの連絡には無視しないからなぁ。まったく、ツンデレさんだなぁ、会津さんは」
(((不憫だ・・・・・・)))
「んじゃ、信用してもらったという訳で、さっそく初めてみよう!」
「「おぉ!」」
「本当にやんのか・・・・・・」
ガラガラ・・・・・・。
「あれ?会津さん、忘れもんですか?」
「いや、忘れ物とかじゃなくてね。このホワイトボードに書いてあるのって、次回作のコンセプトかい?」
「その通りだ」
「勝手に決めんな!」
「ふぅん・・・・・・設定は悪くないかな。タイトルをもう少し捻ってみたらどうかな?あっ、もう時間」
腕時計で時間を確認して、もう一度戸に手をかけた。
「それじゃ、俺は戻るから。完成したら、一度見せてね」
そう言うと、会津さんは402教室から立ち去った。
「「「「・・・・・・・・・」」」」
会津さんが仕事らしい仕事をした瞬間だった。
□
「という訳で、会津さんからアドバイスをもらったので、さっそく、やってみようか」
「「オォォォ!!」」
「やるのかぁ・・・・・・」
「さっきのアドバイスで会津さんが意外に使える人だということ分かった」
意外って・・・・・・。
「だからこの際、もっと意見出してもらおうとメールを送った。そして、さっき返って来た」
これがそうだ、と携帯をかざしす隆哉。マツと拓斗が感嘆の嗚呼を流す。俺は落胆の嗚呼を吐いた。
「んじゃ、内容を読むぞ」
隆哉はメールの内容をまったくそのまま読み上げた。
『ホワイトボードを見たかぎり 問題は特になかったと思う。強いていうなら タイトルに花がないかな。タイトルは一番最初に見る文字だからね 花があった方がいいと思うよ。あと、それってライトノベルだよね?だったらヒロインが欲しいね。登場人物の設定内に女の子がいなかったから。そのぐらいかな。じゃあ ナガミヤタカヤの新作 期待してます。がんばってください/(*^0^)♪』
「「「・・・・・・ 」」」
隆哉とケータイを除き込んでいたマツ、拓斗は騒ぐでもなく、笑うでもなく、ただただ無表情でだまっていた。
「どうした?」
陸がいぶかしげに聞くと
「削除♪」
「なぜぇ!?」
「キモいんだよ!何で途中まで真面目で通して、最後に顔文字使ってんだよ!何、若者顔してんだよ!もう直ぐ三十路だろうが!」
「何キレてんだよ!」
「いや、もう少し自分のキャラを見直すべきだろ」
「マジないっすわ~・・・・・・」
「お前ら黙れェェェェェェ!!!!!!」
会津さん、頑張ってください。
□
「題名ねぇ・・・」
陸が止めたお陰で削除されずに済んだメールを読み返す。
『タイトルに花がない』
そう書かれてあった。
隆哉曰く、『花がない』=『ヒネリがない』だそうです。
「タイトル・・・どういじるんすか、永野パイセン」
「そうだなぁ。俺、このタイトルがいいし。正直、変えるのイヤだけどなぁ」
「『勇者リク伝』。こう口に出すと語呂が悪いな」
「もう諦めようよ」
「そういう訳にはいかん!」
断言された。
「ライトノベルってもっと長いタイトルが多いじゃん。これもそうしたらどうっすか?」
「いや、コレはもっとシリアスナな感じにしたいんだ」
「英語にするとか」
「いや、本のタイトルに英語は滅多に使わない。それをカタカナに直すことが多い。が、それもなんか違うんだよな」
三人が頭を並べて悩んでいる。やらなきゃいいだろ。
「もっと世界観にあったタイトルがいいんだ」
作品を作ってもいないのに世界観って。そもそもタイトルから入るのが間違いじゃないか?
