星と一緒に
今日の私はどうだっただろうか。おかしくなかっただろうか。うまく過ごせていただろうか。
ハッっと気付いた時にはもう夕暮れ時で、いつのまにかここにいた。ここはあの家だ。私には遠い家の前。きっと一度もこの家の玄関を通ることはできないだろう。そんなことは考えなくたってわかってる。わかっているのに、またここに来る。気付いたらここにいる。でも、やっぱり………。いやわすれよう。いつまでもここにいるわけには、いかないのだ。早く行こう。ここにきてはいけないのだから。
タタタっと走って、逃げるように離れていく。今の私はかっこ悪い。とっても、かっこ悪い。それでもいいから駆けだすんだ。
ここまで離れれば大丈夫。もうあの家は見えない。すっごい遠くだ。もう大丈夫。………さてこれからどうしようか。走れるだけ走っていたら、ここは知らない街の中だ。いつの間にこんなところまで、来ていたのだろう。でも、あの家は見えない。大丈夫。私はゆっくり歩いて空を見上げた。今日の星も少しだけ、さみしそうに光っているように見える。あの星はもしかしたら、私をずっと見ていたのかもしれない。そうだ。そうに違いない。だからさみしそうに見えるのは、きっと勘違いじゃない。一人じゃない、そう思えた。そうしたら無性に、走りたくなってしまった。
「家に帰ろう。本当の家に」
私はタタタっと走って、帰ることにした。どこに在るのかはわからなかったけど、帰るべき場所というものはきっと、すぐに見つかる。
そんな気がした。
長い間、文章を書いていなかったのですが、久しぶりに書くことができ、とても楽しかったです。「星と一緒に」は私の最近感じることを、抽象的に絞り出したものです。ですから、あまり深く考えないで、雰囲気を感じてもらえたならば嬉しいです。
小説なのか、詩なのか私には曖昧なものに仕上がってしまいましたが、ここまで読んで頂けたなら幸いです。ありがとうございました。