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俺たちの魔王はこれからだ。  作者: かっぱ
第一章 〜幼少編〜
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01:マキア、伯爵家にて生を受ける。

こんな人生って無いわよ。


なんて、言える立場でもないけれど、まさか再びあいつに殺されるなんてね。

しかも今度ばかりはちょっと、いえかなりしょっぱいわ。だって私たちは人畜無害な高校生だったんだもの。


これも、魔王の時に散々やらかした罪の罰だって言うの?


ああ、どこか懐かしい世界の空気を、体中が吸い込んだ。








子守唄が聞こえます。

私は赤子でした。しかもあまり泣かない、どこか明後日の方向を見ている可愛くない赤ちゃんです。


だって、仕方ないじゃないですか。

私はこの世界の言葉を知っているし、前世二つ分の記憶を持って生まれて来てしまったのですから。


「マキアは本当に良い子ですね〜。おとなしくって、手がかからない可愛い可愛い私の赤ちゃん」


こんにちは新しいお母様。

私は紅魔女時代の、真っ赤な赤毛と、大きなアクアブルーの猫目をそのまま受け継いだみたいです。

名前はマキア・オディリール。


それにしても、私はとんでもない赤ちゃんです。

分かります。私は再び魔力を手に入れたのですから。


私は紅魔女のとき、人の名前を知る事で、その人の魔力数値や将来性、ポテンシャルなんかを知る事が出来る瞳を持っていたのですが、今世もそのよう。


「さあマキア、ひなたぼっこは終わりだよ。おうちに帰ろうか」


お父様です。とてもダンディーなお髭の、高貴な恰好をしています。

お母様も赤毛の麗しい美女です。魔王だった頃の私はセブンティーンの姿をずっと維持していましたが、きっと熟女であったならこんな風になったんだろうなというレディーです。


さて、私は二つ前の前世の罪を、一つ前の地球で償ってしまったと言う事でしょうか。

再び転生した異世界、メイデーアでは、裕福な南の国の貴族の令嬢として生を受けました。

両親共に良い人そうです。


ごめんなさい、あなたたちの子供は、今やこの世界の歴史上最も悪名高い魔王の生まれ変わりです。

ほとんど魔力を感じないこの両親では、私がいかに恐ろしい力を秘めてるかなんて分からないでしょう。




ここは異世界メイデーア。

私が、2000年前に生きていた異世界。


魔王の存在しなかった“南の大陸”の、田舎のお屋敷で、私はもう一度生を受けました。


前の女子高生も、嫌いじゃなかったんだけどな。

何がよかったかって、それは魔力が全く無い平凡な女の子だったって事。


私は同じ境遇だったはずの透と由利の事を思い出さずには居られませんでした。

あの二人はどうなってしまったんでしょう。

私たちに言葉で語れない縁があるなら、きっと同じ時代にこの世界のどこかで転生しているはずです。


いつかまた、どこかで会えるかな。


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