「連想ゲームをすればいいんじゃないか?」
「「「連想ゲーム?」」」
提案したのはマツ、異口同音で一斉に疑問符が浮かぶ。
「登場キャラの設定や特徴で連想していき、題名してパッときたやつをタイトルに加える、ってのはどう?」
「面白そうだな。じゃあ、連想するならこの話の主人公『リク』でいこう!」
「「おう!」」
「じゃ、せーの、マジ―――」
「待て待て!?」
「どうした?」
「なんか違うゲームになってるぞ!」
「似てるからいいんだ!」
いいのか。
「マジカルバナナ〜♪バナナと言ったら♪」
「「黄色♪」」
「黄色と言ったら♪」
「「陸♪」」
「チェストォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!」
バシッバシッバシッ!!!!!!
陸ポテンシャル。剣道四段。
「どこが黄色だ!!テメェらしばき倒すぞ、コラっ!!」
「いや・・・人間にも・・・黄色人種がいる・・・から」
「ピンポイントだな、オイッ!!」
「よし!気を取り直して、いってみようか!」
「「お〜!」」
三人とも立ち上がり、性懲りもなくまたはじめた。
「マジカルバナナ♪バナナと―――♪」
「そこからっ!!!!!!」
「いや、だってそうゆうのルールだし」
「ルールとか関係ないだろ!目的忘れてるぞ!タイトルさっさと決めろよ!」
隆哉は豆鉄砲を食らった顔になる。コイツ完全に趣旨を忘れてたぞ!
「ゴホン。では改めて。マジカルバナナ♪陸と言ったら♪」
「天パ♪天パと言ったら♪」
「陸♪陸と言ったら♪」
「チビ♪チビと言ったら♪」
「陸♪陸と言ったら♪」
「「中二病っ!!♪」」
「張り倒すぞ!テメェらっっっ!!!!!!」
と言い切る前に手を出し、三人を竹刀で張り飛ばしていた。
「ボケはここまで!」
「当たり前だッ!」
「真剣に真面目に行くぞ!では、マジカルバナナ♪陸と言ったら♪」
「土♪土と言ったら♪」
「地面♪地面と言ったら♪」
「大地♪大地と言ったら♪」
「地球♪地球と言ったら♪」
「青い♪青いと言ったら♪」
「海♪海と言ったら♪」
「プランクトン♪プランクトンと言ったら♪」
「陸♪」
「死にさらせ、クズ野郎ォォォォォォ!!!!!!」
バシコンッ!
「お前ら、途中まで真面目にやっておいて。真面目にしよう?ボケはここまで?ボケてんじゃねぇか!」
隆哉の頭に竹刀で殴ったあと『たん瘤』が痛々しく出っていた。はっきり言って『自業自得』だ。ザマァ見やがれ、バ〜カ!ペッ!
「いろいろ連想できたな。どうするんだ、隆哉?」
「フン、実はもうこれだというタイトルが決まったんだ!」
「「オォォ・・・・・・!」」
(もう期待しない。いや、端から期待してないんだけどな!)
しばしの沈黙。そして―――
「プランクトン勇者リク」
竹刀が弧を描きながら風切る。
「冗談!冗談だから!竹刀をしまって!」
白刃取り。間一髪、直撃を避ける。
「オッホン!」
わざとらしい咳払いなんていらないんだよ。
「では、発表しよう。俺が考えたタイトルは・・・・・・」
隆哉はホワイトボードに何かを書く。おそらくタイトルだろうが。
「名付けて【ブレイブ・バイアグラフィ-勇者リクの大地-】に決定だァァァ!!」
隆哉は拳を突き上げ、大いに喜びを表した。マツと拓斗もそれ続いた。
ホワイトボードにも同じタイトルが書かれてある。そして、この疑問にぶち当たる。
(連想ゲームの結果・・・どこに出てるんだろう?)
□
「注意書きはどうするんだ?」
「抜かりはない!」
隆哉は仁王立ちで、鼻をフフンッ!と鳴らした。こうして見ると、ムカつく構図だなぁ。
「実はもうここにもう持ってきている。刷ってきたのだ」
「フゥ〜ン。どれどれ・・・・・・」
俺はそのコピー用紙をのぞき込んだ。
注:当作品は『ファンタジーラブコメ』です(>◁<)\
が、何分ラブ要素が皆無なため、ファンタジーとコメ要素が高めです。
ご了承のほどをm( __ __ )m
なお、当作品はフィクションです。
登場人物やその他もろもろの設定は
リアルとは特定の部分を除いて空想です(^ω^)
「その特定の部分を言ってみろや、コラァァァァァァ!」
陸はコピー用紙を破り、隆哉へと怒りの形相を向けた。
「天パ、チビ、中二と言う設定」
「ド突かれテェのか、オマエッ!」
「いや、事実だし」
「たとえ事実でも、空想として流せよ!!」
俺としては屈辱でしかないが、隆哉が言ったことは真実だ。いや、中二だけは違うから、全力で否定するから。
「じゃあ、多数決します。これで良い人、手を上げて!」
すっ。(マツ)スッ!(拓斗)・・・。(陸)
「ちなみに俺は賛成で。はい、けって―――」
「認めるかァァァ!!」
□
「タイトルは決まった」
決まってしまったか・・・・・・。
「長かったな」
お前らがふざけてたからだろ・・・・・・!
「次は、ヒロインっすね」
三人が揃って俺を見る。
「「「はぁ・・・・・・」」」
「おい、何だ。その溜息は・・・・・・!」
「いや・・・・・・なぁー」
「「ねぇー」」
「だから、何だよ?」
三人は意図せず声を揃えて答えた。
「天パで」「チビで」「中二で」
「「「彼女なんて居るわけないよなぁ」」」
「ぶっ飛ばすぞっ!彼女くらい居るわっ!!」
「「「ふっ・・・・・・」」」
鼻で笑われた。
「信じてねぇだろ!」
「わかってるって。彼女がいるんだろ、二次元に」
「三次元だ!!分かった、今ここに呼んでやるから待ってろ!」
陸はケータイを取り出し、電話をかけた。
「彼女がいるのは本当みたいっすね。どんな彼女ですかね」
「それはお前、身の丈にあった彼女に決まってるだろ」
「「身の丈・・・・・・」」
三人揃って陸の身の丈にあった彼女を想像する。そして、一斉に吹き出した。
「アハハハ!有り得るわ、これ!マジで!」
「アハハハハハハ!!ヒィー、腹、腹痛い!」
「ククク・・・!確かに身の丈!型にはまってるっす!」
三人とも床に付してヒーヒーと笑いを堪えようとしている。
注:なお、この作品では隆哉・マツ・拓斗の想像に追いつけないため、人物像の描写を遠慮させて頂きます。
少しして陸が電話を終える。
「もう少ししたらコッチに来る・・・・・・って、何ニヤケてんだよ」
「「「べ、別に・・・・・・」」」
笑いを堪えようとして三人とも体を振るわしていた。
「お前らバカにしてんだろ!」
と、そこへ―――
コンコン
『陸~。来たよ~』
柔らかな声が戸の向こうから聞こえてきた。
「どうやら来たみたいだな。マツ!拓斗!どんなヤツが来ても絶対に取り乱さないよう気をつけるぞ!」
「「おうっ!」」
三人は拳を握り胸に置く。
「さぁ、来いッ!」
「何がだよ。入っていいぞ」
『あっ。分かった。失礼します」
入って来たのは男だらけの空間を一瞬で浄化してしまうほどの超絶美少女だった。
「チェストッ!」
「へブッ・・・・・・!」
胸に置いていた拳で陸の顔面を殴る隆哉。
「何なんだよ!」
「冗談じゃないから・・・・・・マジで殺すからっ!!」
「落ち着け、隆哉。友達の可能性だってある」
「ウッセー!こちとらコミュ障ボッチなんだよ!美人の彼女持ちリア充は惨たらしく死にさらせや、ボケー!」
「ホントに落ち着くっすよ。ここは冷静になって対処するっす」
隆哉は気持ちを落ち着かせる。深呼吸、そして美少女に向けていくつか質問する。
「名前は?」
「月平 志緒里です」
「単刀直入に、陸の何ですか?」
「彼女です♪」
「殺れッ!」
「「ラジャッ!」」
「って、おい、やめッ!?」
その言葉で陸に一斉に飛びかかるマツと拓斗。
そのまま陸はボコボコに嬲られた。
陸の断末魔が教室内にひっそりと響いた。
□
改めて。
「陸の彼女の月平 志緒里です。どうぞ、宜しくお願いします」
「あぁ、よろしく。そして、陸」
「何だ?」
「死ネ」
「何でだよッ!?」
隆哉と陸の先からのコミュニケーションは二言目に『陸、死ネ』、三言目に『Die to RIKU』、四言目飛ばして、五言目に『陸、SI・NE!』と、ある一方方向へバリエーションのとんだモノになっていた。
「よく来てくれた。『陸、死ネ』。『Die to RIKU』。歓迎するよ。『陸、SI・NE!』」
「しばくぞ!」
「ダメですよ!」
そこへ志緒里が介入してきた。いいぞやってしまえ!
「殺しちゃったら、陸を弄れないじゃないですか!」
「「「あ、確かに」」」
「表に出てくれない?ちょっと話をしようか?」
唯一の味方が敵の一味に加わってしまった。
□
「何で陸なんかと付き合ってるんすか?」
「『なんか』とはなんだ!」
拓斗が天文学的レベルの高い質問を繰り出した。だが、ナイスだ。コレはいいネタになるかもしれない。
「何で、って言われても・・・・・・ただ単に陸はどストライクだっただけですよ」
志緒里は頬を赤らめ両手で顔を隠した。
「どストライク?デッドボールの間違いじゃないか?」
「ただ単にボールじゃないか?」
「いや、暴投ッスね。大暴投ッスよ」
「好き放題言ってんじゃねぞ!」
竹刀、竹刀・・・・・・竹刀は?
「フッフッフ、残念だったな。竹刀は我が手の中だ!」
クソッ、いつの間に・・・・・・ん?
「あっ、こんな手頃な所に・・・鉄パイプが」
「何でそんなもんがあるんだ!!!?」
「(殺)!!!!」
「やりかねないよ!?」
陸は思いっ切り振りかぶる。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
隆哉の断末魔が響き渡った。
□
「ねぇねぇ、月平ちゃんは結局何を基準に彼氏決めてんすか?」
またもや、拓斗が鋭い質問を繰り出す。ナイスだ。グッジョブ!
「基準ですか?私の男の人を選ぶときの基準はズバリ『残念ポイント』です」
「「「「残念ポイント??」」」」
「はい。人の残念な部分を点数化したものが『残念ポイント』なのです」
「「「「へぇ」」」」
「そしてその得点が高かった人と付き合うんです」
「「「「へぇ・・・・・・って、えっ!?」」」」
逆じゃね?!
「まさに陸は私のベスト彼氏なのです」
「遠回しに陸=残念になってる!?」
「確かに陸は残念だけど」
「的を射るッス」
「まとめてぶっ飛ばすぞ!!」
モノは試しに。
「ちなみに俺はどんぐらいなんだ?その『残念ポイント』」
「そうですね。永野くんは、確かテストでは毎回10位以内にいるからマイナスです」
「10ッ!?隆哉パイセン天才じゃないっすか!?」
「ポテンシャルだな。でもなぜマイナス?」
「残念ポイントですから。次にスポーツも万能です、マイナス。外見も良いです、マイナス。内面は・・・・・・残念ポイント+5です。陸以上の残念ポイントです」
「内面、残念すぎだな」
「理由を!その最悪の点数の訳を教えて下さい!!」
「極度の中二病だからです。陸以上に」
「「確かに・・・・・」」
「さりげなく俺も中二病認定されてる!?」
「お前たち分かってないッ!!」
隆哉は大声をあげ主張する。
「小説家、あるいはラノベ作家は中二病じゃなきゃ出来ないだろうが!」
沈黙が訪れる。
この時陸は、「よく俺をバカに出来たな」と殺意めいたものを心に抱いた。
だがその他は、
「「なるほど~!」」
「ワケあり、カッコイイです。マイナス」
納得した。
「イエッス!!」
隆哉はガッツポーズを決め込んだ。
なぜマイナスと言われて喜べるのだろうか。
「俺は気付いてしまった。志緒里の言う『マイナス』は逆に言えば褒め言葉なのだと」
確かに。そして、逆に言えば志緒里のお眼鏡にかかったら、貶されているということになる。
「続いてはマツさんです」
「俺か」
続いて、志緒里に指名されたマツは緊迫感を感じることなく、ただ平然とした感じで聞いた。
「頭脳明晰 学年5位 スポーツ万能 モテ容姿 成績優秀。これだけ聞いたら完璧リヤ充です。マイナス」
「俺よりすごい!」
「まぁ、俺は努力してるからな」
「「・・・・・・」」
なんだろう、この劣等感。あぁ、向こう側が眩しい。
「ですが!」
「「「「?」」」」
志緒里の目が色めき出した。この目は・・・・・・プラス要因を語る目だ。
「学校でも常に携帯ゲーム機を肌身はなさずもち、白昼堂々とギャルゲをする痛々しさ」
「そういえば、いつ見てもP○P持ち歩いてるっすね」
「肌身はなさず、はさすがに言い過ぎだ。そういつもいつも持ち歩いてるわけではないからな」
じゃあ、今ポケットからチラッと見えてるそれはなんなのですか?
「それから、毎年コミケに顔を出すその姿、私、感銘を受けています」
何で!?普通そんなところに感銘なんて受けないから。
「プラス10ptです!」
不名誉すぎるだろ!
「大体コミケなんて行くことあるのか?」
「陸さん、今のセリフは全オタクたちを敵に回す事になるぞ」
「コワイっすよ〜、オタクたちの怒りは。ブログが炎上したり、twitterが炎上したり、facebookが炎上したり・・・・・・」
「炎上しかないのか」
「特に顔が割れたらアウトっす。暗殺されるっすよ」
何軽いタッチで不吉なこと言ってんの、コイツ!?
「じゃあさ、みんなに聞くけど、コミケ行ってない人って今ここに居る?」
・・・・・・・・・・・・。
「全員行ってんじゃん!」
「おい、パイセ〜ン」
「一回だけ、一回だけ言ったことがあるだけなんだ」
「永野パイセンは?」
「ネタ探し」
まさかのパクリ疑惑!?
「じゃあ、マツは?毎回なに買いに行ってんだ?」
「同人ギャルゲ」
だと思ったァ~!予想通り!
「次は拓斗だな」
「はい、瀬尾君ですね」
全員が拓斗を見る。
「惜しい!」
「なぜ!?」
指を鳴らして残念がる志緒里。腑に落ちない拓斗。だが大丈夫だぞ。俺が残念キングであるのは不動だから。
「何で!?オレってそんなに残念なところあったスカ!?」
「スポーツ並、外見並み。まぁ、これらはかろうじてプラマイ0と行ったとこでしょうか。しかし、重度のアニオタ!これは瀬尾さんの部屋の写真です」
「何でそんなもんがあるんスカ!?」
どこで撮った!?
「見て下さい。部屋中フィギュアがキレイに陳列されてます」
「ホントだ」
「痛いな」
「見ないでェェェ!!」
諦めろ、瀬尾。
「それからこの本棚です」
「普通に見えるが」
「いえ、これはダミーです。本体はその後ろの大量のエ――――――」
「あぁァァァァァァああァァァァァあァァっァァァァァあぁァっァァァァあっァァァああぁぁぁぁ!!」
「古典的だ!」
「何がっスカ!?」
「ベッドの下、机の中敷きの下、畳の下etcという考えが広がる昨今、あえて本棚に隠すとは・・・・・・使えるぞ!」
「何にっスカ!?」
「ちなみにジャンルは・・・・・・『妹』『ロリ巨乳』『近親相姦』」
「妹・・・・・・」
「ロリ巨乳・・・・・・」
「近親相姦・・・・・・」
「「「・・・・・・」」」
隆哉とマツと俺は拓人に冷ややかな目を送る。
「何ッスカ!マツさんだってエロゲ持ってるんじゃないスカ?」
「いや、エロゲは十八からだろ・・・・・・ギャルゲならたくさんあるが」
意外にまじめ!
「二次元スヨ!オレよりよっぽど痛いじゃないスカ!?」
「ちなみに陸は床下をくり抜いて」
「あぁぁあああああああああああああぁあぁぁぁぁああぁぁっぁぁ!!」
なんか俺にまで飛び火きた!
「それから、瀬尾さんは月一度、エロアニメ・エロゲを○フマップにて大量に購入しています。これがその証拠写真です」
「なぜローアングル?」
「それは、ちょっと・・・・・・企業秘密です」
盗撮だよ、確実に!
「何スカ、この暴露大会!」
最もだ。
「ちなみにジャンルは・・・・・・『レ○プ』『○辱』『触○』『調○』です」
「「・・・・・・・・・・・・」」
「パイセン!助けてッス!!ヘルプっス!!」
「・・・・・・」
ゴメン。こっちにも飛び火きそうだから。
□
「と、言う訳で、外見・内面共に残念な陸に惚れちゃったんです」
「「「なるほど〜」」」
「なるほどじゃねぇんだよ。何にハモってんだよ。ぶっ飛ばされたいのか?あぁ?」
「まぁまぁ、落ち着くッスよ♪」
あからさまに機嫌が良い拓斗。自分よりも残念な人が良かったな、誰とは言わないが。
「さて、ヒロインも決まって、もうこれで作品作りに入れるな」
「「「オォ・・・・・・!」」」
「誰も了承してねぇよ!!」
「確かに、本人の意思を聞かないまま話を進める訳にはいかないな」
あれ?今回は話がわかってるじゃないか。
「作品作りに進めていいよな。拒否したらお前のヒミツをすべてバラす♪」
「脅迫してきた!?」
「さぁさぁどうする。別に俺はいいんだぜ。うっかりこのボイスレコーダーをウッカリ新聞部の部室にUKKARI落としてしまうかもしれない」
「コイツ・・・・・・!」
不敵に笑う隆哉に怨念の眼差しを送る陸。
「まぁ、脅し抜きにしても、やろうぜ」
「面白そうだし、やっても損はないだろ」
「ノベル化からのちにマンガ化、アニメ化、ゲーム化、グッツ化。パイセンの致命度もあがるってもんス」
「楽しそうと思いませんか、陸?」
それぞれの視点から俺を説得してくる。あと拓斗!致命度ってなんだ!でもまぁ、楽しそうではありそうだ。
「はぁ・・・・・・。仕方ないな。でも俺は脅しに折れただけだからな。それと、俺はお前らのストッパーだから、変なことしでかしたらぶっ飛ばすから!」
「OK。それでいいぜ。今日からここは『ラノベ部』だ。早速、取り掛かるぜ。明日、首洗って楽しみにしていろ!」
という訳で、俺をモチーフにしたファンタジーラノベ製作がスタートした。
「ここで一句。
友達と
新たに創る
LightNovel」
「横文字!?しかも、字余りだし!!」
現在、友だちラノベ化計画、執行中です(ノД`)シクシク。